白に統べられたリボルブランタン 其の二
( ):引越しで更新が遅れたという言い訳はっ、許されますかっ……!!!
(裏):いいえ
( ):即答するのやめない?
⭐︎⭐︎⭐︎ 【絶命刀】 オール・フォルタム
白虎のステータスは一度確認している。そして、今またそれを見たことで、一部のスキルは内容を把握することができた。
『技能『エンジェルラダー』:天と地を繋ぐ天使の梯子。資格あるものを天へと招き、資格なき者に死を悟らせるほどの熱量を伴った極光を浴びせる。レベルに応じて同時展開可能な技能の数が増え、増えた『エンジェルラダー』を束ねることでより高い資格を持った者のみを天へ誘うことができる。』
『技能『秒割・六十』:一秒を六十個に分割し、一秒に六十回の行動を可能とする。しかし、この技能の効果を発動するには一秒のうちに行われるそれら一つ一つの己の行動を全て認識することが条件となり、並の思考能力ではそれを達成することは叶わない。』
『技能『粉塵圏』:周囲に存在する土や砂利などの土砂を使用し、周りに粉塵を巻き起こす。この技能は腕による手動での粉塵形成であるため、技能の範囲、視認性の低下などの効果の質はSTRとDEX依存である。』
『技能『斬刃圏』:刃を振り回し、周囲に斬撃の雨を作り出す。威力や精度などは二の次であるため、意外と当たっても大丈夫。腕による攻撃に依存するため攻撃はSTRとDEXに依存する。』
まぁわかったところはそんなところだ。格上でなかったらわざわざ技の内容を予測しなくてもスキルの内容を確認できる様にはなった。でも、白虎なんてやべー奴ら筆頭のスキルなんて少しでも見れるだけでも御の字でしょうね。
『『エンジェルラダー』』
「ぐぅう!」
すぐ横に光が着弾する。ベフェマを奇襲させるにはまだ早い。恐らく既に近くには潜伏しているはずだから、できれば流れ弾が行かない様に気を付けないと。まぁそんなに余裕がある状況でもないし、今はこいつの体力を削らないと。
「読めてるんだよなぁ!?」
『グゥア』
『ちょ、待っ?!』
スキルを使わないなら白虎の素早さはなんとかならなくもない。こいつの脅威はスキルによるバフの比率が故に、素の状態での肉弾戦は結構こちらが優勢だ。これは嬉しい誤算だね。
『お、おい!いきなり、俺、を盾、するなっ!!』
「なんとかなるからいいじゃないかー」
『反省ぃ!!?』
今のヴェイガーは実を言うと進化している。お陰様で今のヴェイガーは立派なタンクと化している。いやー、アタッカーに専念できていいいねぇ!!
『『秒割・六十』』
「っ、くるよ!」
『御了解、!』
キィン、と硬質な音をしてヴェイガーの爪と白虎の爪がそれぞれ弾き飛ばされる。この一連の流れでもなんとなくわかっていたけれども……。
「意外と、いけてる?」
『そう、かもな!?』
今の白虎のフェイント攻撃も、見切れている。これは……白虎の戦闘経験が少ない?なんだか愚直な攻撃がやけに多い気がするな。
「……戦闘経験はがないはずないのに。ない、というよりは、消されてる?」
『考察なら、後に、し、ないか!??うおぉお?!!』
ヴェイガーの提案はまるっきり無視。一理あるけど回答によってはもっといい戦闘方法があるかもなんだから。
「ふむ……青龍が、特例だったのかな?どっかの手記とは青龍は違ったから疑わしかったけど……やっぱりーー」
『っ!オール、何か、来るぞ!?!』
『『斬刃圏』、『残刃圏』、『粉塵圏』……形成。『霧創領域・天刃地針』
あぁ、うん。やっぱ考察してる場合じゃなかったわ。ごめんヴェイガー。後で浄水を上げよう。ヴェイガーにとっては実質血液あげてる様なもんだしヤベェやつを見る目で見られそうだけど今は関係ない。だって生き残れるかどうか怪しいんだもの。
「えーと……見れ、ない、ね?」
えぇとさっきの『無双領域』?だかなんだかわからないけど、まぁ白虎が呪術使えるわけでもないのに領域展開かました結果が今のこの砂嵐直撃状態というわけだ。え?何言ってんのって?今の視界状況のこと言ってるんだよ。
「まさしく五里霧中……」
いや本当に何も見えないな!?これはもう最悪攻撃認定待ったなしですね。と言うわけで彼方側は視界が確保できてるか知らないけどさっきまで白虎がいた場所に突撃……え?
「……これ、どうなってんの?」
ひとまず動き出そうと一歩踏み出したその瞬間。勘も『気配感知』も何も反応していないのに、私の腕が深く切り裂かれた。それは、白虎が爪で私の腕を切った様で……。あ?そういえば、ここってさっき私が……。
「まさか!?」
これは、思ったよりもマズイ!!この領域はただ視界を妨げるだけのデバフなんかじゃない。明確にこれはこちらを殺せるスキルだ……!
私が今受けた爪撃。恐らくは白虎が今攻撃した者ではない。そして、恐らく今私が立っている場所は最初に白虎に一撃入れた時にカウンターで私がもらった傷を負った場所だ。まだまだ原理はわからない。でも、白虎がこの領域を形成する時に行っていた『残刃圏』というスキル。名前からして、恐らくは……。
「ビンゴ!」
『技能『残刃圏』:スキル使用時より一時間前までにスキル使用者が攻撃を行った場所を再現し、その場に残留させる罠の如きスキル。即席で作れるがために、威力自体は再現された攻撃の方が高いが、即時展開できる大規模な罠は相手にとってはまさに針の筵と称せるものである。一度使用すれば、解除するまでにかかった時間の十倍のリキャストタイムを要求する。』
思ったのとは少しちがうけれど、確かにほぼ予想と合っている。なら、ここで来るであろう正体不明の攻撃は最早正体不明ではないのだ。残留する斬撃の罠、周りを取り囲む粉塵の妨害、そしてもう一つ。白虎が告げていたものは……。
「はいキタァ!」
ヒュンと、小さな音を立てて飛来した斬撃を弾き飛ばす。飛ばされた斬撃は飛んで行った先で残留している斬撃とかち合って両方とも消え去った。いい感じだね!そして何よりも……。
「そっちから飛んできたってことは、白虎本体もそちらにいるということなのだぁ!」
そうと決まれば即行動!善は急げだ!善じゃなくても足は止めるな!悪い子舐めるんじゃなぁい!!
⭐︎
目にもとまらぬ速さで白虎が己の両前脚を振り回す。それによって次々と粉塵が補充され、斬撃が領域内を飛び交う。残像を残すほどの速さで動く自分の腕を見ながらも、その視線はどこか上の空だった。まるで、本当に注意を払うべきものは他にあり、彼女らはきっとこの領域を突破する、と。
白虎のコンピュータの様に自我のほぼない演算能力が弾き出した結果はまさにその通りだ。実際オールは早々にこの領域の仕組みに気づき、さっさとこちらへ進軍開始をしている。そして、それはヴェイガーも同じであり……。
『ラァ!』
『グゥア』
白虎の予想に反してオールよりも早く自分の元へ辿り着いた。同時に繰り出された攻撃を見もせずに振り回していた右の前脚でヴェイガーを殴り飛ばす。
『……強いなぁ』
『『エンジェルラダー』』
『おぉ!?』
この領域を維持するために、白虎は己の主力武器である己の両前脚を使えない。これは白虎にとっては大きな札の一つであり、同時にこの戦闘中にリキャストタイムの都合上一度しか使えないことを知っているが故に、白虎は目の前に敵が一つ存在しようとも眉一つ動かさず魔法によってのヴェイガーの吹き飛ばしを狙う。
この空間において白虎は絶対的に有利である。それは、今現在敵の2人はこちらの領域に引きづり込まれているから。ここで、また距離を置いてそこから斬撃と粉塵を撒き続ければ、体力やスタミナの消費が追いつかなくなり先に音を上げるのは確実にあちらだともわかっている。
そして、その事実を知っているのはあちらもだろうと。
『『十人我色』』
ヴェイガーが攻撃を開始する。きっと彼方は何かしらの手を持っていて、だからこそ白虎は相手から遠く離れて、敵が視界内にいない状態からの奇襲を恐れた。まだ目の前から正面突破を試みられた方がマシだろうと。『粉塵圏』の利点を大きく踏み潰しながらも、白虎は観察をやめない。
『……』
『『大瀑布』……『点針濫満』』
六つのヴェイガーから同時に水の奔流が流れ、その隙をついてそれぞれが貫手を試みてくる。様々な角度から飛んでくるそれらは、如何に白虎でも対応できない、はずだった。
『『光魔法』……オーロラベール、『貴き光』』
冷たく、しかし美しい光がヴェイガー達を覆い隠す。それは、特になんの効果も持たないただの光の膜。ただ景観をよくするだけの、光魔法レベル3で覚えられるオーロラは、だからこそ影響を及ぼせないのが道理であった。
それなのに、ヴェイガーはその光にとてつもない警戒を向けた。自分の中で警鐘が鳴らされている。これに触れてはいけないと。
果たして、ヴェイガーが分身の一つを残してオーロラから離れた直後、別の光がオーロラに重なり……オーロラの中に残し、白虎へと特攻を果たそうとしていたヴェイガーの分身は、消え去った。ヴェイガーが妨害のために放った水の大瀑布も、ある程度のMNDを持つはずだったヴェイガーの分身も、なんの抵抗もなく消え去ったのだ。
『……バカな』
ヴェイガーが驚愕に体を硬直させる。それは一瞬であったが十分な隙であり、白虎はその隙をついてヴェイガーを打倒、しない。
なぜなら、驚愕しているのは白虎も同様だから。
完璧なタイミングだった。オーロラの発生から一秒も経たないうちに『貴き光』は発動された。触れたもの全てを消失させるその光は、だからこそ消費もバカにならないほどに大きく、そして連発もできない。だから白虎は絶対にヴェイガーが攻撃を当てるだろうタイミング、つまり、ヴェイガーが最も油断するタイミングで切り札を放ったのだ。
ならばなぜ?白虎は思考する。どうやってヴェイガーはあの初見殺しを打ち破ったのかと。そして深く考え……その理由が、もっと単純なものであったことに気づいた。
そう、単純な話だ。ヴェイガーはオーロラが発生された時点でそれを危険視した。そして、それがなぜ危険なのかを考える暇もなく、一直線にヴェイガーがいた場所から退避した。そう、ヴェイガーは何も複雑なことなどしていない。ただ、危険だと直感で判断したと同時に、全力で逃げただけ。
ただ、ヴェイガーの反射神経が異常だっただけ。
白虎はかすかに戦慄する。その身は変わらず機械的なまでの行動を継続し、ヴェイガーからの攻撃を阻止し続けているが、内心では目の前の同族の様で全くちがう何かに対する方法を考え損ねていた。
そんな内心の揺らぎが見えたのだろうか。ヴェイガーは今までのは小手調べだったと言わんばかりの速度で残った分身全てで白虎に迫る。その分身の数は決して多くない。精々が五つ程だ。しかし、数が少ないからこそ変則的な行動をそれぞれが取ることができ、白虎にその爪を届かせることが……
『『神速の一閃』』
できない。
『ぐ、は……』
ヴェイガーの分身の元……ヴェイガーが『十人我色』を行った時に、分裂を行ったヴェイガーの体が貫かれる。それは明らかに致命傷であり、いくらヴェイガーが水の体をしていても、オール程頭のネジが外れていないヴェイガーでは、二つに分けられたヴェイガーの上半身と下半身を繋げるなどという発想を即時に弾き出すことは叶わなかった。
ヴェイガーは話には聞き及んでいた。オールが一度白虎のステータスを見た時点で対策にその情報を全員に共有するのは自明の理であり、だからこそ白虎が今行った行動の原理も理解できた。ただ、予想と違ったのはその速度。
『神速の一閃』は『秒割・六十』の様に短時間での超速かつ連続の攻撃を繰り出すことはできない。だが、代わりに一度しか発動できないその技能は、代わりに速度が段違いに速かった。それは、『秒割・六十』の様にAGIを特定数値まで一秒だけ引き上げるのではない。
『神速の一閃』は、ただ使用者のAGIを一撃のみ五倍にするのみだ。
『っつぅ……』
白虎が貫いたヴェイガーが、白虎に言わせれば本体のそれが、ゆっくりと崩れ落ちる。同時に、こちらに迫っていた残り四つの分身も止まった。
そして、白虎の口から血が溢れた。
『……?』
分身を見る。分身は、止まっていた。
その身を、白虎の横っ腹に突き刺した状態で。
そして、まだ驚愕は終わらない。
『……『点針、濫満』……!!』
『!?』
分身に目を向けて止まっていた足が動き出す。突き刺さった水の針はそのままに、本体の頭を叩き割る。水だから抵抗もなくあたりに飛び散ったその水滴が勝負の結果を意味するはずで……。
だからこそ白虎は、己のあちこちから生えている水の針を……見間違いでなければ、白虎の体の中から生えているそれがある理由が理解できない。
なぜ?と白虎の中の演算能力が停止する。しかし、白虎の思考能力はとある物を見つけたことで再び稼働を再開する。
『……!!』
それは、周りにある粉塵の中でも、未だ倒れることなく健在している木の一つに隠れていた。小さく、背景に溶け込んだ泥色の水でかたどれた小さなトラの子供。それが、それこそが、白虎が観測した本当の本体なのだと、考えるよりも早く、直感した。
そして、その考えのまま一歩を踏み出そうとして、その足が崩れ落ちる。最早、白虎の脚は領域の形成ではなく、目の前の、オールよりも確実に下だと思っていた、みくびっていた相手を全力で滅するために動いていた。しかし、それすらも、遂に叶わなくなる。
白虎の視界に映る蘭々と輝く水の針。まるで己の生命力を吸い取って膨張しているような、そんな真実を偶然考えた白虎に、しかしもうそれを止める術はない。白虎の肉体は、既に水の針と密着していて通常の手段では外すことはできない。
だから、それがヴェイガーの切り札。朱雀には相性という面で通じなかった切り札。相手を内側から爆散させる、ある意味では凄惨な技。
技能を発動するためのキーワードはすでに告げられている。体から飛び出ている針の光が最高潮に達する。
『っ、『光ーー!?』
次の瞬間、白虎は巨大な爆発をまともに食らった。
⭐︎⭐︎⭐︎ 【剋牙】 ヴェイガー
『……っはぁ、はぁ』
煙が舞い散る。小さな体となったこのボディでは、あまり大きな行動はできないから、ひとまず先ほど頭をぶっ飛ばされた元分身の元へ行く。
『…これで、一安心』
残っていた分身の残骸を身にまとい、多少大きくなった体で改めてそちらを観察する。
土埃がもうもう立ち煙る中。白虎の……えぇと、『粉塵圏』?というものによって巻き起こされたこの粉塵は、今も変わらず俺の視界を遮っている。だが、手応えはあった。倒せたかどうかはわからないが、俺はあれには十分な自信を持っている。最低でも大きなダメージは与えたと思いたい。
あれ、というのは勿論『点針濫満』のことだ。俺の切り札であり、俺が手ずから編み出したスキルであり……なんやかんやで結構な思い出があるそのスキルは、しかし一度朱雀に敗れている。だから今回も本当に入るかどうかわからなかったが……少なくとも、前回とは違ってダメージ自体は入っている気がする。
『……』
オールは、まだ来ないな。これだけ派手に戦闘しているのだから、流石に迷っていても気づくと思うのだが……。
『……やはり消えないな。これは、まだ生きていると見るべきか』
白虎のスキルによって巻き起こされたこの粉塵。確かに非常にこちらにとっては不利になるスキルだが、一つ利点があった。
それが、もし白虎が死んだのならば視界が使えるようになるという明確な変化によって白虎の死を判別できる点。その利点がまだ発動していないことからも、やはりまだあいつは生きているようだ。
『ひとまず、オールとの合流を先にしよう』
未だに粉塵のせいで白虎が爆発した場所の跡は見えない。だが、もし生きているのならばなんらかの形で防いでいるはず。そして、『点針濫満』で倒せなかったのならば、俺にはおそらく倒せない。だから、早急にオールと合流する必要があるのだ。
『それにしてもオールは、こんなに迷う人間だったか……?ふむ、もしや何かしらのアクシデントに巻き込まれているかもしれないな』
あんな性格をしているが、オールという人間は普通に優秀な部類に入ると俺は思っている。人格は別として、頼りになるのは間違いないのだ。そう、人格は別として。
『なんだよアパ⚪︎テルって……知らないぞ俺そんなの』
本当に、なんとかならないだろうかあの性格……。
『-----』
『っ!何か聞こえたな。……彼方からか?向かってみるとしようか』
遠くで聞こえた何かの音。もしかしたらオールの音かもしれない。合流を急がねば。
視界を殺す粉塵は、未だ土砂色の不穏を見せている。
( ):はい。
(裏):最近そればっかだな。きしょ。
(泣):……(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
(裏):えぇ……
( ):んんっ、ごほん。それはともかく。
( ):補足事項のお時間です(嬉)
(裏):うーわ。
Tips:ヴェイガー
ここ最近のレベリングを経て成長した。その結果、進化した。あと、オールのアパ(以下略)の下りを無視できるようになった。偉い。因みに称号の【剋牙】は、下剋上のこくに、牙なので、どっちかっていうとジャイアントキリング様の称号……かな?進化に伴い、色々とできるようになった。偉い。でも、全部見せる機会は……あるかな?
(裏):なんで書いてるやつが不安になってんのさ……。




