23ピース
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セイたちが、ロシマの入口に着くと、グレトとブリテが待っていた。エスはルイを連れて家に戻るため、ルイを引っ張るがセイの身体を力強く握っていて離れなかった。「困ったな」とその場で考えていたエスはセイの顔を見るが、セイはルイの方を見て動こうとしなかった。
「セイさんから離れたくないですの?」
あまり深く考えないで出た言葉は、セイとルイを振り向かせていた。
「そう言ってもな。うちらも家に帰って、眠らないと欠実が実らないだろ」
エスが困ったようにリベラに言った時にまた、ルイはセイの胸元にあった手に力を込めたように見えた。
「ルイちゃん、もう少しセイちゃんと一緒にいたら、私と一緒にエスさんとルイちゃんの家に行くですの?」
ルイがリベラの方を見て頷いたように見えた。エスは「んー」と考えていた。
「エスさん。私が家まで連れて行くですの。だめですの?」
リベラは頼み込むようにエスに伝えていた。「お願いですの」ともう1度伝えると「お願いするよ。ルイがそれでいいなら」と言って1人で家に向かっていた。
ルイはセイとリベラの顔をみて、小さく笑っていた。セイとルイと長の家の4人は日の火に向かっていた。日の火が美しく灯されている炎の近くに座る。アーツがセイの名前のついた木を裏に持っていってくれていた。ブリテが、次に森でやることをグレトに話していたが、急にグレトがセイに向かって話しかけたので、口を閉じていた。
「セイ。わしは、涙を流せるかの」
その大きな身体から出たとは思えない小さな声だった。ブリテもリベラも、グレトのこんな声を聞くのは珍しかったのか、何も言わずに炎を見ていた。
「いいとよ。グレトにも、ロシマにもたくさん新しい事を教えてもらっているから、僕はうれしいとよ」
セイは、いつもと変わらない口調で、グレトに声を掛ける。ルイがセイの顔を見て、動きを止めていた。グレトは炎を見たまま固まっていて、話しが止まっていた。アーツが裏から戻ってきたが、手には木を持っている。
「なぁ。セイ。やっぱり木は持ってたらどうだ?」
アーツが持っていった木をセイの前に置いた。
「この木はセイが造った、初めての物だろ。セイはこのロシマと、いろんな片をつなげてくれるんだ。だから、セイの生きたクオカと、このロシマがつながったときに、また持って来てくれよ。その時に、このセイの造った木をクオカのみんなと一緒に灯すのはどうだ?」
セイから見たアーツの後ろで炎が揺れていた。アーツは「そうしろ。なっ」と言って、セイの横に座った。そして、また話しが止まってしまい、ルイは、セイの顔を動かないでじっと見ている。それを見てリベラが声を出した。
「セイさん。何でルイは、セイさんから離れないですの?」
この声も小さな声だった。セイから少し離れた地面に座り、両手で顔を覆ったまま話しを続けていた。
「ルイも、生きる部屋の子どもたちもセイさんを見て、近くによってきたですの。セイさんには何かあるですの?」
「僕の事をどう思ってくれてるのかは、わからんよ? でも、ルイのことも、小さな命の事もわかってあげれるようになりたかね」
「わかってあげれる、ですの?」
「楽しい時も、悲しい時も、1番嬉しいのは、誰かが自分の事をわかってくれる時。僕は自分をわかってくれる人と一緒にいるときが1番嬉しいと。だから、みんなをわかってあげれるようになりたかとよ」
リベラは覆っていた手をどけて、セイの言葉の意味を考えた。
「おい、セイ。わかってあげるって小さな命のルイたちは言葉を話せないんだよ」
ブリテが固まっているリベラに同意を求めながら、セイに向かって話しをした。
「言葉が出ないほうが、わかってもらいたい気持ちは、もっとたくさんあるとやなかね?」
ブリテもセイの言葉をわかろうとするが、言葉を返せなかった。
「わしらは、一緒に生きているロシマの小さな命をわかろうとしてなかったかの。建物を造る事ばかり考えるために、小さな命を大切にできてなかったのかの」
「そんなことはなかよ。あの3つの部屋は、ロシマの生きていく役割をつくる大切な場所とよ。僕も、早くクオカのみんなに木を使って建物を造ることができることを教えてあげたか。それに、ロシマのみんなと一緒に、もっと楽しい場所を造りたか」
セイは、ロシマの素晴らしさをわかっている。ロシマ片の中で役割を決めて、小さな命が生きて、育ち、培っていくことが、ロシマの生活を良くしていくことだと感じていた。
セイの話しを聞いて片の長の4人は、固まっていた。それぞれが自分のやってきたことを考えているのだろう。セイも言葉を掛けることはなかった。ロシマの今までを造ってきて、これからを考えるのはこの4人なのに、自分の言葉が4人を困らせてしまっていることに気づいていたから。
日の火の前で静かに座ったままだった。その中にいた小さな命が、セイの腕の中から地面に下りて腹ばいをして動き出した。その動きに気づいたのはセイだけだった。4人は目を瞑ったり、日の火を眺めたり、上を見ていたりと、その小さな命が自分の座っている近くに来ていることに気づかなかったのだ。
「小さな命だからこそ、話せないからこそ、わかってくれる人のことをわかろうとすることができるとよ」
セイが声を出したときに、目の前にルイがいた。自分がしていたことがあっていたのかは、わからないが、今目の前にいる小さな命は、自分をわかろうとしてくれている。そう感じてしまった。
「あっ」
次もよろしくおねがいします。




