第218話 パニシャー
二人の腹も満たされたようなので、宿に連れ帰るとする。
「一部屋追加でお願いします。あと、体を洗いたいんで井戸を使っても構いませんか?」
「ああ、構わないよ」
払いのいい客にはサービスしてくれるようで、盥を一つ貸してくれた。
「ジージーは部屋に残ってて」
「なぜ?」
「家族でもなく恋人でもない者が異性の体を見るもんじゃない。見たいってんなら別だが」
異性に興味がないことはわかっている。別の生命体と思っている感じだ。二つの種が一つになるには何世代かかけないと無理だろうよ。
「レイは、大丈夫なの?」
「問題ない。ルクセル人の体がどうなっているか見ておきたいしね」
どうもあの二人はシックスたちと違う感じがする。シックスやトゥエルたちとも違う。ちょっと華奢な体格だ。戦闘員ではなく後方支援系をやっていたんじゃなかな?
「まあ、記録は取っててよ」
井戸のところで待たせている二人のところに向かった。
「お待たせ。まずは体を洗おうか。シャワーがない時代だから我慢してね」
井戸から水を汲んで盥をいっぱいにしたら熱魔法で沸かした。
「今のは!?」
「この星の超常的現象だよ。ボクたちは魔法と呼んでいるものだ」
「パニシャーとは違うの?」
「パニシャー? それはどんなもの?」
「これだよ」
と、盥が浮かび上がった。超能力かい! てか、超能力はSFに入るのでしょうか?
「まさか超能力とは。実際見ると不思議なものだ──おっと」
いきなり落ちてきて盥をつかみ、静かに下ろした。
「今のはどっちが使ったの?」
「ぼくです」
どちらも華奢だが、手を挙げたのはやや背が低いほうだ。なんか特徴がないんだよな、この二人って……。
「名前は、なんて呼ばれているの?」
「八番です」
やっぱ番号名なんかい。
「そっちは?」
「十二番だ」
大人しそうなのが八番で生意気そうなのが十二番か。
「じゃあ、八番はハチヤ。十二番はトウジって呼び名にしよう。ルクセルだとわからないようにな」
「……ハチヤ……」
「……トウジ……」
「ルクセルを捨てるならその呼び名で暮らしてもらう。嫌なら別の呼び名にするが」
「いや、これでいい。トウジか。ふふ」
「ぼくも」
なんか気に入ってくれたようだ。シックスやトゥエルたちは喜ばなかったんだがな?
「よし。名前も決まったことだし、体を綺麗にしな。二人とも臭いからね。服はボクの代えを使うといい」
ボクはボクサーパンツを履いている。前が開くことはないが、女物を履くよりはいいだろう。
トウジもハチヤも裸になることに抵抗はなく、汚れた服を脱いで体を洗い始めた。




