第208話 男は単純
頼まれたものは作り、金貨が入った革袋を三つもライルさんからいただけた。
「こんなにもらっていいの?」
ボクとしては入港許可をいただけるのなら満足なんだけどな。
「ほとんどがマルビード様からです。町からはそれが百万ルクシェが精一杯でして。申し訳ございません。ただ、船の入港許可は問題なく進めております」
「剣王ってお金持ってんだね」
「実質、マルビード様に守られた地ですからね、ここは。依頼料も自然と上がってしまうのです」
ふーん。剣王さんがいなくなったらどうすんだろうね?
「まあ、依頼完了ってことでボクは帰らせてもらうよ」
「ありがとうございました。まだザンテカの町に滞在で?」
「そうだね~。ここから近い町にでも行ってみようかな~」
一旦、バレンタスシアや山の家に戻りたい。どうなっているか気になるしな。
「ハルジックの町へは行けませんので注意してください。巨石兵がいますので」
「そっちとの流通は途絶えているわけか。大丈夫なの?」
「かなり遠回りになりますが、迂回路はあります。今年中に解決出来たらなんとかなるとは思います」
完全に途絶えてないから町に危機感はなかったのか。迷惑なのは変わらないが。
「近いのはミルジの町ですね。馬車でなら朝に出て夕方には着けますよ」
三、四十キロってところか? ならアクアを使えばすぐだな。
「考えてみるよ」
そう言って宿に戻り、ハラーシと話し合い、次の日に宿を出ることにした。
「また来ておくれ」
「はい。またお世話になりますね」
女将さんに見送られ、そのまま町に出て森に隠れているアクアと合流する。
「お疲れ。長いこと待機させて悪かったね。はい、差し入れ」
女将さんが作ってくれた弁当をボンドとエイトに渡した。
「ありがとうございます! いや~、待機だけで美味いものが食えるならいつまでも待機しますよ」
すっかり慣れたようで軽口を叩けるようになった。ボクが女でも気にならなくなっているし。
……まあ、どちらかと言えば男っぽいしな。女と見られてないんだろうよ……。
「慣れすぎると元の宇宙に戻ったときに大変だよ」
「おれはもうこの星で生きることを決めたんで問題ないです!」
「おれもです!」
ルクセル側は強制が取れてないからか、思考が縛られてないんだよな。
「まあ、好きにしたらいいよ。ただ、エネルギー問題があるから味方だった者と戦うことになるよ」
「仕方がないです。敵同士になったら」
そこはドライなんだよな~。
長年戦争をしているとこうなっちゃうのかね? まあ、統制はとれているから命令には従ってくれるからいいんだがな。
「味方が増えれば休息時間を増やすからがんばってよ」
グージー側もルクセル側も休日って概念がない。ただ、休息があるだけ。だから休息時間を増やすと喜ばれるんだよ。
「はい! がんばります!」
「やったりますよ!」
男は単純だから楽でいいよ。




