スキルアップの秘訣は根性!
本日はもう1話投稿します。
「ていっ!」
「やー!」
休むことなく、ひたすらに木の枝を叩きつける。
初めは尖った先で突いていたけれど、突くという動作に疲れて叩いてみたら、なんとその一撃でスライムを屠ることができたのだ!
それからは叩くという動作にシフトチェンジし、5メートル四方にいるスライムを討伐しては核を取り出し、また次のスライムがいる場所へと移動、討伐を繰り返している。
しかも、移動は距離に関係なくできるだけダッシュ。
正直、呼吸をするのも苦しいが、根性で乗り切るのだ!
実は、最初は無言でスライムを討伐していた。
孤独耐性の強い私は、声を出さないことに慣れきってしまている。だから、疲れが溜まってきて打撃の際に思わず発声したときに、予想外に甲高い自分の声に驚いてしまった。
そう、10歳の少女は可愛らしくも可憐な声をしていたのだ!
そこからはスライムを屠りながら、より可愛らしい声を研究するという重要なミッションが加わった。
イメージ通りの声が出せるようになると、どうしてもニヤニヤするのを抑えられなかった。
しかも、途中で体が軽くなったのでステータスを確認してみれば、【俊敏】【打撃】【根性】というスキルがそれぞれレベル1でついていた。
人並み以上の俊敏さで、にやにやとしながらスライムを屠る少女……。
うん、傍から見たら不気味だと思う。幸いにして、この辺に人はいないからいいけどね!
どのくらいの時間が経過したかわからないが、流石に喉が渇いてきた。
森の奥に行かないように、外縁に沿うよう移動していたところで小川を発見。ここで小休止を取ることにする。
川沿いの茂みに集めてきた核を隠すように置いてから、小川の流れにそっと小さな手を入れる。
火照った体に冷たくて心地よい。水も綺麗で美味しく、喉を潤すたびに体に染み入る様に馴染んでゆく。
ふと思い立って川の流れに自分の顔を映し出してみる。物語なら川面にはっきりと映し出されるのだろうけれど、残念ながら現実では表面が波打っていてよくわからない。
西洋風の顔立ちだということはなんとなくわかった。まぁ、肩まである髪の色がオレンジとゴールドの中間なのだから、西洋風で当然なのかもしれないが。
それにしても、これは神様らしき存在が気を遣ってくれたのだろうか……。
っと、のんびり休憩している暇はない。
「いーち、にーい、さぁーん」
と声に出しながら集めた核を数えてみると、86個あった。
……ん!?数え方が幼児化してる!
でも……知能が退化している様子はないな。うん、気にしない。ちっさいことを気にしていたら異世界転生なんて到底受け入れられない。でもこの世界で生きていくしかないのだから、あるがままを受け入れるしかないのだ!
まだ昼前なので、できればもう少しスキルアップを図りたいところだが、生憎、核を運ぶ手段がない。
途中で運よくボロきれを見つけたから風呂敷のようにしてここまで運んできたけど、これ以上は入る余地がない。
うーん、どうするべきか。
スライムはこの世界で最弱の魔物で、自然発生したり分裂したりして増えるらしいが、そのほとんどは誕生から3日程度で生命力を使い切ってしまうそうだ。
だから特異進化した個体以外は人間の脅威とはなっていないし、討伐依頼も特に出されることはない。もちろん核も小さく、内包されている力も弱い。
それでも、庶民の生活を支える魔道具には欠かせない。
だから子供のお小遣い稼ぎ程度の値段で売られている。
つまり、現状一文無しの私にとって大事な収入源となるのだ。
1個当たりいくらになるかわからないが、はした金であることに間違いはないだろう。
やはり、もっと稼ぎたい!
核の半分ほどを目立たないよう小川の側に隠し、残り半分をボロきれに包んで街道の先にある街に向けて走り出した。




