紅白
( ):最近シリアス多めで哀しい……
(裏):じゃあなんとかしろや。
( ):だって勝手に場面がそうなっちゃうんだもん。
(裏):(にっこり)
( ):え、なにその笑顔で青筋立てるの。いや、だって、ちょ、私悪く無いじゃん!??
( ):あ、これ詫び投稿なので、今日はもう一個ありますよ。血反吐吐きながら完成させときました(断末魔)
⭐︎⭐︎⭐︎ 【剋牙】 ヴェイガー
視界を鮮やかな赤が彩る。どちらかといえば金に近い赤の輝きは、先ほどまでいたギラギラとした虹色の輝きとはまた別で。水の肌が少し熱せられていることからも、この場所の気温がどれほど高いかが察せられる。
『きゅぅーー……』
ベフェマにとってはこの場所は辛いだろうな。『強制同調』すれば死んだ魔物に憑依はできるだろうが、それをするまでは毛皮ありの蛇であるベフェマには環境に長居は不可能と言えるだろう。
『……早い、と、ころに、同調できる、やつ、探す、か。ベフェマ、は、ここで待っていろ。俺が、狩ってくる』
『うぅ……いや、でも、何もしないのは……』
『適材適所、だ。それ、に、俺が、いない間の、火山地帯、の、変化を、しって、おきたい。ここでの、動きは、お前には、適していない、だろう……少なくとも、いまは』
少々辛辣に言いすぎてしまっただろうか。少し顔を俯けたベフェマをフォローするためにらしくない言葉を使ってしまった。あからさまな言葉は控えておこうか。まぁでも、あまり猶予はなさそうだし、今はとにかく行動が先だな。
『……ひとまず、この、洞窟、は、気温が、低い、ほうだ。ここで、待ってて、ほしい』
『……』
『行ってくる』
「キュァア……」
珍しく肉声を上げたな。『強制同調』による擬似念話すら応えるのだろうか。まぁ、そのために今から動くのだ。あまり考えておくべきではないな。
◆
『……これは酷いな……』
見渡す限り燃え盛る炎が彼方此方で轟々と燃えている。しかもこの炎、いくら何でもこの長期間にわたって燃え続けるとは、ほぼ確実に普通ではない。特殊な炎……スキルによるものか。
『魔物は……流石にこの辺りにはいないか』
そしてスキルによるものだとして、これだけ広範囲かつ長期間持続するものならば、それを可能とするものなど限られてくる。
『……朱雀か』
知らず知らずのうちに細く鋭くなった視線が、遠くに聳える火山の山頂を睨みつける。これはまた随分と派手に暴れているようだ。俺が戦いを挑んだ時でさえこの規模の攻撃はしなかったと言うのに。やはりと言うべきかまだまだ余力があったようだな。
『これが恐らく箱庭のフェーズ進行とやらで解放されたボス格の定期的なエリア攻撃か。ここで待機するのならそれもまた考慮にいるべきか……それについては今はいい。とにかく魔物が必要だ……ここにいる奴らは大抵『火耐性』を最低でも持っているから、一匹だけでも出てきてくれないものか』
仕方ない。ここでは誰も見つからないだろうから、別の場所に移動するしかないか。思い立ったが即行動。と言うわけで炎が未だ燃え盛る岩場を後にして、疾走する。
『……いないな』
流れゆく景色の中で、しかし動くものは見当たらない。どうしたものか。そろそろ溶岩地帯に突入するからいくら水の俺でも入ればジリジリと体力を削られるだろう。普通に水だろうが沸騰させて蒸発させるからな。あまり長居はしたくないのだが……。
『こう言う時に限って最悪とはあるものだな』
遠く見えた溶岩地帯。煌々と真っ赤な液体が流れる中で、のっそりと移動している何かがいる。見間違いでなければ爬虫類のような姿をし、背中からは巨大な一対の翼を戴くそれは……。
『ドラゴンスレイをお望みか……!』
ドラゴン。ファンタジー世界では最強種として名高い天空の覇者。この箱庭でも見たことはなかったが、どうやらここにきてポンと現れたか。どうしてこんなあっさり出てくるんだ。もっと別のタイミングがあっただろう。最強種の誇りどうした。一般魔物みたいな顔してんじゃないぞ。
『色々言いたいが、ひとまず先制攻撃……!』
後ろ脚に力を込めて……突入!
溶岩地帯に入り、あからさまに温度と体表を流れる水の変化に意識が向けられると同時に、ドラゴンの翼がぴくりと動く。ほう、『気配感知』は持っているか。俺でも持ってるんだから当然だな、ならば死ね!
『『水鉄砲』、サプレスド』
『水鉄砲』。気の抜けるような言葉だが、その威力はお墨付きだ。致命傷には至らずとも、牽制以上の役割は果たすはず。ならば、その初弾を確実に当てるのはマスト。そのための弾丸改造。『水鉄砲』は俺の体の一部を切り取り射出するもの、ならば多少の融通は聞くだろうという考えからの産物だ。
既視感を感じただろ?そうだ、これはオールの戦い方を見て参考にしたものだ。無論、俺はオールじゃないからあいつほど上手く変形はこなせないが、俺の特性上、適していると思ったのなら試してみるのがいいに決まってる。
「グォオ?!」
成功。静音性に特化した弾なら、多少は違和感を覚えて警戒されても問題ないか。サンプルが足りないが、少なくともこいつには効いている。検証は後だ。
「グァア!グルゥオ!!」
怒り狂ったドラゴンがここにきての初戦か。随分と物騒な環境になったものだ。が、問題ない。ついこの間までもっと恐ろしい相手とサシで戦ってたんだ。それを思えば全然……
『とはいかないが……勝てないとは思わんな』
「グゥオオオオ!」
どストレートな火の玉を放つドラゴン。定番だな。定番だから、避けやすい。
『だから、対処も余裕ということだ』
「グゥウウウ……」
さて、奇襲は成功。勝負はここからだな。
⭐︎⭐︎⭐︎ 【絶命刀】 オール・フォルタム
「ぇえ?」
目前に広がるこの景色は、正直言って意味わかんない。
『N゛yy !』
玉虫色に染まる世界と、霧。充分これだけで異常に値することなんだけど、それ以上にこの子が一番意味わからない。
『Syy!』
白くて小さな虎。いや、それだけで嫌な予感しかしないんだけど……なぁんでどっかの誰かさんとこんなに重なるような面影してるんですかね?え、というかさ。これ……。
「もしかしなくても白虎さん本人?」
『Meaow!』
みゃぉ?みゃぁ?なんかよくわかんないけど引っ掻かれかけたのでするっと避けてもう一回じっくりと観察する。うーん……こんな短絡的な行動白虎ならしなさそうだし、違うかなぁ?でもここにいる虎だし、なんか似てるし、絶対関係ある思うんだけど……。
「あぁあ分からんな!?」
そもそもなんでこんなことになってるのって言われたら少し時間遡らないといけない。頭抱えてる私を呆れた目で見やがるこんにゃろーの正体を暴くためにもちょっと本格的に考察しないと!
⬜︎
私が天使さんをフルボッコ?とはいかないまでも多少の余裕を持って勝利した後に、どうすればいいか分からなかった私はとりあえず適当な方向に進んでみることにしたのだ。
『----』
「ぬぇ?」
そんな時に聞こえた謎の音とも呼べぬなにか。脳に直接訴えてくる感じのそれは、前世で覚えてる猫が「huh?」してる奴と同等の鮮烈さを私に刻み込んだ。あれもう流行り終わったはずなのになんでこんな記憶に焼き付いているんだ……。
まぁ脱線は戻すとして、その脳に怪電波受信を受信した私は頭がアババすることもなく特にそれ以外の何も起きない数分間を過ごすことになった。
「……いい加減なんかヒントないかな。何もせずにずっと突っ立ってるの疲れちゃったんだけど」
何もしないままじっとするってのは考察していても結構きつくて、そろそろ座って真面目に考えようかと思い始めた時、唐突にそれは起こった。
「!これは……何これ?なんの色だ?」
急に立ち込んできた玉虫色の霧。咄嗟に語彙力がな、あー……上手い言い方を思いつけなかった私はだからと言って何かをできたわけでもなく結局何もしないまま状況の変化を見守るだけに留まった。
それから更に十数分後。
「いやなんか起きてよ!?」
見事に霧が立ち込めたまま何も起こらなかった状況と、それにまんまと引っかかって棒立ちになってた自分に対する羞恥と怒りで震えながら私はようやく当初の方針である探索に再度目標が戻った。
「……いや、だって、こんな桐とかさ?明らかに何か起きますよーっていう前触れじゃん。イベントのこれ以上無い演出じゃん。は?ここはリアルだ?知っとるっての!!バカにすんなや!!」
こうして恥ずかしさのあまりイタい人でも早々しない虚空と対話を続けるという側から見ればただの不審者とかした私は自分の現在進行形で起こっている愚かしい事実を認識することもなく一人誰でも無い二次元の誰かと対話を交わしながら適当に進み始め……そして直ぐに立ち止まった。
「……あー、ここってもしかして実験施設とかそういうノリ?あれ?私がきちゃダメなゾーンだったりする?一般人立ち入り禁止?え?なにそれ、ものすごく遠回しに私のこと煽ってる?」
非常に頭の悪い超理論をかましながら困惑した顔をした私を出迎えたのは、何かの培養液が詰まった巨大な円柱の何かと、その中で眠っている非常に見覚えのある虎。
「……………………よし、帰るか!」
直視、情報の咀嚼、結論。それぞれに数秒かけて私が出した結論は、即ち戦略的撤退。恥も醜聞もなく鮮やかにくるりと方向転換するその様はまさに芸術品のように洗練されていて。
『----』
「うべぁ」
しかしその行動は移すには少しだけ遅く、そして作られた時間で起きたのは例え女子力がゼロだとしても最低限の守るべきお淑やかすらはっ倒した私の奇声と、脳内に再び響いた奇声。これにより私は完全に逃げる術を失った。
「……えっと。はい、何か御用ですか?私実はただの下っ端でして御用があるならちょっと上の方に行って欲しいっていうか、あの、いや、上っていうのはその上司とかそんな感じのやつでして……あー、うん。え、これ帰っていい?」
そして再び起こる無言の時間。耐えきれなかった私は必死になんとか話を繋げてできればなんとかこの間をやり過ごそうとするが、まるで圧迫面接の如き無言の圧力が私の心を呆気なく折った。強すぎでしょ。
だが流石にここまできて声の主も私を放置するほど鬼ではなかったらしい。ここで更に待たせるとかもうSだから。うん。
「あからさまに霧が濃くなってきたね……やっぱり培養液浸かってるけど意識あるでしょ?どうしてそんな状態なってんの?」
私の質問は華麗なまでにスルー。いいから黙って聞けやと言わんばかりに霧が濃くなってきて……現れた光景に私は息を呑んだ。
「………」
どうやらこの霧はただ趣味が悪い色をした視覚妨害ではなかったらしい。あのギラギラ光る森も見習って欲しい……じゃなくて、どうやらこの霧は映像を映し出す機能があるようだ。それが今のものか、過去のものか。……私が思うに、この光景は過去だね。
『ーー!----……』
声が何かを伝えようとしてくる。その声になってない声は、けれど分からなくても哀しいと、懐かしいと言っていると、そう理解できるほどの感情を持っていた。
「白虎は……記憶を持ってないはずだよ?」
それは、誰の視点かわかるものだった。
それは、何を映しているのかわかるものだった。
それは、これから何がどう推移するか知っていると理解した上で見せられた光景だった。
「なんで……こんなやつを見せるのさ。同情はしても手加減はしない。これ……常識なんだから」
霧に映る光景は、まるで映画の一シーンのようだった。俯瞰するようにどこかの森が映し出される。極めて一般的な森では、一つの虎の集団があった。
地球にいるような虎とは少々毛色が違う虎の集団の中には、他の個体が茶色や黒色が多いのに対し、非常に目立つ白色の体毛を持った虎がいた。狩りをする際にも適していないからか、その虎は群れに馴染めず、それどころかほぼ無いも同然のような扱いになっていた。
ある日、虎は遂に群れから追い出されてしまう。生存競争を行う上で、働けない無能はいらないと、そう言われるかのように群れから逸れた白い虎は、トボトボと森を一人で彷徨う始めた。
まだ小さかった虎は、当然狩の技術などまともに教わっているはずもなく、他の魔物たちから隠れるうちに、飢餓による生死の間を彷徨っていた。
そこに差し込んだ光。眩しくてまともにその姿を直視すらできないそれは、虎に、白虎に手を伸ばしーー。
霧が見せたのはそこまでだった。私が全て見届けたのを確認すると、霧は完全とはいかなくても、多少晴れて周りの状況がまた確認できるようになった。これが彼方が伝えたかったことなのだろうか?何を言いたいかはわかる。白虎の成り立ちについて、あんまり恵まれていないというのもしっかり理解できる。
けれど、それで刃が鈍るかと言われればやはり答えは変わらずノーなのだ。同情などして此方が死ぬなど真っ平ごめんなのである。
「……結局、探索をしないといけないのかな」
結論を言えば、過去を見せてはもらったが、だからと言ってこれからどうすればいいのか全く分からないのは継続。故に方針は変わらず継続を……
『M゛!』
「え?」
そこまで考えた時、唐突に聞こえた足元からの鳴き声。ギギギと擬音がつきそうな感じで私が首を動かせば、そこには真っ白な子虎が。うんうん、なんかどこかで見たことあるなーって思ったらこれさっきの映像でできた子虎だね。
「はぁああ!?」
『M!?Syyyy!!』
地味に引っ掻かれながらも、私は絶叫するのだった。
⬜︎
「はー、ないわー」
『M゛!!』
うん、結局記憶を精査しても結論は意味不明の一言なんだわ。いやね?やっぱりどう考えてもこの虎は白虎ですよ?なんかちっちゃくなって可愛いよアピしてるけど貴方ついこの間まで私のことわざわざ大規模スキルまで使って追い詰めようとしてましたよね??騙されませんよ?不幸属性とか関係ないから。なんなら私の方が不幸だわ。
「私が考え込むと変に主張するのなんなのさ……ていうか、君は何がしたいの?」
『M?mmmmm……』
うーん。やっぱり知性はちゃんとありそうなんだよな。言葉も通じてる。けど、白虎として見るならやっぱり不自然。なぁんか違うっていうか。いや、疑いようもなくこの子は白虎なんだけど、何かが足りないというか……む?足りない?まさか……。
「この培養液に浸かってるでっかい白虎は……まさか抜け殻?」
『Meaow!!』
なんで爪で攻撃してくるの?違うの?違うならそう言えばいいじゃん、絶対前の君コミュニケーション取れたでしょ。子供がそうするならまだしも絶対私より長生きしてる君がやるのは……ん?いや、待てよ?
もしかして子供の虎の姿になってるのは意味がある?まさか記憶レベルも子供になってる?いや、でもそもそも記憶が剥奪されてるんだし……。
「だぁあわからん!何も教えないでとりあえず白虎を二体も私の前に出さないでよ!地味にトラウマ刺激されてやなんだって!」
『ーザー……ザ、ザー……ピン!』
「ほへぁ?」
『条件を満たしました。規定により特殊シナリオ『思い出のパズルが嵌まる時』を開始します。』
『該当生存者は指定された条件を達成することがシナリオ完遂条件となります。』
『該当条件はステータス機能に追加された特殊項目:シナリオにて必要条件の確認が可能です。』
『該当生存者のステータス機能不所持を確認。』
『……対処完了。該当生存者はシナリオ完遂まで特典『解析』に追加された特殊項目:シナリオによる条件確認が可能です。』
『----』
『生存者よ、幸運あれ』
…………………えぇ?
「いや、いやいやいや。ちょっと、ちょっと待って欲しい。これどうなってんの?状況が理解できない。シナリオ?なにそれ、え?なんでそんなもん仕込まれてるの?本当にこの箱庭を監視してる神達の行動原理がわからない」
OK、こういう時は一度冷静に。ひっひっふー、ひっひっふー。よし、全て問題なし。オールグリーンだ。んなわけないでしょ全部レッドだよ非常事態だよ。レッドカード出してやろうか。今それやっても退場するだけなんだよなぁ。
「よし、状況を把握しよう。まず、私は白虎のせいで変な異世界に巻き込まれた。ここはおそらく青龍のと同じ仮想空間」
青龍も白虎も同じ立場の存在だ、やってることが似通った原理になっていてもなんら不思議では無い。
「故に最終的な目標はこの世界にいるはずの白虎討伐。そしてそのための小目標としてここら一帯の探査」
しかしここからが問題だ。最初の天使ちゃんとの戦闘までは問題なかったけれど、そこから霧が立ちこみ始めた。そして謎の声までする。
「探索中に何らかのヒントとなりうるものを確認。その結果として白虎と思われる存在発見。けれど白虎は培養液に浸かっており、おそらく条件が揃っていないために戦闘の開始が不可能のだと推察。現状での干渉は可能かもしれないが、何が起こるかの予測がつかないため現段階での干渉は不適切と判断」
「代わりに白虎の過去の記憶と思われる映像と白虎に関連すると思われる子虎を確認。同時に特殊シナリオの発生を確認」
これだ。一番の問題場面。ここだけで色々一気に考える必要があるものが沢山出てきて今の私は単純にキャパオーバーを起こしてる。はー、ないわー。こういうところで自分のスペック再確認する羽目になるとか最悪だー。
「時系列整理完了。続いて優先順位の整理に移る。察するに、眼前の子虎は出現したタイミング、出現方法が不明なことも鑑みて、最重要事項と判定する。同じく、シナリオへの理解も同等に重要と判断する。おそらく、このシナリオが私の仮ではない方針を決め、一先ずの子虎の立ち位置を明確にするものと推察する」
『Mea!!』
うん、この場合の一番気にするべきものは堅苦しい言い方してるけどやっぱりその二つ。霧がうつした光景、こんな特殊空間に用意されたシナリオという神のテコ入れ。これらと今までの私が感じた神々の違和感について擦り合わせるのは今ではないでしょう。
「結論、最終方針決定前に、まずシナリオの確認を優先する」
さてさて……鬼が出るか蛇が出るか。
( ):まぁ、オールがこんなに混乱してるのは神々が一枚岩だと思ってるからなんですよね。
(裏):こんなシナリオ、普通だったらほぼ確実に開始できないからな。場所的にも、キーになる白虎の強さ的にも。
( ):そうですね。だから例の手記書いたあの人もここにシナリオ置いたんでしょうね。
(裏):いや、だとしてもこんなシナリオとかいうガッツリ干渉するやつ入れるか?いくら何でも過干渉だろ。
( ):そうでもないですよ。だってこのセラスという空間に誰かが来ること自体本来なら失われているはずなんですから。
(裏):というと?
( ):白虎が作り上げたこの空間は、入るにも条件があります。それは二つの観点から見た強さ。一つは存在としての強さ。もう一つは……。
( ):とにかく、もし片方をクリアできても、少なくとも生存者はこの空間に立ち入ることはできなかったはずなんです。絶対に生存者が来れない場所だからこそ、例の自戒しまくってるあの人もこんなマネができたんです。
(裏):つまり、このシナリオは例の手記以上に使用されることを想定していないと。
( ):そうです。ただ自分が覚えていられればいいように組み込んだんでしょうね。まんまと裏目に出ましたけど。
(裏):レヴィティからすると何てことしてくれたんだーって感じだろうな。
( ):まぁ、あの人よりは確かにそんな感傷とか持ってないでしょうしね。
( ):ただ、今回のは手記とは違います。進行が予測されていないからこそ、そこに含まれているものは暴かれてはいけないものも含んでいる。予測でしかなかった彼らの過去は、漸く明確な形を持ってオールの前に現れるでしょう。




