↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
母と結婚するときに子を政略に使わないことを条件に嫁入りしてもらったのに約束を忘れてやらかすとはなにごとですか?  作者: リーシャ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
3/10

03それはそれとして母よなぜすぐに助けてくれなかったの?

 母は父の顔を見ながらため息を吐いて「真面目なのにバカなんだから」と呟く。

 母は父のことを愛しているのだから、離れることがどれだけ悲しいのか想像しただけでも痛々しい。それでも馬車を止めない。


 父の項垂れた髪が見える。腰を曲げて意気消沈しているらしい。エメベルマと王子の婚約をなくさない限りなにも進展しないと思うから、なんとか王に流されずになればいい。

 ギリギリアウトだが、サービスがほんの少しでも起こるかもしれないから。


「簡単に復縁しないわ。約束を破ったのはあの人だもの」


 母の言葉に本当に流されないといいけどねとちょっと疑う目をしながら外の景色を見た。そうして母の親が住む領地に行く。


 裕福な貴族の生まれなので祖父母らは大変歓迎してくれた。離婚するかもしれないと話しても役立たずなんだから早くしてしまえと進める。


 娘の婚姻を母親の約束を忘れて王家との政略で利用したのだ。離婚することも喜んでいる。

 しかし、母はもう少し待つわと両親を止めていた。いくら約束を破られても愛しているのだから仕方ない。エメベルマも両親のことなので待つことにした。


 もしもの時はエメベルマは母を説得して離婚させる。復縁させるかと思われるかもしれないが、父にあまりにもそれは有利すぎる。


 次に同じことをするときに前の時はセーフだからだと約束が一段と緩く思うことになるし。罰は受けた方がいい。


 ペナルティがないと同じようなことを再度するかもしれない。喉元過ぎれば熱さを忘れるとは言うが、今回が初犯だからこそ軽い罰にしてはいけない。


 次は娘ではなく息子に行くかもしれないし、妻にシワ寄せが行くかもしれない。

 そもそも初めての失敗で緩い罰を与えられるのはそれが司法だから。


 この世界ではそういうものはない。照らし合わせてみたら、父の行為は約束を破るなんて軽いことではない。


 契約違反の過失に該当する。口約束ではない。母の実家とも紙の上でしっかり明記されているものなのだと母は語る。


 父はそれすらも忘れおり、口約束だと思っているかもしれないと言う。確かに、思い出したけど具体的なことは覚えてなさげだった。


 娘が生まれる前となると十年以上前、兄が生まれる前なのでもっと前になる。人というのは記憶の保持に限界があるので、忘却していてもなんらおかしく無い。

 いやまぁ、それはそうだけどあまりにも忘れすぎている。母はそれ以降使わないでと言わなかったわけじゃない。節目節目に言っていたという。軽く流していたのだろうか?


 聞き慣れてしまい、脳が勝手に処理したのかもしれない。そうなると、いよいよ父は再起不可にしか思えない。


 こちらは何もしない。してはいけない。また同じことをしてしまうだろう。兄も怒りで許す気はないと何度も口にしていた。だれのためにもならない。


 自分のためにもならない。そういうことだ。甘やかしてしまえば、それだけ辛い目に遭うのは被害者のこちら。


 母と兄とで話し合っていると父を王家に売り渡すのはどうかという方向に行く。後ろ盾などというものに括るのならば母と離縁して父が王家と縁付けばいい。


 三人で話していると実家に着く。家は広くお金持ち。お金持ち最高。見ていると綺麗な花が庭に咲いている。どれも庭師が丁寧に手入れしていると分かる。


「お母様、縁を再度結ぶかも考えてくださいね」


「ええ」


「しっかり考えてくださいね」


 兄が母に対して言い含める。愛しているからこそ甘く対応しないかと気にしているのだろう。

 そこは自分も気になるのだから、頷く。愛するってなんでも許してしまうパワーがある。


「わかってるわ」


「本当に頼みますよ。父上と同じ轍は踏まないでくださいね」


 再三釘を刺していく。母はウンウンと頷く。


「本当に頼みますよお母様」


 エメベルマも父と母がラブラブなのは知っているので、絆されないかと心配だ。もし、母が絆されたら母だけ戻ればいいんだけど。その場合息子と娘を永遠に無くすことになるけどね?


「お母様、わかってますよね?」


「わかってます。あなたたちを手放しはしないわ。私はあなたたちを手放すのならあの人を捨てるもの」


「それなら良いのですが」


 エメベルマはちょっと疑いもあったので、それならいいかな。だって、母もあーだこーだ父に言いながら婚約を辞めてくれないし。

 祖父母たちにもっと早く行動してくれればよかったのに。そこだけが少し引っかかる。

 なにか理由があるのだとしても父と約束したことを今の今まで突っ込まなかった契約内容。不信を抱くなと言う方が無理。


「お母様は私をなぜもっと早く助けてくれなかったの?」


「あ……それは」


「エメベルマ、父が当主だった。いくら不適合でも当主の言葉は強い」


「そんなこと兄様より知ってる。私が言ってるのは、もっと精神的なものだよ。わかってるくせに」


 今責めているのは、漸く家族が父という敵を認識したからに過ぎない。王子と婚約させられてと聞かされて何日経過したと思っているのと、言外に二人を見たが言葉を詰まらせて黙っているだけ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。