第217話 紫の瞳
予想はしていた。シックスの例もあったから。
いや、シックスは仲間と離れてしまったようだが、星全体に通信が出来ず、上からの命令がなかったから単独で動いていたようだ。
基本、マニュアー単体で大気圏突入は出来ない。一応、大気圏突入用のポッドはあるようだが、艦隊でも数は限られ、今回使われた様子はなかったようだ。
となれば船とともに落ちたってことであり、シックス以外にもいるってことでもある。
ただ、今回は予想外。二人のルクセル人は脱走した感じだからだ。
目の前の二人、どちらも十二、三と見た目が若い。シックスの話では十五から徴兵されると言っていた。
なら見間違え、勘違いかと思ったが、ここで肌の白い者は珍しく、瞳の色が紫だった。そんな色素を持つ人間はいない。少なくともボクは見たことがない。
「典型的なルクセル人ね」
とはジージーの談。シックスの瞳の色は……なんだっけ? ごめん、覚えてないや。でも、紫ではなかったはずだ。
「腰のは抜かないように。どうせ残り少ないんだろうからさ」
少年二人の目がさらに鋭くなった。
この二人の少年と出くわしたのは偶然。屋台に並べられたパンを奪おうとしていたのが見えたのだ。
貧民の子がやるなら見過ごそうと思ったが、肌の色や腰の銃が見えたから逃げ出した瞬間に先頭の足を引っかけて、後ろはジージーに任せた。
屋台のおじさんにパンと硬貨を投げ、二人を路地裏に連れて行ったのだ。
「ボクはレイ。この星の人間だ。そちらをどうこうするつもりはない。まずは腹を満たしな」
収納の鞄からハンバーガーと果物、そして、水を出してやった。
「君たちと同じルクセル人も食べたものだから大丈夫だよ。66ってわかる?」
「……知らない……」
「そっか。まあ、食べてからゆっくり話そうか。ボクらが敵対することもないんだしな」
疑念や疑惑は消えなかったが、空腹には勝てないようで、出されたものにかぶり付いていた。
長いこと食べていなかったんだろうな。三人前を食べてしまったよ。
「落ち着いた?」
うんと頷く二人。腹が満ちれば大人しくなるのはグージーもルクセルも同じだな。まあ、人間なんだから当然か。
「……なにが目的だ?」
「この星で戦争をしてもらっては困るだけさ。君たちの技術は脅威だからね。戦争が起こった星が滅びかねない。だからボクが動いているだけさ。ちなみに後ろのはグージーの者だ」
「お前──」
「──レイだよ。この星の住人。君たちと敵対するつもりはない。仲間のところに戻りたくないっていうならこの星で生きるといいさ。66も名前を変えてこの星の者として生きているからね」
「……ぼくらは戻りたくない……」
「戦争などしたくない」
へー。反戦派もいるんだ。都合がいいじゃないか。ふふ。




