4ピース
ありがとうございます。
みんながもの凄い勢いで、ウツテに顔を向けた。アレとイトの、下を向いていた顔が表になりウツテを見上げていた。トルトは上を見て、ゆっくりと顔を下ろしてウツテを見た。それと同時に大きな左手が、細い右肩に乗った。
「ダメだよぉ。ぼくじゃぁ」
ウツテが両肩に乗っていた手を1歩後ろに下がって外すと、トルトの両手は力なく前後に揺れていた。そして軽く前屈みになってしまったが、しっかりとウツテの方に向いている顔は、目も口も全開になっていて、いつもの堅さがあるが整っているトルトの顔が無くなっていた。
「なっ、何だって? 」
さっきまでの低く、心地よい声で話していた人と同じとは考えられない、情けない声だった。
「まぁ、座って座って」
言いながら、自分が座っていた場所にゆっくりとトルトを座らせる。力なく座り込んだトルトを支えるアレとイト。そして、新しい炎が揺れている近くに行き、みんなを見回しているウツテ。
「おい、ウツテ。わかるように話せ。」
トクがみんなにも聞こえるように声をかけた。それぞれがウツテに目を向ける。ハナが、手のひらと膝を地面についてみんなの後ろを通りトクの座る上にストンと腰を下ろす。
ウツテはトルトを見る。
「好きにしろ」
投げやりな言葉だが「お前のことだ。何かあるのだろう」と聞こえるような言い方だった。
「僕はぁ、クオカ片の長はぁ、セイがなるべきぃ、そう思うんだぁ」
みんなのウツテを見る目が変わった。トルトは額に掌をつけ、頭を下げていた。
「みんな、わかってるでしょぉ。この片を支えてるのはぁ、誰なのかをぉ。ミロ、リン、 トク、タロ、アレ、わかってぇ「日の火の炎を絶やさないための、片の長についてはオレとウツテとで、しっかり話しをさせてくれ。もちろん、1本目は必ず灯す」
ウツテが言い終わる前に、トルトはウツテの横に立って肩に手を回し、みんなに大きな声で伝えた。もちろん誰も何も言わないでくれた。集まっていたみんなは、静かに石の階段を下りていく。
「セイ。ちょっと話しがある」
トルトはもう1度、炎の近くに座り込んだ。そこにウツテとセイが静かに座った。
「僕はぁ、やりたくないんじゃないよぉ」
「わかってる」
「トルトもぉ、わかってるでしょぉ。僕の言いたいこともぉ。みんなが思ってることもぉ」
「あぁ」
「じゃぁ、何でみんなの前でぇ、決めてあげないのぉ」
「セイ。いいか? 」
真っ直ぐな目が向けられる。静かに頷き、また炎に目をやる。
「ウツテ。お前が言いたいことはクオカ片で生きているみんなは、もちろんわかっていることだ。そして、あたりまえになっている。セイは27才だ。眠り、起きれば28才になる」
「それはぁ、知ってるよぉ。僕の3才上だからぁ」
「オレはセイの7才上だ。セイが今まで生きてきた姿を知っている。そして、セイが生きていなかったクオカ片の生活も知っている」
ウツテは首をかしげ、手を顎につけてトルトを見ている。
「お前が言った、セイがクオカ片を支えているってことは、間違ってはいない。でも、オレは正しいとは言えない」
「セイがぁ、クオカの生活を作ってくれているよぉ。欠実もぉ、日の火のこともぉ」
「そうだな。今はな」
「どぉゆぅことぉ? 」
「昔は違ったんだ」
「セイの前は誰がやってたのぉ? 」
「いないんだ。セイの前にそれをやっていた人はいないんだ」
ウツテは、驚いたのか動きが止まった。
「セイはな、このクオカ片の生活を変えたんだ」
よろしくおねがいします。




