20ピース
ありがとうございます。
3人は大きな家の裏から歩いてすぐの森の近くに来ていた。そこには、たくさんの人が、木の近くで何かをしていた。セイはその人たちが何をしているのか知りたくなって、走り出していた。
「おい。待てよ。まずはみんなに」
「大丈夫じゃ」
セイが近くに行くと、男の人が木に向かって「ナウト」のウツのような動きをしている。手にはセイが見たことのない物が握られていた。
「僕、セイって言います。これは、何をしよるとね」
「なにをって、大きな石の鉛を使って木を倒してるんだ。て、お前誰ぇ?」
そう答えた男は、声のした方を見ると見たことのない男の子に向かって大きな声を出していた。その声が聞こえた周りにいた人々も「何だ」「誰だ」と目を向けた。
「みんな、ちょっと話しがあるのじゃ。集まってくれるかの」
その大きな声の近くにみんなが集まってきた。セイは、さっき男が使っていた石の鉛や、倒れている木の近くにある薄い石、細長い石を見て目を輝かせている。セイの背中に何か近づいてきた。しかし、初めてみる物がたくさんあり、目が離せなくなっていた。セイは首の後ろに強い力を感じた。足が地面から浮いたと思ったら、またグレトの太い右腕に持ち上げられてしまっていた。
「この男は、セイと言ってブリテが見つけて、今ここに連れてきたのじゃ。話しを聞いたら、ロシマではないクオカという片から来たと言っておるのじゃ。まぁわしもあまりよくわかっていないが、とりあえず、よくしてやってくれんかの」
そう言って「がははははは」と笑うグレトに会わせて「ははははは」と笑うセイをみんなが見ている。セイとグレトの他は2人を見て、固まっていたが、しばらくすると「何だそれは」「はははは」「わかってないって、まぁいいか」「ひっひっひっひっ」と言って笑いだした。
「まぁ、こうなるよな」
そう言ってブリテも頭を抱えながらも、小さく笑っていた。
「これで、こうやって、木を倒すとやね」
両手で石の鉛を持ち、木をウツようにしているセイに「おっ、そろそろ倒れるぞ」と石の鉛を貸してくれたコンが声を掛けると、ウツことを止めた。
「おーい、ゴウ! マル! 任せたぜー」
すると、2人の男が何も言わず長い何かを持って来て木に絡めていた。それを互いが引き合いながら木をセイたちが居ない方に倒そうとしている。
「ゴウとマルの皮綱を使って、木を誰も潰されない所に倒すんだ。ちょっと貸してみな。おーい。いくぞー」
そう言ってコンが、セイから石の鉛を取ると、木が折れそうな所に向かってウツ。そのまま大きな木がもの凄い音を立ててゴウとマルの引っ張る方向に倒れていた。
「凄か」
セイはその光景に見とれていた。今まで木を倒す事なんて考えたこともなかったからだ。3人はその倒れた大きな木をみんなで引きずって動かそうとしていた。すぐにその中に入り、思い切り力を込めて手伝っていた。
「この木はどうするとね?」
木を引きながら聞いていた。すると、そのさきには手よりも少し大きいが、薄くて綺麗な石を持った女の人たちが待っていた。
「エス。新しい木はここに置いてていいか?」
コンが3人の女の人に聞いていた。ゴウとマルはもう手を離して、皮綱を2人でまとめていた。
「えぇ。ここでいいわ。あら。セイ? だったわね。木を切ったのは初めてだったかい?」
セイの顔を手で触れながら「おいで。うちらのやってることも見ていきな」と言ってセイよりも身体はちょっと大きいが、細くて綺麗な手でセイの身体を木の近くに引いてくれた。その後ろから「よーし。メラも見せてあげるよー。セイくん。よーく見てて。さっ、ルダちゃんもやりますよー」と綺麗な薄い石を思い切り上に挙げている元気な女の子がいた。その隣に居るもう1人の小柄な女の子は、地面に転がる木に向かって座っていて「メラ。煩い。ルダ。もうやってる」と良いながら、薄くて綺麗な石で、木の皮を剥いでいる。
「さっすがルダちゃん。待たない所もかわいいねー」
ルダの反対側に座って、綺麗に皮を剥いでいくメラ。
「木の皮を、この石の刃で剥ぐのがうちらのやってることさ」
そう言うと石の刃をセイに手渡して「やってみな」と背中を押してくれた。ルダの横に座ると「隣。いらない。」とセイから離れた所でまた、皮を剥ぎ始めたルダの手を良くみてセイも皮に石の刃を差し込む。
「あれっ?」
皮を剥がすことは出来るが、ルダや、メラのように皮を長く剥がすことができない。何度か挑戦してみるが剥がした皮はどれも小さなものばかりだった。
「こうやって、力を入れすぎないでやるんだ」
セイの後ろから、細い手が2本伸びてきてセイの両手を握った。セイの左肩の上にはエスの顔が乗せられて「力抜くんだよ」と声を掛けてくれた。そのままセイの目の前の木の皮に石の刃を入れ込んでいく。そして、左手で持っている石の刃を動かしながら、右手で少しずつ皮を持ち上げていくと、少しずつだが木の皮が剥がれていった。「できたじゃないか」手を離して隣に座ったエスは、セイの顔の横で笑っていた。セイはその後も何度も石の刃を使って皮を剥いでいった。何度も繰り返すと、いつの間にか木の皮が無くなっていた。
「そろそろ、片に戻ろうかの」
皮を剥いだ木を、森から離れた所に並べていたグレトが叫ぶとみんなが片の方に戻っていった。セイもグレトの後ろを、ブリテを先頭にみんなが一緒に片に戻っていく。
セイはコンと石の鉛でウツ時の身体の動かし方を聞いたり、エスから石の刃をどうやって作ったのかなどを聞きながら歩いていたら、あっという間にロシマ方に着いていた。
しかし片には、森から戻ってきたみんな以外には誰も居ないように見えた。セイと一緒に戻ってきたのはセイを含めて14人だ。168人が生きているとグレトもブリテも言っていた。しかも1番前を歩いているグレトはさっきセイと初めて会った家の中に入っていくと思っていたが、そのままみんなと歩いて通り過ぎていた。
「セイ。あの木の箱のこと覚えてるかよ?」
「あっ」
木を倒して、皮を剥いだり、初めて見る道具に驚き続けていて、あの大きな木の箱を忘れていたセイは、1番前歩くグレトの所に向かって走った。追いついてすぐに聞きたかったことを声に出していた。
「僕が、ブリテに会えた場所の近くに箱が3つあったとけど、それには、離れている道があって。それで、あれ何かなって。知っとるなら、教えてくれるやか?」
「セイ。そんなに早く話していてはわからんの」
なぜかグレトの所まで行き、しかも焦りすぎて上手く聞けていないセイに、「はぁー」と片方の手で頭を抱えながら、後ろから肩に手をのせたブリテ。
「みんな今から行くからよ。一緒に行くとわかる」
その言葉を聞いたセイは「また新しい事がわかる」と喜んでいた。その嬉しそうな顔を見て「がははははは」と笑っているグレトを見て、セイも「ははははは」と笑いながら片の方に向かっていた。
ブリテと2人で歩いて来たときは、曲がったり上り下りをしながら歩いたはずだったが、みんなで歩いて行くと、すぐにセイがロシマに着いて最初に気になった場所に着いた。
「悪かったよ。ロシマに向かうときはまだセイの事をどうしようか考えていて、遠回りをしてたんだよ」
肩をポンと叩きながら、ブリテがセイに言った。
「これが、オレたちが採っている木で作られた木の部屋と、セイが渡ろうとしていたが渡れなかった木の橋だよ」
目の前には、3つの木の部屋と、それぞれに通じている木の橋があった。セイはこれを見たのは2回目だったが、さっきまで森で倒したり、剥いだりしていた木がこんな形に変わるのかと思うとドキドキしていた。
「さあ、行こうかの」
セイ以外の13人はそれぞれが木の橋を渡っていき部屋に入っていった。セイはグレトとブリテに着いていき1番左側の木の部屋に入って行くことにした。
「セイ、早くこいよ。そんなことしてたら、みんな帰っちまうよ」
セイは初めて、地面より上を歩いていた。下を見るとあのさらさらの粉がたくさんある。歩くたびに「ギィ」と木の音がする。歩いている橋の両側に、手で持ちやすい位置に張られている皮縄を、しっかりもってゆっくり進んでいたら、いつの間にか2人は部屋の前に着いていた。
「わかっとるけど、そんなに早く歩けんとよ」
大きく揺れはしないが、いつも歩いている動かない地面とは違う身体の使い方をしないといけないことで、セイは、2人からだいぶ遅れて部屋の前に着いた。そこでは、グレトとブリテ開けた部屋の扉の前に女の人が立っている。3人がセイの方を見ていた。
「これが、セイじゃ」
「あら。かわいい男の子ですの」
「ぷっ」
「僕は28才やけんね」
「「えっ」」
「ぷっ」
また、ブリテがセイを見て笑っていた。
「僕は! 28才ですからね!」
3人にしっかり聞こえるように伝えると「わしと1才しか離れてないの」「あら。てっきり私より、お若いかと思いましたの」などと言って2人がセイを見ている。その横で「ぷぷぷっ」と笑いを我慢している男をセイは見ないことにした。
「あらあら。申し訳なかったですの。私は長の家のリベラですの。グレトから簡単ですが話は聞きましたの。また、後でセイちゃんのクオカ片のお話きかせてくださいですの。」
「ぷっ。セ、セ、セイちゃん。ぷぷっ」
両手で口を押さえて我慢している男はセイには見えないことにしていた。そんなことは良いいからと部屋の中を見ようと覗き込んだ。その部屋の中を見ると、3人をすり抜けながら中に入ろうとした。
「あっ。ちょっと待ってですの。この中での決まりを守ってもらいたいですの」
セイを止めようとした手は、横から伸びてきた大きな手に止められた。
「大丈夫じゃ」
グレトは「がははははは」と笑いながら、中に入っていくセイを部屋の入口から見ていた。その横で「ここは、なかなか大変だと思うよ」と腕を組んで見ているブリテも中には入らずグレトの横からセイを見守っていた。
「もう。なにが大丈夫ですの。ちょっと、セイちゃん」
リベラはセイを追いかけようと部屋の中に入る。その部屋の真ん中で座り、大きな声で何かを訴えている小さな命を大切に扱っている姿に目を奪われた。「この子は、私たちとは違う」そう感じたリベラは、急に入って来たロシマの人ではないセイを見て、部屋の中にいた大人の男たちがセイの近くに行こうとする。その男たちにリベラは目で合図を送り止めた。そして、しばらく離れた所からその姿を眺めていた。
「お前は、悲しいと? 寂しいとね?」
次もよろしくおねがいします。




