描写
( ):シリアスと思わせてギャグ回にするという天才的高等テクニック。
(裏):別名、偶々できちゃったとも言う。
( ):シッ!バカ!なんでそんなこと言うの!
(裏):……(ゴミを見る目)
⭐︎⭐︎⭐︎ 【絶命刀】 オール・フォルタム
これは、最初に見せられた光景かな。より詳しく描写されているんだね。恐らく、前回のは軽い概要だけだったんでしょうね。より詳しく見れるというのなら是非もない。
光が視界を埋め尽くしていて、その中でぼんやりと輪郭がピントを合わせるようにはっきりしていく。それは、どこかの森の映像だ。青々とした葉が茂り、鳥の囀りが鳴り響く綺麗な森だ。マイナスイオンが大量に存在しそうなその森で、とある集団が狩を行っていた。
⭐︎
「Gruuo」
「Gaa?」
「Myy」
虎の集団だ。黒や茶色の体毛に覆われた毛皮を持ち、比較的小柄な虎の群。体長は恐らく1・5メートルほど。連携攻撃を駆使して自分たちよりも遥かに大きな敵を次々と倒していた。
「……M」
そんな中で、一人だけ浮いている子虎がいた。他の暗い色付きの体毛に対し、その虎は深雪のような真っ白な毛皮持っていた。周りとまともに取り合ってもらえず、かと言って一人ではうまく獲物を捕まえられないと言う悪循環。そんな中でも必死に群れに食らいつき、なんとかその場しのぎで彼は生き残っていた。
「……M゛……」
そんなふうに努力しても、実らないことはある。群れに食らいついていた白い虎は、けれどある日、ついに群から追放されてしまう。当然だ、自然界では周りに合わせられないものは排除される。同じでないものは淘汰されてしまうのだ。
一人ぼっちになった白い虎は、けれど死にたくないから足掻き始めた。曇天の空の下で、ぽつりぽつりと振り始めた雨の中で、それでも虎はなんとか生き残ろうとあがいた。
群なら狩ることができた大きな獲物も、ひとりぼっちの虎からすれば捕食者だ。子供ということもあって小さいその体は誰かを倒すのには適していなくとも、隠れることには補正が高かった。
「Q〜……Meao…」
雨でぐっしょりと濡れつつもその日の食事を手にして近くの木の木陰でなんとかエネルギーを確保する。その日は、そのままとこに着いた。小さな物音がするたびに目が覚め、まともに眠れない夜だった。そんな浅い眠りなら、次の日もまともにスッキリと起きれるはずもない。
ゆっくりと身を起こした虎は、その日もまた食事集めに奔走する。手頃な獲物が見つからなくても、小さな動物を食べてなんとか凌いだ。大きな捕食者にあった時は、脇目も振らずにとにかく逃げた。体が悲鳴をあげて、寝不足の脳が軋みを上げても動き続けた。
けれど、誰だって限界は訪れる。いくら若くとも、なんでもできるわけではない。何日経ったかわからないが、少なくとも一月は超えたその日、虎はついに限界を迎えた。
霞む視界の中で、それでも、と虎は歩みを止めなかった。体が冷たかった。神経が冷え切り、自分のものとは思えないほどその足はいうことを聞いてくれなかった。
ドサリ、と音がした。一瞬、虎は何が起きたかわからなかった。それからゆっくりと何が起きたかを理解した。冷たい風が身を揺さぶり、けれどぴくりとも彼の四肢は動いていなかった。堅い土塊に身を横たえ、虎はもはや死んでいるも同然だった。
ザクリ、と誰かが土を踏む音が聞こえた。視界を動かすことすらままならない虎は、されるがままになるしかなかった。けれど、死を覚悟した虎には終わりが訪れなかった。
何かが視界に転がってくる。よく見ればそれは何かの死骸のようで……丁度いい大きさのそれは、紛れもなく食糧だった。
残る力を振り絞って虎はそれに口をつけた。食べれば食べるほど力が湧いてきるような感覚がして、その時ほど虎にとって生を感じる時はなかった。
食べ終わって、なんとかまた持ち堪えるようになったところで、虎はなぜこの食糧が自分の元に転がり込んできたかを考え、食糧が飛んできた先を見て……驚いた。
自分とは似ても似つかない黒色の体毛。自分とは似ても似つかない虎の種の中でも大柄な肉体。それは、虎の両親だった。
虎は、なんで、という意味を含ませた声を鳴きかけて……口をつぐんだ。何を思っているか虎にはわからない。けれど、これは別に気まぐれだったのだと、なんとなく虎には察しがついたから。
何も言えぬまま立っていると、暫くして見つめあっていた虎の両親は森の奥深くに帰っていってしまった。ついて行こうかとも思った。けれど、結果として彼はついていかなかった。もう諦めていたかもしれない。けれど、食糧までもらって、その上さらに甘えるのは気が引けたかもしれない。
いや、正確には違った。虎は、もう自分が一匹狼なのだと理解していた。そして、そのためのプライドも芽生え始めているのだと理解した。
ふと、虎は振り返った。両親が去っていった方向を軽く見た時、彼はけれど目があった。自分と唯一同じの青い目。それが、じっと虎を見つめていた。
思わずたじろぐ虎は、けれど次の両親の行動にまた驚いた。
両親は、とある一方向を指差した。いや、正確にはその方向に向かって腕を振っただけか。それでも虎には彼らの伝えたいことが理解できた。そちらに向かってみろと、そんなふうに言ってる気がしたのだ。
それから今度こそ虎の両親は去っていった。それを見送ってから、虎もまた指さされた方向へ進み出した。
しばらくすると、彼は何故か森のあたりでもこの一角だけが光り輝いていたことを理解する。いつのまにか鬱蒼とした森は明るさを帯び、それどころか動物の数自体が少なくなっていった。それでも歩みを止めないでいると、ついに完全に生命の気配は消え、森は歌っているかのようにざわめく。
虎は不安を覚えていた。これだけ明るく、普通の存在なら誰であれ安心感を覚えるはずだ。多くの動物は潜在的危険性がある暗闇を嫌い、代わりに目の届く光を好む。特にその傾向は弱者側である草食動物を始めとした存在たちに顕著だった。
けれど、雑食動物でありながら虎は非常に体の芯から冷えるような感覚を覚えていた。まるで、無明の暗闇に足を踏み入れているかのような、体の感覚が消え去っていくような、そんな恐れ、恐怖。
そして、彼は見た。光り輝く聖なる森の奥底で。森に住むあらゆる存在の中でも一握りのみがその存在を知っている、通常の手段では辿り着くことの叶わない領域。
その森にはとある言い伝えがあった。森の奥深く、光に満ちる森の中心では、変わり者の神が住んでいると。常人では理解できないような価値観を持ち、急に笑い始めたかと思えば、急にその笑顔を真顔へ変える。同じ神でなければその視点には辿り着けないと言われる、そんな変人。
虎には、それは光の馬に見えた。見る人が見れば麒麟とでも答えるだろうその神は、今は小さな蛇のような何かと戯れていた。
『よぉしヤナギ。これ何か知ってル?こレはね、リンゴっテ言うンだよ!』
『いや、それくらいは流石に知ってます……』
『え?!まじ?絶対知らナイと思っタのに……グヌヌ。じゃぁこれはどうだ!?』
『スイカですね……流石にちょっとみくびりすぎではないですか?』
『が、ガーん……私が教エられること、じゃァもウなイじゃん』
『いや、そんなことは……それより、主人。お客様ですよ』
『え、誰そレ……ん?君誰?もシかシて崇虎の子?おっかしイなー。あそコハ一部ノ奴しカ知らないハズだし、来る理由モないハずなんだけど……』
『……主人。この森に住まう種族について教えてもらった方が余程我には有り難いのですが』
『ナン……ダト?!』
『あー……この調子ですと数分はフリーズしたままですね。それでは我が自己紹介いたします。ヤナギと申します。短い間ですがよろしく』
「M゛mmm……」
『あ、そうでした。我も同じだったはずなのに、これはまた随分と失礼でしたね』
『……これでどうでしょう?』
すると、脳内でピンと何かが繋がった感覚がした。その時の虎はまだ知らないが、それは『念話』という比較的魔力を扱えるなら取得は容易な技能によるものだった。
『……え?』
『不安になるのもわかります。けれど、問題はなんらございません。本日ここにいらした理由をお話ししてくれれば、それだけであとは自由にしていただいて構いません。危害を加えないのであれば、こちらも敵対意思はございません。けれど、食糧事情に関しては、この辺りに原生生物はございません故、こちらから与えることはできません。一度元の森に戻っていただく必要がございます』
『あ、ぅ……えっと?』
虎はいきなり怒涛の勢いで流れ出てくる意思の奔流にただただ困惑していた。普通ならそれよりも先に苦痛が出るものを、何故か虎は困惑しか湧いてこなかった。
それを冷静に見つめるヤナギは、けれどゆっくりと話をする体制に入る。どうやらすぐに理由を聞くのは無理そうだと判断したようだ。
自分の話を遮らずに聞いてくれると理解したからか、それともその場に漂っていた不穏な空気が緩んだからか、とにかくストレスレベルが下がった虎は、ポツリポツリと自分の身の上を喋り始めた。どう答えればいいかわからなかったし、とりあえず思ったことが相手に通じるようだったので、自分の記憶を元手に、どうしてここまできたのかを語った。
話は長く続いた。虎からすれば数分のように思えたそれは。けれど実際には数時間ほどの時間を経過させていた。その間身じろぎ一つせずじっと虎を、虎だけを見つめて真剣に話を聞いてくれたヤナギにだんだん心を開いたからか、それとも単純に念話での会話に慣れたからか、虎は徐々に徐々にスラスラと自分のことを話せるようになって、最後には立板に水の勢いで話を締め括った。
『……なるほど、つまり貴方は群れから身体的な違いから群れを追放されて、死にかけたところを彼の両親に救ってもらった。その後、両親から示された道を辿り……ここに至ると。確かにここでは普通は来れない場所なので、何も知らない貴方がどうしてここにこれたのかずっと不思議に思っていましたが……そういうことだったのですね』
『あ……はい。そうです。だから、ここにきても正直どうすればいいかわからなくて…』
『そうですね……こればかりは我の一存ではどうしようもできません。ただ示した道が間違っていたというわけではなさそうですが……だからと言ってここにきてもどうすることもできないのが事実でしょうし。多少の食糧は恵むことはできますが、恐らく貴方にはそれを与えてお別れすることになると思います』
『そ、そうですか……そう、ですよね』
『正直に言えば貴方を助けたい思いもとても大きいのですが、我とて養われている身。我がルー様にご意見を述べることなど許されないのです。申し訳ございません。生き延びるための知識は与えましょう。けれど、それを元にどうするかは貴方次第です。それでは、ルー様を呼んでーー』
『え?そレじゃア養えバいイじゃん。何が悪イのさ』
『え?!しかし、ルー様は基本的にあらゆる存在との接触を拒んでいるではございませんか!!』
『それ遠回しニ私のこトニートってイってる?まぁ大丈夫だヨ。私の勘ガそう言ってる。ヤナギの時と同ジさ。私は、この子に手ヲ差し伸べルよ。そもそも、ここまで必死にきて、ああそウですカ、それじァあさようナらとか、普通ありエないでしょ』
『え、でも前に目を合わせただけで帰れってーー』
『お黙リ!今言っちゃダメ!怖がるじゃん!』
虎はひたすらに困惑していた。麒麟のような得体の知れない何かと、それに対して噛みつきまくる自分と親近感の湧く蛇のような龍。わからないことだらけで、泣きそうなのは本当なのに、何故か虎は笑ってしまった。恐慌状態だったのかも知れない、けれど、虎には微笑ましく写ったのだ。自分にはありえない、平和なその光景が。
『お!見テ!私のおかゲで彼も笑っタよ!さすが私!』
『何言ってんですか。どう見ても第一印象やべーやつ固定ですよ。我だって最初はそうだったんですから』
『またまタ〜、本当は違ウ癖に〜、あ、そうだ、君も眷属になルのなラ名前あげるよ。君は……ラウドリーだ!』
ため息を吐く龍と、自信満々にこちらを指差しながら眷属なるよくわからないことを口走る麒麟。眷属?そう疑問符が湧くような顔をしながら首を傾げる虎……白虎の前身、ラウドリーの始まりだった。
⭐︎
「……ふへへぇ」
『M゛!?』
「おっと失礼、ちょっと平和な光景ってこの世界だと少なくてさ。需要高いんだよね」
『M?mmmm……』
あからさまに「何言ってんだぁ、こいつ?」って顔を隠そうともしないメリーくんを無視して、ちょっと余韻に浸る。なかなかいい光景だね。これは確かにモチベーション上がるわ。今私がいる石畳の祭壇と鳥居っていう新生勘溢れる場所もいいな。
「よーし、それじゃあまた新たに出発進行ー」
かといって、いつまでも余韻に浸っていても、シナリオが進まないので私はさっさと次の行動に移ることにした。わぁ、また遭遇する敵のお祈りタイムだー。外したらシャーメルとかいう鬼畜敵が現れる。やったね私!ほぼほぼ死ぬよ!
『Q!Qq!!』
おぉー?メリーくんもなんか機嫌がいいのかな?私がメリーくんを知ろうとしているのがいいのかしら?まぁ私も興味があるし、いい事ならもっとやっていこう。あ、でもそれで調子に乗って適当なところ突撃とかダメよ?洒落にならない感じで瀕死になるんだから。
あれ?これってダチョウの法則理論でいう出てこいって奴?
⬜︎
「あぁああぁぁああああクッソガァアアアァァア!?」
『『閃光魔術』……モノ・タキチス』
『Quuuuuuuu!??』
「ばっかメリーちゃんくん!!だぁあああああから注意しろいうたやんけぇえ、えええええええ!?」
『『閃光魔術』……テトラ・オリンポス』
「遅い!詠唱が遅い!!技を放ってから詠唱するタイプやめろやぁあああああ!!こんのっ、クソボスぅ!??」
『Q……M゛!Mmmmmm,Meaaaaaaa!!』
「ほわぁ?!メリーちゃんどしたん?!発光やめて!?あっあっあっ、目が、目がッーーーー!?」
『ーーー!?』
「おぉ!メリーちゃ、くんナイス!よくわからんけど攻撃系統持ってんだね!!そのまま頑張って!もっと頑張って!超頑張って!!!」
『Quu……』
「メリーーーくーーーん!??」
⬜︎
「おいおいおいおい……!嘘ですやん!?それはない!質量攻撃はいつの時代もカスということで満場一致の決議がなされてるんですよ!?カスなんだって!カスって言ってるじゃんやーめーてーーーー!?」
『ーー』
『Myyyyyyyy!??!?』
「バカ!アホ!亀!!光の戦士(物理)だからってなんでもしていいと思うなよ!好かれるのは光の戦士(メンタル面)なんだよォーーー!!」
『Q!Qaaa!?』
「待って。オーケー落ち着こう。亀さん。動かないのはいい。ベリーグッドだ。ストロベリーを上げてやろう。それよりもそれは何?それ銃だよね?甲羅から大砲付き出るとかそれ亀じゃないよね?それやっていいのはポ⚪︎モンだけだよ?カメック⚪︎かな?違うよね?違うよね!?!待って!力込めないで!なんか灯ってる!赤いエネルギー篭ってますよ演出出てるって!!待っ、ぎゃぁああああぁぁ?!!」
⬜︎
「はぁ……はぁ……!ここまで来ればさしもの奴も……!?」
『Q!ウシ、r……ウシロ!』
「え!?今何か喋っ、わぁあ!??」
『『幽遊失踪』』
「ちょっ!何こいつ!暗殺者!?暗殺者なの?!ねぇこれ暗殺者(ゴリ押し)だよね!?』
『『回り空』』
「おい!!この空間の制作者出てこい!!白虎ォ!!なんでこんな子出てくるの!!これもう忍者じゃない!NINJAだよ!ファンタジーNINJAだって!いやちょっと待てそれ何!!ド⚪︎ドアの実なんだって!やってることワンピ⚪︎スじゃん!ここに著作権侵害してるやついます!!消してください!こいつ消してください!!」
『Q゛』
「メリーくぅん!?あっちょっとお前それはダメ!あ、おい!足を引っ張るな!膝カックンヤメロ!あ、痛い!痛覚ないけど痛い!?」
『Meaaaa!????』
「あ゛ぁあああ!!メリーくんが死ぬ!落下死する?!おいこら似非NIN JA!小さいからってなんでもお空にポーいしていいわけじゃないんだぞ!それは高い高い(即死)なの!お父さんにやってもらう温かい高い高くじゃないのっ!!」
⬜︎⬜︎⬜︎
「……メリーくん。生きてる?」
『Mea,ow……生、テル』
「そう言えばメリーくん途中から喋るようになってたよね。記憶取り込んだから?」
『……Meaow』
「メリーくん。今私は君が喋れるようになってて感激してる。喋れなくても一緒にいるだけ嬉しいけど、喋れるともっと嬉しい」
『……ソウ』
「メリーくん。君って白虎としての自我あるの?」
『……ナイ。記憶、アル、ケド……白虎、違ウ』
「そう……ねぇメリーくん。疲れたね」
『M゛……』
「なんか重要そうな情報得たけどどうでもいいや。今日もう休まない?」
『……Q』
「おっけ、じゃあ今日はここで宿泊しよっか。宿があってよかったね。アレは……明日でいいよね」
『……Meaow』
視界に見える巨大な都市。けれど街に活気はなく、嫌に白い霧が都市を囲んでいる。けれど、何より目を引くのがその奥にぼんやりと影だけ見える巨大で、華美な和風の城。
ここまでで手に入れた記憶の欠片は十二個。シナリオ的には残り四十個程。
「全部とはいかないだろうけど……きっと大きな収穫にはなるだろうねぇ……」
( ):一つ言っておくと、この空間、即ちセラスは白虎の記憶を元に形どられています。ルーたちと暮らしていた頃の白虎はこれを使って闘技場みたいなところをよく再現してました。鍛錬にはちょうどよかったらしいです。
(裏):つまり……。
( ):えぇ、あの都市はありますし、今も現存しています。そして何より、白虎の自意識がない状態で尚再現されていると言うことは……それだけ白虎の記憶に残る体験があった場所ということでもあるのです。




