第207話 海賊
朝早くに工房へ向かい、大まかに作られた鏃を打ちまくった。
工程をだいぶ省いてくれていたので十六個は打つことが出来た。
完成したものはすぐに最前線に送られる。てか、今さらだけど、弩ってあるの? あるとしたらなにに撃とうとしているものなんだ? 壁に囲まれた町でもないのに?
「海賊が出るんだよ。ここは船が多いからな」
なぜに? とライルさんに尋ねたらそんな答えが返って来た。海賊、いるんかい!?
「被害はどのくらい?」
「全体から見れば少ないですが、毎年十五隻くらいは襲われていますね」
十五隻か~。確かにあの船の量なら少ないのかもな。嵐に合って沈むとかもあるんだ、町としては本気を出して事に当たるとかはしらないだろうな~。
「ちなみに、海賊が奪ったものを取り返したら誰のものになるの?」
「……特に決まってはいませんが、返す者はもういないことが多いので、奪い返した者のものになると思います……」
「つまり、返す宛がなければ奪い返した者の所有となる、でいいのかな? 町に恨まれてもしない限り、は」
「そう、ですね」
ほうほう、なるほどなるほど。よくわかりました。
昨日と同じく夕食をいただいたら宿へと戻り、ハラーシに海賊のことひ話して調べてもらうことにした。
「保守的なグループのリーダーとコンタクトできたそうよ」
「へー。話のわかるタイプだったようね」
「まだそこまで深い話はしてないわ。まずはこちらの意図を探っているってところみたいよ」
ハラーシの意見ではないのなら艦長代理のマルシアの意見っぽいな。
「まあ、慎重でいいじゃない。素直に信じるようでは兵士として失格だし、交渉相手として不安でしかないよ」
「そういうものなの?」
「そういうものだよ。人間はウソをつく生き物だ。言葉の裏にある真意を見抜けないようでは騙されるだけさ」
ここにいい見本がおるじゃろう? とは言わないでおく。別にグージー側を騙したりは……しているか。ごんなさい。
「……難しいのね……」
「大丈夫。マルシア辺りはわかっているはずだから」
そして、ボクもわかっている。人という生き物を、な。だから気を許していてもグージーを百パーセント信じてはいない。ボクを利用し、都合が悪くなれば躊躇いなく切るだろうよ。
……おそらく、そんな命令が頭のチップに刻まれているんだろうよ……。
「まあ、わたしは命令とおりに動くとするわ」
これは性格。制御されたものじゃないことはわかった。ただ、脳に埋め込まれたチップが信用出来ないのだ。グージー側は気持ち悪いほど統制が取れているからだ……。




