第192話 武器屋
「やっぱ人が多いと臭いものだ」
宇宙技術で造られたワクチンを打っているので大抵の病気にはならないだるうが、上下水道のない時代ではワクチンに勝る病原菌や謎のウイルスがいそうで怖いよ……。
「二人は大丈夫?」
「なんとか」
「……キツいわ……」
ジージーは冒険者として暮らしていた時期があるから多少なりとも堪えられるが、ハラーシは清潔なところにいるほうが多いから耐性はないようだ。
「布で口元を覆うといい。少しは楽になるから」
収納の鞄から綺麗な布を出してハラーシに巻かせた。
「ちょっとよくなった」
それはなにより。帰ったら防臭マスクを造ってもらうとしよう。
「ここにも冒険者組合ってあるのかしら?」
「武装した連中がいるからそれに似たものはあると思うよ」
そんな安全な世界ではない。魔物は全世界にいるはずだ。なら、それらと戦う組織が生まれるはずだ。今の時代では国が動くなんて滅多にないからだ。あったらごめんだが。
「まずは武器屋でお金を調達しようか」
先立つものはお金。一番手っ取り早いのは剣を売ること。ボクの打った剣なら高く買い取ってくれるはずだ。
「あっちから鉄の臭いがする」
悪臭が満ちていようと鉄の臭いを嗅ぎ分けられるのがボクです。
「うーん。ここはダメだ。鉄の臭いがよくない」
「よくないとダメなの?」
「三流品を扱っている店だからさ」
一流の店は鉄の臭いもいいものだ。店構えも成金すぎて気に入らない。
次のところにも向かうが、あまりよろしくない。ここは、いい鉄がないのか?
鉄の臭いがするほうにあっちにこっちにと歩き回り、やっとこさいい鉄の臭いを出すところにやって来た。
「ここがいい店なの? なんかボロいけど」
確かに店構えはよくない。だが、鉄はいい臭いだ。かなりの数の名剣が揃っている感じだ。
「ジージー、よろしく」
ボクはスマホを通して会話出来るので、言葉をインストール出来るジージーに交渉を任せるとする。
ジージーを先頭に店へと入る。
中は年期があり、剣だけではなく槍や盾なんかも売られていた。やはり、冒険者組合に類似する組織がありそうだ。
規格も意匠も統一されてはいない。これは個人個人に合わせて作られたものだ。
「余所者か?」
カウンターにいたのは眼光鋭い初老の男性だ。昔、鍛冶の仕事をしていた体つきだが、今は打ってない体つきだ。
「ええ。海を越えて来たわ。だからお金に困っているの。これを買い取ってもらえないかしら?」
冒険者をやっていたのが糧になっており、自然と言葉が出ていた。
「これを」
ジージーが腰に差している剣を鞘ごと外してカウンターに置いた。




