第206話 余計な知恵
「わたしはサラ。ここの娘だよ。旦那はあれだよ」
指を差したほうに弟子と言われた男性がいた。あなた、婿入りしたんかい。大変だね。
なにが大変かはそれぞれの心の中で止めておいてくださいませ。
「鍛冶屋の娘が家に残るってこともあるんだね。息子がいるのに」
「あなたも鍛冶屋の娘なの?」
「似たようなものだね。かなり有名な家の生まれさ。弟もいるよ」
「へー。うちと同じね。あなたは結婚してないの?」
「親父が大切にしてある剣を折って勘当さ。以後、野良として逞しく生きているよ」
前世の記憶がなければ野垂れ死にしていたことだろう。この世に神がいるなら感謝です。
「そうみたいね。さあ、たくさん作ったからこっちに来て」
サラさんに連れられて少し大きめの食堂に。ジェイダさんの奥さんと十歳と四歳くらいの男の子がいた。
サラさんの子供だろう。よく似ている。ジェアル工房は安泰のようだ。
たくさん作ってくれた料理をガツガツと食べ、宿に帰るとする。工房に空き部屋がない故に。
宿に戻ったらハラーシから報告してもらう。
「ルクセル側の戦力は突入艇二、エクロン級駆逐艦が一。マニュアー四十。兵士は六十前後と言ったところね」
「それだけいてマニュアーを斬られるって、なんで?」
「どうも二つのグループに分かれていて、上手く連携が取れてないようね。攻撃的なグループと保守的なグループみたい」
「揉めているってことは階級が一緒かただ単純に嫌い合っているかだね」
「ルクセルは纏まりがないとウワサされていたけど、本当のことだったのね」
そういうウワサが末端の兵士にまで伝わるとか、よく崩壊や反乱が起きないものだ。わざとなのか?
「グループのリーダーはわかった?」
「スマホに送るわ」
収納の鞄からスマホを取り出し、送られて来たデータを見た。
「いかにもって顔だ。こいつとは仲良く出来ないな」
性根の腐ったのが顔に出ている。こいつは殺して構わない。てか、殺さないとダメなヤツだ。害にしかならないだろうよ。
「通信は傍受出来てる?」
「ええ。こちらが傍受出来ないと思っているようでフルオープンで会話しているわ」
浅慮でしかないな。
「技術が発展しようと教育されないとこんなものなんだね」
「余計な知恵を付けられても困るからね」
ハラーシも余計な知恵を付けて来たようだ。
「保守的なグループのリーダーにそれとなく通信を入れて。通信がグージーから来たこと。秘密で通信していること。少しずつ通信することを伝えて。それでどう動くかを見ようか」
保守的なグループのリーダーは疲れた顔をしているが、性格が顔に出ている。こいつは話せばわかるタイプだ。
「ハラーシは反対? ルクセル人と協力するの?」
「わたしは命令に従うだけよ」
グージー側はグージー側で問題はある。命令に忠実すぎるのだ。
「じゃあ、命令。ルクセル人を取り込む」
「……オッケーよ……」
その頭に入っているチップをなんとかしないとな~。




