第193話 ロクシェ(貨幣単位)
剣を一瞥し、厳しい表情をして剣をつかんだ。
「若いのに随分とよいものを持っているな」
鞘に収まった状態でも剣の重さでわかる者もいる。このじーちゃん、やるな。
「そうね。剣の達人も世話になっている職人の作よ。わたしたちが持つ中でもっとも高価なものね。買取りしてもらえないかしら? 先立つものがもうないのよ」
「なるほど」
納得したわけじゃないが、とりあえず頷いてみた感じだ。
やっと鞘から抜いて刃を見た。
「……素晴らしいな。だが、見たこともない鉄だ……」
「落ちた星から製鉄したものらしいわ。剣の達人はそれで石の巨人を斬ったわ」
「石の巨人? 巨石兵か?」
「こちらでは巨石兵と呼ばれているのね。わたしたちのところでは巨石獣と呼んでいるわ。まさかこちらにもいるとはね」
「本当にこれで斬ったのか?」
ジージーが剣をつかみ、ハラーシに放り投げた。
「レイ」
腰に差している鉄の杭を抜き、斬りやすい位置に掲げた。
なんの溜めもなく剣を振るって鉄の杭を斬った。持ち手たるボクの手から逃すことなく。なんかまた腕を上げたんじゃない?
「このとおりよ」
斬った先をつかみ、じーちゃんに渡した。
「この鉄もとんでもないな。よほどの名剣でも斬れるものじゃないぞ」
「落ちた星から作った剣はそれだけのものってことよ。どうかしら?」
「さすがにうちの金庫を空にしても買取るん。が、明日また来てくれたら十万ロクシェで買い取らせてもらうぞ」
「今日泊まる宿代もないのよ」
「それならこれを買い取ろう。十万ロクシェだ」
ロクシェって単位なんだ。鉄の杭で十万か。銀貨五枚くらいか?
カウンターに出されたのは黒ずんだ銀貨が二枚と大銅貨くらいのが二十枚が置かれた。
「これで三人だと何泊出来るのかしら?」
「安いところなら四泊。いいところなら一泊だな」
うーん。結構な額じゃね?
ジージーがこちらを見たのでうんと頷いた。たぶん、手付金みたいなものなんだろう。ちゃんと売ってくれよって。
「わかったわ。明日はいつ頃来たらいいかしら?」
「昼か昼過ぎくらいで構わない。今日中に知り合いと話をつけておく」
「そのくらいに来るわ。宿は近くにあるかしら?」
「いい宿に泊まりたいなら海の近くだ。安い宿なら町の北側に行ってみるといい。ハンターたちが泊まる安宿がある」
ハンター? ここではハンターと呼ばれているんだ。ハントする存在がいるってことか?
「どうする?」
「海は飽きたから北側の宿に行こうか。ハンターの宿があるなら酒場もあるだろうからな」
情報は酒場に集まる。どんな料理があるかも知りたいしな。




