第203話 ジェアル工房
やって来た工房はかなり老舗っぽかった。
「ジェアル工房です」
店も構えており、そこそこの剣が飾られていた。
「マルビード様。お連れしました」
店内にいたのは三十後半の男性がいた。衣服や佇まいからしてこの人が剣王なんだろうよ。
「本当に娘なのだな」
「そうだね。もう少しで十八になるよ」
ピチピチギャルでごめんよ。いや、ギャルではないけどさ。
「いや、気に障ったらすまない」
「構わないよ。性別ばかりはどうにもならないしね。ただ、腕には自信がある。ボクが打った剣はどうだった?」
「……悪くはなかった。ただ、おれの力に耐えられなかったがな」
「まあ、三級品だしね。逆によくあれで斬れたものだと感心するよ。度胸があるのか剣を信じてくれたのか、バカ野郎の覚悟ほど恐ろしいものはないよ」
「アハハ! 今まで聞いたどんな賞賛より嬉しい言葉だ!」
嬉しそうに笑う剣王さん。このくらい頭のネジが緩んでないと剣なんて握れないんだろうね。
「もっといい剣が欲しい。可能か?」
「可能だね。巨石兵を数体斬っても刃が欠けることもない。技だけで斬るか、魔力を増幅して斬るか。好みはどっち?」
「うーん! 魔力で斬るってのも気になるが、技で斬りたい」
「重いのと軽いの、どちらがいい?」
「重いのがいい。だが、片手で振れる重さにして欲しい」
「剣が折れたってことは、以前使っていた剣は長かった感じ?」
「拳一つ分は長かった。可能ならさらに指一本分は長いほうがいい」
「右利き? 左利き?」
「左右利きだが、右のほうが若干、器用だ」
剣王さんの身長は約百八十センチ。体重は九十キロはありそうだ。
「手を見せて」
体に合わせたように大きい。ボクの二回りはありそうだ。
「ボクの手を握って。遠慮無用。ボクの握力も負けてないはずだから」
握力計がないから正確にはわからんが、百は余裕であると思う。水が入った樽を余裕で担げる力はあるんですよ、ボク。
剣王さんの握力もかなりある。ボクより強いから百二十はあるんじゃないかな?
「魔力はあるようだが、魔力の使い方が全然なってないね」
「魔力があるとダメなのか?」
「使えたら力はこの倍は出せるし、竜でも斬れるだろうね。実際、剣王さんより二つくらい下の戦士が巨石兵を真っ二つにしたからね」
ライアスさんも強いが、ナルゼさんには遠く及ばなかった。
技を魔力で補って可能にした一撃だ。魔力の使い方を学んだ剣王なら竜だって一刀両断に出来るだろうよ。ファンタジーワールドの人間にはそれだけのポテンシャルを秘めているのだ。




