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鳥頭VsIQ3 〜時速百キロ越えのエースを添えて〜

サッ、カー?さっきの謎電波じゃなくて?


私は正直、めっちゃ混乱していた。さっきの砲丸投げで終わりではなかったのか。この鳥頭、さては忘れているのか?と。



だがしかし、この鳥頭、鳥は鳥でも賢い鳥だった。



「キェエェエエアァアァアァ!!」



発狂と一緒に思念が入ってくる。なんか謎電波混入してるみたいでやなんだけど。



サッカーは、さっきの砲丸投げとは別。なんと今度のサッカーで勝てば最後の証も手に入る。つまり、このサッカーで勝てば、そのあとは天守閣直行でいいらしい。



だが、私はここで一つ、疑問を覚える。



「その最後の証って鷲さんのじゃないのでは?確かもう一人、豹がいたはずだけど」



「キェエェェアアァアッ!」



曰く、あいつ優しいから大丈夫とのこと。何言ってんだこいつ。



「……優しいとか関係ないのでは?そもそも豹が証持ってるんだから、豹に来てもらわないとダメじゃない?」



「キョキョァアア!」



曰く、あいつの証、俺持ってるから大丈夫!とのこと。



なんで持ってるの?



「キィイァアア!!」



曰く、前にちょーだいって言ったらくれた!とのこと。



ガバガバすぎでは???



「あーはいはい……やるのね?サッカー。でもさ、サッカーやるのに重要な問題が一つあるよ。それどうするの?」



鷲は鳥類らしく高速で首を傾げる。早すぎて衝撃波が来るんだけど。これもう攻撃だろ。



「いや……サッカーって十一人でやるもんでしょ?私詳しくないけどそれはわかる」



鷲は驚愕の真実を知ったというような顔をしていた。私は所詮こいつは鳥頭なのだと知った。



「キェエェェアアァア!!」



曰く、じゃあこうしよう!とのこと。全くどうするのか伝わってこない。



「!!?」



しかし、次の瞬間あの鷲がなにを言いたかったのか理解する。



ソニックブームが私の全身を横からぶっ叩たいた。結果として、紙切れのように私は飛んだ。鷲は自分で翔んだ。



「……これが種族の差か」




なんて思ってたらあら不思議。目の前に真っ白なヒョウがいるじゃありませんか。



「一つ聞きたいんだけど、ここ空中なのになんで座ってられるの?」



白ヒョウは首を傾げた。「不思議〜」とでも思ってそうな顔である。不思議なのは貴方の態勢だよ。



「っと、着地はちゃんとしないと骨に響く」



特に痛覚とかがそんな効力を発揮しない私とかにとって、いざ戦闘開始となった時に、知らないうちに体ぶっ壊してた、なんてことは非常に危険なことだからね。



「安全第一。みんなはもっと工事の方々を見習うべきだね」



因みに私は自転車に乗る時、ヘルメットはつけない人間です。自前のカーテクには自信があります。車のそれじゃないけど。



着地をしてすぐに周りを見渡す。鷲も白ヒョウも私からすれば危険人物だ。誰が好き好んで空飛びながら正座するやつと常時発狂してるやつと一緒にいたいのか。



しかし、しっかりと見渡したはずが、周りには誰もいないようだ。だがしかし、だからと言って変質者から解放されたと喜ぶのはまだ早い。あいつらは変質者が故に変態的な挙動で近寄ってくるのだ。一般人には全く理解し難い感性である。



私?私の動きは極めて常識的だから。常識的に敵に這い寄り、常識的に空を飛び、常識的に体を変形する。これの一体どこに変態的挙動があるんですかね?



「キェエェェアアァア!!」



「あ、戻ってきた」



「……キュ」



「あ、初めまして。どうもどうも。あ、クッキーいる?これどっかのクソゆるキャラが煽りに使ったやつなんだけどねーー」



「キェエェエエ!!!」



「どうした鷲。餌が欲しいんか?なら証よこせ。ただで食べ物やると思っとるんか自分、大人舐めたらあかんで」



急に関西弁(似非)を使い始めた私をシカトし、鷲はルール説明、多分白ヒョウに向けたものだろうそれを始めている。面白いのは、そうだと推測できるだけで、今の私には鷲がただ吠えているようにしか聞こえないってところ。



恐らく、鷲が思念を伝えたい時だけ伝えて、受け取りたい時だけ思念を受信できるようにしてるのでしょうね。なんて便利なスキルだ。私も欲しい。



「……ふわー」



とりあえず数分間、鷲が発狂してるだけの面白みもない場面をクッキーを眺めることで消費する。このクッキー、憎たらしいことにちゃんと美味しそうに焼けてるのだ。



「しかもこれ貰ってからそこそこ激しい挙動したけど一切欠けたりしてないし」



今も袋の中に入っているクッキーは綺麗な丸の形を保っている。食べたいけど、今そんな気にならないし。あの詐欺師が寄越したというだけで食欲が失せる。



だから白ヒョウか鷲辺りにあげたいと思っているのだが……鷲には無償であげるのは気に食わないし、白ヒョウは何考えてるかわからないし。



そう言えばみんなこんな巨体で、よく食べ物もなしに元気に動き回れるよねぇ。私は死霊とかいう死んでるような生き物だから大丈夫だけど。



「……キュ」



白ヒョウがこちらを向いてこくりと頷く。なんで頷いたのかよくわかんないけど、とりあえず私も頷いておいた。こくり。



「キエーーー」



なんか急にやる気ない声出したぞこの鷲。もしかしてなんか嫌なことあった?



「キュッキュッ」



白ヒョウが準備運動なのか、反復横跳びをしている。やる気に満ちていて十分なことなのだが、早すぎて衝撃波が飛ぶのでやめてほしい。残像が出てるんだが?



「あ、そう言えば結局十一人分はどうやって補充、をーーまさか」



慌てて白ヒョウを振り返る。白ヒョウは準備万端だぜ、と言うように頷いた。



十体の残像と共に。



「………え、嘘でしょ?これはつまり、私と白ヒョウ(十人)で鷲とサッカーするってこと?」



素人の私が言えたことじゃないけど、サッカーをなんだと思ってるの?さも「元が一人でも十人分働くのでこれで十一人です」みたいな超理論を当たり前のように受け入れてるけど、それサッカーじゃないですよ。



「あ、超次元サッカー」



なるほど、理解した。かのサッカーアニメ、イナズマイ⚪︎ブンには、このようにサッカーの領域を超えているシュート技やらなんやらが飽和しているらしい。つまりそう言うことだ。



「きえー……きえっ」



やる気のない声と共に鷲がスタートの合図を送る。同時に用意されていた相手側のゴールに、これまた中央にいつの間にか用意されていたボールが叩き込まれた。



「キュッキュッ」



白ヒョウ一号がサムズアップをこちらに送る。奥の方では白ヒョウ二号〜十号がフォーメーションを組んでいた。一丁前にサッカー知識があるようだ。



こちらが一点取ったので、今度は鷲のターンだ。鷲はコートの中央にあるボールを脚で掴んで……つか、ん???



「おいちょっと待てそれ反則ーー!?!」



多分亜音速くらいで投げられたボールが私の頭の横を通ってゴールに叩き込まれた。ルール無用かな?



「!! キュ!キュキュッ!」



眠たげな目をしていた白ヒョウ(全員)の目がパッチリと開く。その瞳は勝利への欲求で燃えていた。どうやら鷲より早い球でゴールしたいらしい。熱くなるところ違いますよ。



私は「えいえいおー!」と無言で集合する白ヒョウたち(残像)を死んだ目で見ていた。空を旋回しながらこちらの様子を伺っている鷲は論外である。



3回目。一時的に一体へと戻った白ヒョウ(本体)が中央からゴールまでダイレクトシュートを決めた。多分音速行ってた。



4回目、鷲がボールを掴んで白ヒョウたちが届かない空からダイレクトシュートを決めようと画策。残像たちが自分たちを塔のように積み上げて最後の一体にその塔を駆け上がらせて空の領域に躍り出るも、あえなく墜落。ゴール。



5回目、白ヒョウが当然のようにダイレクトシュート。


6回目、鷲が空からファイアトルネード。超次元サッカーのシュートを彷彿とさせた。ゴール。


7回目、鷲がダイレクトシュートを阻止するも巧みな連携によってあえなく撃沈。ゴール。


8回目、白ヒョウ、遂に空の領域にて鷲を撃退。鷲は墜落するも、流星のような一撃を持ってシュートにまで持って行った。ゴール。



9回目、10回目、n回目……







⬜︎






風が髪を吹き散らす。半端に長いので髪が顔にかかり、それを除いていると、またゴール。



現在、30対30。時間は終了直前。鷲も白ヒョウたち(残像)も疲労しているが、最後のシュートになるであろうマッチを前に白熱している。



私?絶対零度の目で試合を傍観してますが何か?ゴール近くにいると危ないので、場外行ってますが何か?



私は悟ったのだ。ファンタジーのアニメでよくある強そうな技ってのは、アニメだからカッコよく見えるだけで、実際に見るとただただ恐怖でしかないのである。



どっかの超次元サッカーの技を一つでも使ってみればわかる。多分あたり一帯滅ぶ。これを見て平気?いいえ、私は今兵器だろこれって思ってます。



「キェエェェアアァア!!!」



「……………!!!」



試合を観察しているとわかる、対照的な二人。集中すると無意識に叫び出すマジのやべーやつ、鷲。



集中すると無言になるが、体がめっちゃ激しい挙動とソニックブームを撒き散らし始める迷惑なやつ、白ヒョウ。



「……もう終わりだよ、やってられない」



さっきから何度も呟いている言葉。当然の如くあの二人には届かない。まぁこのまま何もしなくても十秒程度あればシュートが決まってどっちかが勝つでしょう。そう、思えればいいんだけど。



「どっちも忘れてるのかなぁ、このサッカーに賭けてるモノ」



このサッカーで勝つかどうかが私が天守閣へ向かうかどうかを決めるのだ。流石にここで何もしないのはあり得ない。



幸いながら、時間はあった。正直できるかどうかは賭けだったけど、私の『肉体変成』が思った以上に融通がきくことも知れた。今私が手元に持っているモノなら、多分白ヒョウはともかく、そこまで早さはない鷲なら追いつけない速度でボールを射出できる。



「さぁて、必要だから、ねー。白熱するのもいいけど、本題を忘れられちゃぁ困るのよ」



体育座りをしていた足を運んで、重いけど、頼りになる私の切り札を持つ。もうまた試合が再開する。それまでに、ね……!







⭐︎







荒野のサッカーフィールド。想像するよりもはるかに凸凹が少ないこの地では、整地をするまでもなくサッカーを楽しむことができる。但し、遊ぶ存在が常識的なサッカーをするかどうかはまた別の話だが。



そんな荒野、または創天の城四階の異空間、天守閣の一つ下では壮絶なサッカーが繰り広げられていた。



そのサッカーは白熱していたが、やはりゲームである以上終わりはくる。今、その最後の試合が始まろうとして、試合の主役となっていた鷲と豹を遮るかのように、少女が歩みでる。



どちらからも送られる視線を受け流し、そのままゆっくりとボールの元まで向かった死霊は手に持った()()にボールを詰め、鷲に視線を送る。



不満そうな鷲と豹ではあったが、どちらにせよ開始しなければ何も始まりはしないのだ。鷲は始まってすぐによくわからない鉄の塊ごとボールを取ってやろうと画策する。



「きえー……キェッ!!」



合図と共に急降下する鷲。ボールを掴むことができればその時点で鷲にとっては五割勝ったも同然。今まででも最高のスピードで死霊の元に迫る、が。



ズドォン



根源的な、動物としての本能に働きかける音に、腹の奥に響くような音に鷲、豹のどちらもが一瞬だけ怯む。直後に鷲が改めて大砲を奪取しようと動き出し……その時点でもう、勝負は決まっていたのだ。






⭐︎







『条件を満たしました。技能『護照・偽念鷲』を獲得しました。』

『条件を満たしました。技能『護照・残照豹』を獲得しました。』



「いやー、よかったよかった!終わりよければ全てよし!」



目の前にはぶーたれる鷲と氷のように固まった白ヒョウ。どうやら白ヒョウはサッカーに私が勝ったら白ヒョウの分の証を与えることになるとは知らなかったらしく、と言うか話を聞いてなかったらしく、愕然としているようだ。



鷲は……単純に悔しがっているだけだろう。どちらかと言えば裏表がないタイプの鷲だと私は思っている。まぁ私が気づかないだけでお腹真っ黒なのかも知れないけど。偽りの念とか名前についてるし。



サッカーは終了。ゲームは私たちの勝ち。そう言うわけでお得なことに二つの証を手に入れた私は、遂に天守閣へと到達する切符を手に入れたわけだ。



「じゃぁ、やることも終わったし、私はもういっていいかな?と言ってももう、消えかけちゃってるか」



そう、証を私に渡した時点で、彼らはだんだん薄れてきていた。これには関してはシャチさんもゆるキャラもそうだったし驚きはない。ただちょっと、先二人の印象とは違って、彼ら二人はなんだか俗っぽい印象を受けたし、少しだけ寂しいとは思わないでもないけど。




「……思えば、シャチさんは君たちも私を無機質にテストするって言ってたけど、実際のところどうだったのかな?まぁ、テストの内容を推定できないわけでもないけど、どことなくこじつけに思えるし、何より鷲と白ヒョウは、適当にやることを決めたように感じたんだよなぁ……」



少し考えて、これ以上の考察は止めにする。私はできるだけ早くメリーくんを見つけなければいけないのだ。それで早くシナリオを終わらせて、引いてはヴェイガーとベフェマに合流して……。



「遠くを見るよりも、今を見るべき、だね」



「キョァー」



「……キュキュ」



考えを変えて、歩く方向を決める。どこに行くべきかは簡単だった。鷲が翼で、白ヒョウが脚で方角を教えてくれたから。同時に二人が完全に消える。罪悪感はない。彼らが死ぬか、私が死ぬか、結局はそこに行き着く話だったから。



「まぁ、お礼を言わないでもないけどね、うん。あざます」



見据えた方向には鉄の塔。所謂エレベーターがそこにあった。






⭐︎◆ 創天の城 天守閣






意識こそはっきりしないが、子虎は周囲を観察している。体が凍結されて、心も冷たくなったのか。それとも、()()()()()から冷たいのか。



何にせよ、子虎にやることは変わらない。()でも、誰でも、いいのだ。隙を見て、抜け出す。そして()()を取り戻す。



それで準備が整うのだ。彼女を終わらせる準備が。終わらせて()()()手段が。



子虎は彼にとっての最善を模索する。






⭐︎◆







ピロンと音がする。エレベーターが到着したと言う合図だ。



私はまだ臨戦態勢には入らない。きっと、まだその時ではない。エレベーターが開く。



階段がそこにはあった。いつか画面で見た景色と同じ。通路があって、階段がある。少し違うのは、私がエレベーターから来たというところか。このエレベーター、どうやら通路のすぐ横に設置されていたみたいで、階段の目の前まで行けるらしい。



「……見つけた」



階段を登れば暗い広間が眼前に広がっている。幾つもの立派な柱が天井を支えている。戦闘時にはあまり壊さない方がいいだろう。万が一にもここにきた目的を無為にさせるわけにはいかない。



柱が乱立する広間の中央。そこだけスポットライトに照らされて、一つの箱が置かれている。



箱は中身がうっすらと透けていて、中にナニが入っているかが丸わかりだ。配達業者はもっとプライバシー保護を行うべきだろう。



「凍結処理なんて酷い真似するなぁ。いや、餓死とかの心配は無くなるから仮死状態ってのは案外助けを待つ上で有効……?いやでもやっぱ嫌だな」



まるで剥製みたいに飾られている中身。青くほんのりと発光しているのは、急にその状態にされたからだろうか?なんにせよ、直接問いただせばいいだけのこと。



「ここで、私が颯爽と駆け付ければいい、なーんて、真っ直ぐな考えは私できないんだよね」



一歩を踏み出す。



『認証。四種類の『護照』の所持を確認しました。』

『『護照』を統合します。完了しました。』

『条件を満たしました。技能『偽照』を獲得しました。』

『条件を満たしました。「天守閣」への進入を許可します。』

『特殊シナリオ「思い出のパズルが嵌まる時」が進行しました。』

『現フェーズでの目的を提示します。』



ーー「メモリー」を影の手から救出しろ




「やっぱりね。いるんでしょう?メリーくんを渡したくない、けどメリーくんに近寄る私みたいな虫を潰したいって手合いは。この場合は影の手、ね。ふふん、私が持つアニメ知識によれば……安地は決まってるんだよォっ!!」



走り出す。

( ):と言うわけで、アホみたいなタイトルで油断させつつボス戦です。

(裏):何がというわけでなのか意味がわからないしタイトルはセンスがないしお前はアホだし終わってる。

( ):いきなり罵倒に次ぐ罵倒で私、膝を負ってしまいそうです。

(裏):おうおう、んなもん折ってけおってーー

( ):物理的に。

(裏):!?

( ):は冗談として、それではみなさま、またねー。

(裏):……

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