第215話 メッセージ
とりあえず休ませてもらうことにした。
よく言えばオープンテラス的な場所にある席に座り、お茶と食べるものをお願いした。メニューないんで。
出てきたのは麦茶と……ガレットのようなキッシュのようなものが出てきた。
ここではラッシと呼ばれるもので、小麦粉を卵と水で溶いたものにジャガイモをスライスして、チーズを乗せて焼いたものらしい。ミルジではよく食べられるソールフードなんだそうだ。
「美味いね」
腹持ちもよさそうで、これから山を登ろうとするのにちょうどよさそうだ。その逆でもいい。食べていたら山を越えた者たちが十数人入って来た。
「わたし、これ好き」
食いしん坊ってわけじゃないが、ローサが気に入ったようでお代わりしていた。宇宙に出ても食の好みは失われたりしないんだから不思議なものだ。
食べたら休んでいる人たちの話を聞かせてもらった。
やはり要塞を占拠したルクセルの話が話題になっていた。
バールを手にした剣王さんが活躍しているようで、着実にマニュアーを破壊しているようだ。
ルクセル側も生きるために必死なんだろうが、制圧されるのも時間の問題だろう。なんせ、武装が弱い。突入艇にミサイルはあるみたいだが、脱走しているなら補給は出来ないだろうし、整備もおなざりになるだろう。
突入艇の重力エンジンは半永久ではない。磁石のような物質を糧にして動いているそうだ。
その物質にも寿命はあり、なにもしなければ百年は効力を維持するが、それを制御する機器のほうはそうはいかない。腐食もすれば劣化もする。ましてや地上では湿気がある。出入りしていたら腐食や劣化のスピードもさらに上がるだろうよ。
生命体としても強いだろうが、それだけで生きられるほどファンタジーは甘くはない。戦闘強化されてないと中堅冒険者にも負けるだろうよ。
「なにか連絡は入っている?」
「まだみたいね。そんな余裕もないんじゃないかしら?」
「追い詰められないと動かないヤツはどこにでもいるもんだ」
まあ、それもわからないではない。今が上手くいっているのならわざわざ変えようと思うヤツはなかなかいないからな。
ただ、そうでもないヤツがいることも忘れちゃならない。上手くいっているからこそ動くことが出来るヤツがいるから要注意なのだ。
「上空に誰かいる?」
「ボンドがいるわ」
「一回でいいから要塞の上空を通過するように言って。高度は五百メートルくらい。速度はレーダーでしっかりと捉えられるくらいで」
「どういう意味があるの?」
「特に意味はない。まあ、やってみてよ」
もちろん意味はある。あるが、あちらがどう受け取るか次第で意味は違ってくるものだ。これはメッセージなのだから……。




