白に統べられたリボルブランタン 其の五
(昇天):「」
(裏):頑張ったね、ストックほぼ終わってるけど、頑張ったね。
( ):あ……あ……。
(裏):つ「投稿画面」はい、どうぞ
( ):い、いやぁあああああっ!!
(裏):詫び投稿はこれで終わりです。すんませんほんと。
なにこの茶番。
⭐︎
夢路という人間は、別に世界に影響を与えた人物ではない。極めて小さな、という言葉をつけるならば与えてはいるのかもしれないが、しかし彼はただの一般人であった。
確かに、彼の周りには人が多かったかもしれない。色々な意味で人として持っている人間であった彼は、確かに一般人では影響が多い部類だったのかもしれない。それでも、彼はどうしようもなく普通の域から外れることはなかったのだ。
彼は、少しばかり裕福な家庭に生まれた。両親はそれだけの財力を生み出せる様な職に就いていたためか、小さい頃の彼はそこまで両親と触れ合う機会はなかった。それは、少しばかり外で遊ぶことが好きだった彼には悲しいことで、けれどより楽しいことに触れる機会を作る結果に導いた。
夢路 晃大。彼は小学生で、親友と出会った。秋亡 ◼︎◼︎という人間は、明るい性格に少しの翳りが見えていた彼の性格を元に戻すのに大きな影響を及ぼした。
『あおー!ブランコ行こうよっ!!』
『………今日の学校のお昼休みは本読むの。このーーって本がもうすぐ終わるから、今日中に読み終えるの』
『行こー!』
『えっ、ちょ……!?』
彼は無気力で消極的だった◼︎◼︎を「あお」という何処かおかしなあだ名で呼び、半ば強引に色々な場所に行った。彼にとって、「あお」と一緒にいるのは居心地が良くて、なんだかんだで一緒に来てくれる「あお」と遊ぶことは、とても輝いていて、楽しい思い出を作ることだった。
『どしたんあお?ため息吐くと幸せが逃げるんだぞ?』
『……迷信を真に受けないでよ。ため息はストレスを発散するのに効果的、あだっ!?』
『お、おいあお!?頭から行ったぞ?!!大丈夫か!!?』
『……迷信、馬鹿にならない』
中学校、高校、彼と「あお」は尽く同じクラスになった。それはもはや偶然というより必然で。どうも作為的に感じられるそれはしかし夢路にとっては『やったー』と思う程度のことでしかなかった。
『なー秋亡ー。お前大学何処行くー?俺ここどうかなー、って思ってるんだけど秋亡もここにしね?つかするだろ?』
『なんで私がそこに行くことが半ば決定事項みたいになってるのかな?私だって自分で決めることはそこそこ……うわっ、私が第一候補にしてた大学じゃんそこ、きしょ』
『これ理不尽判定でいいよな?俺起訴したらこれ勝てるよな!?』
『……ハッ』
『何その笑い!?俺を馬鹿にすんのやめろや!?……あーでもよかったー。こんだけ一緒なんだからなんとかなるかなーとは思ってたけど、うん。この感じなら別の大学とはならねぇか』
『……私が落ちる可能性あるんですけど?』
『……』
『その「お前って冗談言えたんやな」って顔やめろ。顔にアイアンクローするぞ』
『やらないことを言っても脅しにはならないぞー。というか、お前がそこ受けるってことはお前が「これならいける」って確信したからやってんじゃないの?』
『いや、私は確かに慎重気味ではあるけど大学受験に絶対なんてないから。普通にあっさり落ちるとかあるから』
『ま大丈夫っしょ』
『軽いなぁ!?』
夢路は社交的な性格だった。そして、同時に学力でも運動でも基本的に上位に食い込む天才であった。あと腹立つけど顔面偏差値も。とある武術を習っていたからか、身体能力こそ夢路に匹敵していた秋亡は、しかし学力という面ではあまり誇れる数値を出せていなかった。
それは、本来なら多少なりとも2人の関係にヒビを入れるはずだった。
天才というのは、周りに同格という名の理解者がいないがゆえに、孤独を感じることがある。挫折が少ない一般的人間よりも比較的少ない彼ら天才は、どうしても真の意味で大多数の人間と分かり合えることはできないのだ。
勿論、全員がそうとは言えないが、そうなる可能性があった夢路は、それでも挫折を知っているはずの秋亡と親友だった。2人の関係は揺らがなかった。
それは、夢路が優れていたから、ではない。挫折を知っていようがいまいが、天才であろうが、関係ない。笑えるほどに、夢路と秋亡はお互いを知っていて、そして長く共にいた。それだけだ。それだけで、夢路は満たされたし、秋亡も悪くはないと思っていた。
そう、夢路と秋亡は親友だ。どちらが、もう1人との関係を聞かれれば、即座にそう答えるほどの。どちらにとっても、彼らの相方は家族と等しいほどの存在で、或いはと思うほどのものだった。最も、秋亡の方は特に何も考えていなかった様だが。
『大学生活どんな感じー?』
『うん?あぁ、なんだか自由って感じだよな。こりゃ確かに皆んなが大学に対して自由な時期みたいな感想抱くはな、って思うなー』
『そこで授業の難易度関連の話が出てこないあたり、やっぱ頭いいんだなぁって思うね』
『お?流石にお前も気づいてきたか?そうだよ!俺は凄いんだよ!でもなんか皆んなちょっと話した後に距離置かれるんだよなぁ……俺はお前がいるからいいけど、流石にちょっと寂しいかもしれん』
『へいへいへい、今の私じゃなかったら普通に告白みたいになってたよ?そーゆーとこなんじゃないのー、距離置かれるのは。……いやでも、それなら普通距離詰められるか?』
『……おもんないわー』
『なんよ白けた顔しちゃってさー。なに?私がもっと顔赤くした方がいいの?』
『……別にいらん』
『変なのー。じゃあ私授業あるから。そのアンパン⚪︎ン、いやマンはいらないか、兎に角早く食べるんだぞー』
2人はずっと親友だ。夢路は人の見えない影の面への恐怖を。秋亡は消極的な己への自責を、自分たちにとって最も昏く、黒い感情を全幅の信頼と共に相方に預けることで、彼らは何処か危ういけれど、幸せであったのだ。
そう、あったのだ。
◆ dリー喪昊M u!?ラn[ERROR‼︎This area is incomplete!!]
「ーー親友ですよ。今も昔も。それこそ、家族よりも或いは、と思えるほどに、信じてますし、信じられてます」
遠くで電車のホームが映る、何処か近代的な場所、詰まるところ、駅で顔を突き合わせた三人のうち1人が、あっさりと質問に対して回答した。
同時に、空気が凍る。レコーダーは怪しげに笑いながら、隠しきれない喜びと狂気を滲ませて。ワンは顔を俯けながら、「知っていた」と、小さく連呼しながら無表情を貫いていた。まるで、薄氷の様な無表情だった。
「ふふ、うふふ、そうね、そうかしら。そうでなくては。やはり悪魔の末裔は途絶えていない……!しかも、同時代に2人も……!!敵であれば腹立たしいことこの上ないけれど、これならば、うふふふふ!!」
「……そうだ、そうなる様になることは必然だ。自分がしたことだ。予測などできている。しかし、しかし……分かっていても、君が、貴様が、そう感じているというだけで、腑が煮え繰り返る……」
駅を行き交う人々は、そんな明らかに異常な三人衆を見向きもしないし、なんならすり抜けていっている。当然と言えば当然だ。ここは、現実世界ではない、いわば夢なのだから。
「……あー、ま分かってたけど、とりあえず一旦冷静になってくれないですかね?」
「ふふふふ……えぇ、私は常に平静でよ」
「嘘をつくな嘘を」
「……あぁ、もう大丈夫だ」
「嘘をつくな嘘を」
少し経って、ようやく場が生存可能な温度に戻ってきた頃。流石に2人を現実(夢)に引き戻すべきと思ったのか、オールは声をかけた。
「それで……質問の答えとしては、大丈夫ですかね?」
「えぇ、えぇ、勿論でよ。更に情報を与えてもいいと思うくらいの気分だわ」
「ならください」
「……まぁ、それでもいいわ。ただし、少し吟味する必要があるから時間をもらうけれど」
「あぁ、全然大丈夫っす」
「………自分は、もう十分だ。確認はできたし、自分のこれからの行動方針も再決定した。自分は、もう戻らせてもらいたい」
「あら、それなら私が戻してあげましょう。特にまだ必要なことはないのね?」
「あぁ」
「分かったわ。それでは、また」
そう言うと、ワンは溶ける様に消えていった。同時に、駅の様な風景も変わり、夜の公園のブランコになる。周りには、人っこ1人いない。
「……今回の会合が起きた原因を知ってるって言いましたけど、これもう貴女がこの空間を作り出してるんじゃないんですか?露骨すぎません?」
「ふふ、そう思う?でもね、違うのよ。少なくとも、私は整えてはいても、創ってはいない」
「……そっすか。それで、何か有益な情報くれるんですよね?できれば私がぐーぐー寝てる間に必死で戦ってくれてるベフェマとヴェイガーのためにも白虎関連の情報がいいんですけど」
「そうねぇ……。それならば、今の貴女たちが戦いを終わらせる着地点での、最善を取るための行動を教えてあげましょう。これでも、培った「知識」から予言はできるのよ。それも高精度で」
「……それで?」
「はっきり言うわ。今の貴女たちでは、どれほどの全力を重ねても、ここから状況を巻き返すことは叶わない。ただ愚直に真っ向勝負をしても負けるわ」
「……分かってもいな」
「言ったでしょう?予言と。それと、白虎はまだ『輝きを知らぬ星』を見せていなくてよ。このままだと『超越光速無間戦闘形態は見せるかもしれないけれど、それだけはないわ」
何そのかっこいいやつ、とオールは思った。しかし、呆けたのも束の間、すぐに気を取り直してやや攻撃的にレコーダーへと問う。
「なんでそんな白虎の詳しい情報を知ってるんですか。というか、そんなスキルなかったですよ」
「うふふふふ、幾ら箱庭がシステムに支配されているからといって、スキル化される明確な基準は案外曖昧なのでよ。その隙をつけば……貴女みたいな覗き屋を騙すことくらい、造作もなくってよ。現にすでに騙されているのではなくて?ほら、あの……『無双領域』、だったかしら?それで、ね」
思わず、オールは口をつぐんだ。だって、それは本当だったから。オールは一度あの技をみて、心中でだが、かなり困惑をしていた。ほぼ確実にステータスにはなかったであろう技。切り札とも言える規模の攻撃は、確実にオールの心を揺らがせ、パフォーマンスを落とさせていた。
無理にたまたま見落としていただけだと思う様にしていたが、それでも違和感は残ったままだったオールに対するその言葉は、まさにクリティカル。グゥの音も言えなくなっていた。
「……ぐぬぬ」
訂正、グヌヌは言えていた。
「まぁ、そんな風に私の精度を確認してもらったところで答えましょう。貴女の最善は、貴女1人で、修行をすることよ」
「……は??」
オールは思った。この高貴そうな女性は、実はただの語彙力弱者だったのかと。
そんなオールの失礼な心を見透かす様に、目を細めたレコーダーは言葉を補っていく。
「……はぁ。詳しく言ってあげましょう。まず、貴女は進化後に仲間が危機に陥るわ。その時にーー」
一通り、アドバイスとでも言うべきものを聞いた後、何度も頷きながらオールは思った。
この高貴そうな女性は、文豪なのだなぁ、と。見事な手の平返しである。きっと手を回す度にギュルンギュルン音が鳴っているであろう。
風圧で。
「……さて、この様になるわけだけど、貴女はどうするのかしらね?私を信じて、仲間を信じるか。それとも、自分だけしか信じないか。夢路とやらを信頼しているといった貴女は……さて、どちらかしら?」
「言われるまでもないよ、レコーダーさん。彼らはそこまで弱くない。私程度いなくても余裕だよ」
「そう、それなら……私にそうだと、見せてみなさい」
パチンとレコーダーが指を鳴らす。同時に、世界が崩壊し始めた。そして、オールの体も。
「そうそう、魂の技術。最初にも言ったかもしれないけれど、進捗はいい方よ。この夢も、結局は魂の技術の延長線。いえ、未完成なことを考えればもっと大規模。先は長い様で、案外短いものよーー」
声が遠のいていく。視界が薄れて、白に染まっていく。それでも、はっきりと、聞こえた。
「ーーまずは天界で過去の糧を、力だけでも再現することね」
『条件を満たしました。技能『己掌転決』レベルMAXへ上昇しました。』
『条件を満たしました。技能『招魂』レベルMAXへ上昇しました。』
『条件を満たしました。技能『己掌転決』及び『招魂』が『魂の技術』へ統合進化しました。』
◆ 極彩虹林
『ガァァァアァアアアアアァァ!!』
『『神速の一閃』』
『ちょっ!?それ、移動にも使えたーの!??』
『動きを止めるなっ!死ぬ気で動けっっっ!!』
『わ、わかって、ぇえええええ?!!』
『『ホワイトアウト』』
『眩しっ!??』
『目潰しか!!とりあえず周りに攻撃を撒き散らせ!『雷魔法』はそれに最適だろう!?』
『了、解!!』
バチバチと音が真っ白な世界に響き渡る。視界が見えていないなりに雷を撒き散らすベフェマは、しかし白虎の攻撃を遅らせる延命措置にしかなっていなかった。
『……ぁ』
白い光が晴れて。そこには、しかしヴェイガーにとっては最悪な結果があった。ヴェイガーは、そうなるだろうとは思っていた。目潰しを行ったと言うことは、圧倒的にあちらの方が有利なわけで。恐らく決定打を決めにくるだろうと思っていたヴェイガーはしかし、ベフェマの位置が掴めず自衛を行うにとどまってしまったのだ。
僅かに光を灯している白虎の爪が、ベフェマの体を地面に押し倒していた。見れば、白虎の足は、四つ全て光に変じていた。物理干渉をそれではできないためか、光がすぐに消えていき、白虎は元の姿に即座に変じていたことからも、恐らくこれが常套手段なのだと思えるほどに洗練されていた。
『くっ……!』
詰んだか、とヴェイガーは歯噛みする。ベフェマの『雷魔法』は妨害にとてつもなく最適いた。それがなければ、正直言って、白虎の攻撃を捌ききれない。
それほどに、白虎の早さは隔絶していた。
『っ!ベイルアーー!?』
『『エンジェルラダー』』
そして、ベフェマが宿っていた豹の姿は消え去った。同時に、ヴェイガーへと視線が投げられる。
『……!』
悪寒がヴェイガーの背を走り抜ける。ヴェイガーは、ベフェマが緊急事態には憑依している姿から抜け出して、隠れることはできると言っていたのを覚えていた。だから、今気にするべきは彼女ではなく、自分のこと。自分の能力だけでは白虎の対処はできない。だから、ヴェイガーが今するべきなのは……。
『ベフェマは戦線離脱した。早く起きんか!!オールっっ!』
即ち、他力本願。
『『神速の一閃』』
『来たか!!』
それは、白虎の攻撃がついにヴェイガーに王手をかけたということであり……。
「『魂の技術』」
王手をひっくり返す鬼札の到来でもあった。
( ):過去一で難産だった……今日はもう無理……。
(裏):?(純真無垢な目)
( ):え……
(裏):労働に終わりは無いゾ⭐︎
( ):ま、待ってくれ!!私には、今日ミ⚪︎ドで買ったポンデリングを食べると言う使命が……!
(裏):あ、それ私が食べたやつじゃん
ピーッ!(心拍数停止)
Tips:ワン・スプリングス
今回で遂に姿が判明。オーバーオールを着ているのに特に意味はない。彼女は◼︎◼︎のために全てを捧げ、その証かの様に服は擦り切れ、髪は灰色に染まった。そこまでしても、彼女の目的は未だ完遂していない。だから、きっと彼女はオールと敵対するだろう。今はまだだとしても。
オールの言葉を聞いて、感情爆発寸前になっているのは無知への怒り、後悔、あと羞恥。
Tips:レコーダー
過去の偉人。かつての聡明さは残しているが、失われたものの報復に少々傾きすぎている。しかし、今の彼女に残っているのは知識だけ。だから、微かなつながりを持つオールを介して目的達成のために動いている。今の所敵対する可能性は薄いかも。オールの能力に干渉して『魂の技術』の極地である◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎◼︎の展開などをしている。




