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君が好き??  作者: 尾花となみ
sideC:番外編
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中三の夏・真相!(同窓会する?)慶二視点

「そう言えばさ、中三の夏の事覚えてる?」

 唯に急にそう問われ、手に持っていたコーヒーカップを倒す。

 慌てて起こすと、大してこぼれてなかった。良かった。

 こぼれたコーヒーを拭きながら、拭くのを手伝ってくれていた唯を盗み見る。


 お前、今なんつった?


 拭き終わって唯が視線を上げ……首を傾げた。

「どうした? 大丈夫?」

 いや、大丈夫って……。

 変な顔をしてる自覚があったから、唯に「ふふっ」って笑われても無視。


「覚えてるんだ。ま、当たり前だよね」

 いや、だからお前なんでそんな嬉しそうなんだよ? 俺のトラウマだぞ?

「……なんで急に?」


「実はさ、この間偶然理沙りさちゃんに会ってさ~! もう結婚して子供いたの! 知ってた?」

「理沙?」

「そう! 松木理沙ちゃん! 中三の時同じクラスだった!」

 ああ、思い出した。お前とは真逆に位置してた様なヤツね。


 お前本当に中三かよ! って突っ込みたくなるぐらい発育がよくて、エロイ身体してた女ね。

 実際に年上の彼氏がいるとかで、あぁ、これはもう貫通済みだなぁなんて男達の間に噂になってたっけ。


「で、その理沙ちゃんが?」

「ちょっと立ち話しただけなんだけどね。久々に会ったらその当時の事思い出してさ~」

「……何を?」


「別にそんなに仲良かった訳じゃないんだけど……一度だけ悩みを相談した事があったんだよね」

「……どんな?」

 話が進むにつれ、嫌な予感しかしないんですけど。

 ちょっと落ち着く為に残っていたコーヒーを飲む。


「男の人がセックスしたい時ってどんな時? って」

「ぶほっ! ゴホゴホゴホっ」

「やだ! 大丈夫?」

 俺は口に含んでたコーヒーを噴き出した。

 なんだよ、零したり噴出したりで結局コーヒー全然飲めねーじゃねーかよ。


「だ、大丈夫じゃねーし」

 口元を拭いながら、またテーブルを拭いてくれてる唯を睨み付けた。

「えへへ。だって他に相談出来そうな相手いなかったんだもーん」

 ってそんな風に可愛く言っても駄目だぞ。騙されねーぞ。


「だってだって、すっごく悩んだんだよ? あの後どうしたらいいかわかんなくて。お父さんやお母さんに相談なんてとんでもないし」

 当たり前だ。以ての外だ。ってかその相談相手はマズイって思ってくれて助かった。

 もし何の悪意もなく相談されてたら俺は今頃生きてないな。

 確実に東京湾あたりに沈められてるよ……。


「友香はさぁー、なんかあの時イライラしてる事が多くて、私と慶の事話すと嫌そうにしてたから……相談なんか出来なかった」

 ……あぁ、そうか、丁度その時ぐらいか? 友香も色気づき始めたのは。

 なんか悪い方に悩んでそうな感じがあって……危なっかしかったような? って俺は唯の事しか頭になかったから忘れたけど。


「だから……ちょっと色々進んでそうな理沙ちゃんに相談したの」

 なるほど、確かにその、色々進んでそうな理沙ちゃんと言うチョイスはいいが、相手の性格を考慮してないな?


「そしたらさー。なんか男の人はいつでもシタイに決まってんじゃん。とか女の身体が目の前にあったらいつでも入れたいと思ってんだよ。とか、まぁー当時の私には刺激的な事ばっかり口にされてさー」

「…………」

 あの女……今度俺が偶然会ったら〆る。


「で、最後に言われた言葉にすごいショック受けてね……」

「……何?」

 もう今更何言われても驚かねーよ?


「……慶二なんていつもシタそうじゃん。舐めるように私の身体見てるよって」

「はぁ!?」

 驚かねーつもりでいたけど驚いちまったよ。何言ってたんだあの女?


「それでさー、あぁ、そっか。慶ってばそう言う事に興味があって、取り合えず手頃に出来そうな私を襲ったのかなぁ……なんて納得しちゃったのよ」

「はぁ!?!?」

 なんだよそれ!?


「まぁさ、今ならその男子中学生の? 多感な性欲ってのを? 理解してあげれるんだけど、当時は無理でさ~」

「いやいやいやいや! 待て待て待て待て。俺がいつあいつを舐めるように見てたんだよ。そんな事ねーし」


「えーー? だって理沙ちゃんそんな事言ったんだよ? 一語一句覚えてる! 間違えずに言った!」

「ばっ……か。あの時は……。そうだ、確か年上の彼氏と別れた後だったよな」

 当時を思い出しながら聞くと唯は無言で頷く。


「そう、それで、言い寄って来たんだ」

「はぁ!?」

 さっきの俺のように目を真ん丸にして驚いてる。


「で、俺は断ったんだよ。そう、そうそう思い出した。断った台詞まで思い出した」

 新学期始まって、一度触れた唯の胸が忘れられなくて欲求不満が溜まってたのはまぁ、事実だ。

 それで多少色んな女の身体に目が行ってしまっていたのも……まぁ事実だろう。


 で、その男独自の視線に機敏に反応したのが……理沙だったんだ。

 放課後にセックスしようって誘って来て……丁寧にお断りした。

 俺は別にセックスがしたい訳じゃない。(いや、本気で。確かにセックス自体に興味もあったけど、その時は)唯とだからしたいんだって断ったんだ。


 はー、それでプライドでも傷つけたかねぇ?

 唯に聞かれてすぐ俺の事だって分かったんだろうな……それでその台詞、って……どんだけ性悪だよ。


「ちょっと! 何一人で納得してるのよ! なんて断ったの?!」

「あー、俺は唯が好きだって?」

「…………なんで疑問系なのよ」

 そう怒りながら顔赤いですよ、唯さん。相変わらず慣れねーな。


「唯はいつ頃相談したんだよ?」

「え? えーーっと……十一月ぐらいだったかな?」

 やっぱり。俺が誘われたのが新学期始まってすぐだったから、唯の方が後だな。

 って事はやっぱり性悪だな。


「え? あれ? 慶が告白されたのっていつ?」

 正確には告白じゃなくて、セックスへの誘いだけどな。

「九月」

「え? あれ? ……え!? えーーーー! って事は、もしかして断られた腹いせに!?」

 やっぱり唯は天然だけど、馬鹿じゃないよな。勉強は出来るんだし。


「うわ、うそ! 最悪。ずっと納得してたのに」

「お前単純だからなー。俺が相手だってバレバレだったんだろ?」

 ニヤニヤしながら聞く。

 だって、やっぱり実はその当時からちゃんと俺の事好きだった訳だろ?

 ちょっとそう言う面で発育が遅かっただけで、俺の事が好きだったわけだ。


「うーーー、そうかなぁ。相手の名前は言わなかったんだよねぇ。でも慶の名前出されてびっくりしちゃって……バレバレだったのかなぁ?」

「で?」

「ん? で?」

 不思議そうな唯に話の先を催促する。


「話の続きないわけ?」

「あ。え、えっと……何かそれ聞いたら続けるの微妙だけど……まぁ、つまり。当時はその、男子中学生の性欲を理解できてあげれなくてごめんね、って話よ」

 真っ赤になってそっぽ向いて謝罪する唯が愛しい。


「つまり? あの時拒んじゃって悪かったなぁって話し?」

「べ、別にそう言う事じゃないけどね! だって中三じゃやっぱり早いでしょ?!」

 あわあわする唯が可愛くて、俺は横から腕の中に閉じ込める。


「今は……早くないだろ?」

 色気を込めて耳元で囁き、首筋をチロっと舐める。

「やんっ。じ、時間はちょっと早いんじゃない?」

 まぁ、確かに?

 まだ朝だけど。昨日の夜も散々啼かせたけど。でも俺の身体はその先を期待して熱が一点に集中。


「うーうーうー」

 真っ赤になって身悶える唯が可愛くて仕方ない。

 何度抱いても変わらず初心な唯が愛しい。


 でも、この先を期待して震える唯に答えないとな?

 俺はキャミソールの隙間から不埒な手を侵入させる。


「け、いっ! やだ、まだ朝だよ? 昨日だって、いっぱい……んっ」

 そんな野暮な事言う唇は塞がないと。深い口付けにも大分慣れ、たどたどしくも答えてくれる唯が可愛い。

「ん、んんっ。慶ー」

 咥内を舌で犯しながら、胸を揉みしだく。あの時より格段に成長した胸は、最高の触り心地だ。


「ちょ、ちょっと! まった! そうじゃなくて! そう言えば慶だって悪かったんだからね!」

「は?」

 オイタをする俺の手の甲をつまんで、どうにか逃げそんな事を言う唯を凝視する。


「だって! 高校入って、どうしたらいいかなぁーなんて私が思ってる間に、慶ってばすぐ女の人作ったでしょ。で、明らかにベタベタしてて……やっぱりそれが目的だったんじゃんって思ったんだよね!」

 ……耳が痛い。


 確かに……そう思われても仕方のない付き合いをしてたよなー……。つい遠い目をする。

 あの時はあの選択でいいと思っていたし、今更言い訳をするつもりもないと思っていたが……唯とこうやって想いを通じ合わせた後になって思えば、あの選択は失敗だったのかもしれないと少しは思う。


 だって、諦めないで時間をかけてもっと唯と向き合っていれば……その時から両思いだった訳だろ?  でも、俺は唯に拒絶されて向き合う事にビビッてしまって……。

 ……いや、待てよ? あんな風に俺を拒絶した唯にも多少は責任あるんじゃね?

 あぁ、だから悪かったって謝ろうと思ったわけか。


 可愛いじゃねーか。口元が締まりなく緩む。 

 プリプリ怒りながら朝食の後片付けをしている唯の背後にそっと近づく。

 さっきの続きをするべく、後ろから唯を抱きしめ無防備な首元に舌を這わす。


「ちょ、慶! やだ、やめてよー」

 洗い物をしている唯は両手が泡だらけで俺の不埒な手を止めることが出来ない。

 慌てて手を洗い抵抗する体を抱え、俺はそのままベットへと向かった。



 ◆ ◆ ◆



「あれ? 富樫君?」

 そう声をかけられ、俺は声のした方を向くと……松木理沙がいた。

 ベビーカーに掴まったままびっくりした顔をしている。

「おお、松木?」  

 あまり変わってなく、すぐわかった。向こうも疑問系だったが声をかけるぐらいだからすぐわかったのだろう。

 本当に地元に帰ってたんだな。ってか本当に子供いたんだな……。


「やっだー、久しぶり~。こんな所でどうしたのー? 一人~?」

 今日は唯と二人地元のショッピングモールへ買い物に来ていた。

 今唯はトイレに行っていて俺一人だ。

「いや、彼女と一緒。トイレ行ってる」

「彼女~? 相変わらずもてそうだもんねー。そう言えばこの間唯にも偶然会ってさー。なんかずいぶん可愛くなってたよー。会ってる?」


「まぁな」

 そう答えながら、やっぱりと思った。

 唯のやろう、俺と付き合ってるって話してないな。

 この間の感じから言い出せてないだろうなーとは思ったが……なんでだよ。皆に知られるの嫌なのかよ。

 変な事を考えてちょっと暗くなっていたら唯が戻ってきた。


「お待たせー。あっ!! ……理沙ちゃん……」

「え? え? えぇぇぇぇ!? 富樫君今彼女って言ったよ? 彼女って! 付き合ってたの? 何でこの間教えてくれなかったのーーー!?」

 ベビーカーそっちのけで松木は唯に詰め寄る。


「や、あの、その、だって………………かしぃ……」

 唯はうつむくと最後、小さな声でボソボソと言って良く聞こえなかった。

「何? なんで? 知られたくなかった?」

 ぐいぐい行く松木に押されながら顔を上げた唯は……真っ赤だった。

 気持ち涙ぐんでいて……やべぇ、可愛い。


「だって恥ずかしいじゃん! 昔から知ってる人達にばれたらからかわれるでしょ? 何言われるかわかんないし……恥ずかしいじゃん!」

 真っ赤な顔でそんな事を言う唯を気付いたら抱きしめていた。

「可愛いなぁー、本当可愛いなぁー。いいじゃんいいじゃん、別に言わせても。ってか俺は皆に自慢したいぐらいだぜぇ?」

 暴れる唯をぎゅうぎゅうしていたら、生暖かい視線を感じる。


「えー、富樫君ってそう言うキャラだっけぇ?」

「いいのいいの。俺は色々学んだの。唯相手には直球どころか剛速球で行かないと駄目だって事に」

「まぁ、そうだよねー。富樫君の攻撃はさんざんスルーされてたもんねー。って言うか良かったねーくっついて! おめでとー。当然このまま結婚しちゃいなよー」

「おお、サンキュ。そうだ! そうだよ、皆に報告しないと!」

「はぁ!?」

 どうにか顔を出して文句を言おうとした唯を再び抱え込むと、松木へ向き直る。


「お前まだしばらくいんの? じゃあ、同窓会しねぇ? 久々に皆に声かけてさ、飲み会でもしようぜ? あ、でもさすがに人妻は夜難しいか?」

「大丈夫大丈夫! 全然オッケーだよー! やだ、超楽しみ~! たまには息抜きしたいもん! 日付とか決めようよー、私も女子に声かけるよー!」

「マジで! 頼む! 俺は男呼ぶよ。赤外線しとくか?」

「するするー。やーん、皆どんな反応するかなぁー。楽しみ~」


 松木〆る、なんて思ってたがいいヤツじゃん!

 俺は唯を離すと携帯を取り出し番号を交換する。

 横で唯がギャーギャー騒いでいたが無視だ。悪いがそのお願いは聞けないぜー。

 お前が内緒にしておこうなんて思ってたからいけないんだぜー。どんだけ俺が唯の事を昔から好きだったか証言してもらわないとなー。


「同窓会なんて絶対にしないからねー!!」 

 そんな風に叫ぶ唯を無視して、俺たちは昔話に花を咲かせたのだった。




 後日、同級生達との飲み会が開催されたかどうかは……また別のお話??


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