第七章:史実の死因とガチバトル! インフルエンザ最終決戦(建安13年・冬)
そして冬が来た。
ずっと避け続けてきた十三歳の冬。 俺にとって、それは季節ではなく――史実そのものが牙をむく合図だった。
案の定、都で流行していた悪い病が俺にも襲いかかった。 高熱、悪寒、関節痛。 体温は 40度 を超え、意識が遠のいていく。
(終わった……!)
そのとき――
「冲様! 気を確かに!」
華佗の声が聞こえた。 (……今、“不倫事件の復讐”とか聞こえた気がしたけど、熱の幻覚だよな?)
「あなたに教わった 消毒・隔離・栄養、そして私の特製漢方薬で、この病魔を絶対に退治してみせます!」
華佗は必死だった。 俺のために、そして自分の“偽の愛人設定”を守るためにも。
華佗の治療と、これまで銀屏の鉄アレイで鍛えられた基礎体力が噛み合い、 数日間の高熱の果てに――
俺はついにインフルエンザを克服した。
正史のデスフラグを、完全にぶち壊したのだ。
体調が回復した俺は、病床から命令を下した。
「華佗、僕の治療法を今すぐ宮廷内に広めろ! 特に、僕と同世代の子供たちを優先して救うんだ!」
華佗の迅速な医療活動により、多くの少年少女が救われた。
その中には―― のちに正史で「曹冲の死後の妻(冥婚の相手)」となる運命だった、 将軍・甄鄴の娘、甄ちゃんも含まれていた。
隔離病棟で熱が下がり、命を救われた甄ちゃんは、 お見舞いに来た俺の手を弱々しく、しかし嬉しそうに握った。
「冲様……あなたが私を救ってくださったのですね。 お噂はかねがね……なんてお優しく、聡明なお方なのでしょう……」
そこへ看病のために曹操が入ってきた。 仲睦まじい俺たちを見て、曹操はガハハと笑った。
「おお、冲よ。甄家の娘を気に入ったか! 生き残ったお前へのご褒美だ。この娘をお前の“いいなずけ”に認定してやる!」
(やったぜ! 死の運命を回避したどころか、めちゃくちゃ可愛いリアル婚約者までゲットしちゃったぞ!)
俺は心の中で大勝利のガッツポーズを決めた。
……でも、何か忘れている気がする。




