第194話 ミリシンの宿
北側に進むにつれ、なんか治安が悪くなってきた。
まあ、町なんて全世界共通。富める者もいれば貧する者もいる。別段、珍しいものじゃないが、緑肌の人間が多いように見えた。
だからと言って迫害されている様子は見て取れなかった。これは……たまたまたか?
「屋台はあるんだ」
ここに住む者を相手にしているからか清潔さはないが、肉団子スープはなんか美味しそう。天空の城に出て来るものみたいだ。
買ってみたいところだが、まずは宿を決めるのが先。今は諦めるとしよう。
「どこにしようか?」
「あまり汚いところは嫌だわ」
「わたしも」
ジージーもハラーシも嫌なことは嫌と言うようになった。軍規から外れるとグージーも自由意思を取り戻すんだね~。
まあ、ボクも望んで汚いところで寝たいわけじゃない。普通よりよいところを探すとする。
「ここにしようか」
大通り沿いの宿ならそこまで悪くはないはずだ。
二人から異論は出ないので店に入ると、緑肌の女将さんぽい人がカウンターに立っていた。
「いらっしゃい。泊まりかい?」
「ええ。三人で泊まれる部屋はあるかしら?」
「四人部屋があるよ。値段も四人分いただくけど」
「どうする?」
「いいんじゃない。広く使えるし」
狭いよりはいいでしょうよ。
「じゃあ、四人部屋で。いくらになります?」
「一人三千ロクシェ。夜に食べたいなら三千五百ロクシェだね。四人分となるから一万四千。まあ、身なりがよさそうだから一万三千に負けておくよ」
身なりで変わるんだ。
「井戸はあります?」
「裏にあるよ。好きに使っておくれ。湯が欲しいなら五百ロクシェだよ」
お湯代は結構するんだ。てか、やはりお風呂はなし、か。
「わかりました。これで」
銀貨っぽいものを出した。
「はい。おつりね」
大銅貨っぽいものが四枚と銅貨っぽいものが七枚を出された。いまいちわからんな。どんな計算なんだろう? 悪い人っぽくないので正しいおつりなんだろうけど。
「部屋は二階だよ。階段を上がった奥、戸が開いてあるところだ」
何号室とかなんとかの間じゃないのか。
言われたとおりに二階に上がると、戸が開いているところと閉まっているところがあり、奥に進むと、四人用の部屋の戸が開いていた。
「鍵はないね」
「そこの三角形の木で戸の隙間に挟むんだろうね」
車止めみたいなのか鍵とは。まあ、ここではこんなもんだろうよ。己の身は己で守れってね。
「それで、明日まで部屋にいるの?」
「ジージーは探索してきて。調味料類があったら買っておいて。ハラーシは今のうちに眠っておいて。夜は見張りに立ってもらうから」
「レイは?」
「女将さんとおしゃべりしてくる」
まずは女将さんから情報収集しましょうかね。




