第214話 針なし注射器
乃木坂さんと壮大な夢を語り合ったらザンテカの町に向かうとする。
さすがにシャレインは訓練場に置いて行き、アクアで向かった。
千キロくらい離れているが、宇宙に出ればあっと言う間に到着。なのに、時差があるせいか、ちょっと体内時計が狂ったりもする。
そういうときは鉄を打てば問題ナッシング。てか、そもそも鉄を打ち始めたら朝とか夜とか関係なくなる。力の限り打ち、疲れたら回復するまで眠る。ストレスなんて溜まる暇もないのだ。
……あれ? ボクって、結構脳筋だったりする……?
「ジージーたちは時差ボケとか起きないよね」
「ホルモンバランスが制御されているからね」
それは羨ましい。ボクも女だからいろいろあるからさ。
「薬を使う? サバイバルキッ卜にあったはずよ」
「サバイバルキットなんてあったんだ」
いや、規格としてあるのは知っていたが、ホルモンバランスを調整する薬まで積んでたのは初見だよ。
「そう使うものじゃないからね。わたしもなんのためにあるか理解出来ないわ」
そういう規格だからだろう。なんか妙な拘りというか、決まりみたいなものを配線から感じたからな。
とりあえず出してもらって針なし注射器を腕に打ってみた。
おー! なんか効いているのがわかるくらい薬が体を回っているのがわかった。
「これ、もっとある?」
「あるんじゃないかしら? 送ってもらう?」
「うん、お願い! この星の者にも効果があるか確かめたい!」
人体実験? はい、人体実験を行います! 効果があるなら売れるからです! てか、わたしが打ってんじゃん! 人体実験してんじゃん! 疲れていて気が付かんかったわ!
「わかったわ。とりあえず百個ほど送ってもらうわ」
「よろしく」
体の調子が戻ったので、眼下に広がるミルジの町に向かってみる。
ザンデカの町から歩くのもなんなので、ミルジの町を見下ろせる山にアクアを降ろし、そこで体調を戻していたのだ。
ミルジの町は穀物地帯にあり、ザンデカの町より大きかった。
道に出ると、農作物を載せた荷馬車が列なってザンデカの町に向かっていた。
ちょうど山を越えるくらいがお昼になるよう町を出ているのだろう。三十台くらい続いているよ。
「こんな量をどこに運ぶんだろう?」
「この国の首都じゃないかしら? 三百キロほど離れたところ四百万強の都市があるわ」
四百万強か。この時代ならかなり規模の大きい都市になるだろう。上下水道もない都市なんて地獄みたいなところだろうがな。
列なる馬車を横目に山を下ると、茶屋みたいなのがあった。マジか!?
時代劇に出てきそうな造りをしているが、そこを営んでいる夫婦は西洋風なお召し物。世界観とか時代が変な風に混ざりあっているな!




