第190話 フライユニット
「乃木坂さん。ボクらは戻るよ」
ワニから出た魔石を売りに行こうと思うのだ。さすがに手持ちのものでは乃木坂さんたちに行き渡らないからだ。
「ああ。魔石を見付けておくよ」
「天十握剣は好きに使っていいから」
四メートルもある体に合わせた天十握剣だが、二メートルはある猿人でも持てる重さであり、斬馬刀みたいなものだと思えば使えないこともない。と思って渡したらちゃんと振り回せられた。
なので乃木坂さんにプレゼント。次は槍でも作ってみるか。蜻蛉切とかさ。
「大切に使うよ」
「乱暴に使ってくれて構わないさ。壊れるようならボクの腕が未熟ってことだからね」
持ち手を甘やかすほどのものを打ててこそ一流ってもの。だってボクは一流の趣味人だからだ!
「アサルトライフルも自由に使ってよ」
天十握剣同様、使って使えないこともない。グリップは握られるし、引き金も引ける。てか、アサルトライフルのほうが使えそうか? 手はデクスとそう変わりはない感じだし。
……この手て蔓を器用に編むんだから凄いよな……。
「オッケー。おれとしてはアサルトライフルのほうがしっくりくるよ」
アサルトライフルがしっくりくる前世ってなによ?
「自衛隊にいたの?」
「いや、普通のサラリーマンだったよ」
普通のサラリーマンはアサルトライフルにしっくりきたりはしないんだよ!
って突っ込みは飲み込んでおく。男の過去に触れてはならないからだ。
「じゃあ、死なないように」
「おう。これだけあれば大丈夫だ」
乃木坂さんたちに見送られてアクアを発進。訓練場へと戻った。
「お帰り。フライユニットが届いているよ」
迎えてくれたルーギが教えてくれた。
「すぐに取り付けて。それで買い出しに出るからさ」
フライユニットは重力エンジンを搭載しているので、航続距離は星一周は出来る。宇宙にも出れるスペックだ。まあ、長時間乗っているものじゃないんで、長距離時はアクアを使うがな。
取り付けはそれほど時間は掛からず、フライユニットを外さなくてもいいような造りになっており、後部ハッチから乗ることが出来た。
「体育座りになるのは格好悪いが、まあ、許容内だ」
専用格納デッキなら立ったまま乗り降り出来る。途中で降り乗りは仕方がないと諦めよう。
さすがに練習なしでは飛べないので、シミュレーターで一日やり込み。二日目は実践。三日目には買い出しへ出掛けるとする。
一緒に行くのはボク、ジージー、ハラーシ、ローサの四人だ。海を越えたところに港町があるとのことだ。
「よし。行こうか」
未知の町だが、この世界に人間以外の種族はいない。いや、猿人はいたが、エルフやドワーフがいる世界ではない。映像からも褐色肌の人間が住んでおり、何人か肌の緑色もいたが、そこに白い肌が混ざっても大丈夫だろう。
とりあえず行ってからダメなら別の町に行くまでだ。
「レイ、行きまぁーす!」




