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最低な現実

( ):今日は多めです⭐︎

(裏):星をつけるな。

「えぇ……鍵ってオブジェなの?いや、まぁなくはないのかなぁ?」



広場中央の像を確認した私は、像の鼻部分に鍵穴っぽいところの形状があることを発見した、のだけれど……。その形状からして推測するに、どうやら見つけるべき鍵は真っ当な鍵の形をしていないらしい。グレてる不良(鍵バージョン)ですか?



像を触れながら考える。硬質な感触はちょっと心地いい。キュッキュッと撫でると音がする。魔法のランプかな?この擬音語それにしか使わない気がするんだけど。流石にそれは言い過ぎかな。



色は当然の如く青一色。透き通っていて綺麗だと思うんだけど……どこか違和感を感じる。構造とかではなく、なんだか見ていると気味悪くなるというか。



とりあえずこの違和感は置いておこう。わかったこととして、オブジェはオブジェでも、さっき言った通り、多少はどういうものなのかは絞り込みことができそうだ。この場合だと……。



「うーん……カクカクしてる……水晶とかかな?あり得るとすればそれかも」



大きさはそこまでではない。精々が片手に収まる程度の大きさだ。そして角ばった形状からして、これは完全に憶測だけど、結晶体か何かだと考える。



一応これにも理由があって、白鯨の鍵、なんていうからには鯨に関連したものというふうには推測できるでしょう?白鯨といえば、神秘を表すものというふうに聞いたことがあるから、だったら水晶かなーって……そうですね、憶測ですねごめんなさい!!



「よし、それじゃあ鍵を仮にダイヤとしよう」



とりあえずあり得る可能性を一つでも見出さないと、できることなんて何もないからね。鍵がそんな小さな結晶とすると、少なくともそこら辺の地面に埋まってるとかはないでしょう。



流石に先の見えない不安とかそういうのが試されてると言っても、何の脈絡もなくただ適当に鍵が散らばってるってのはないはず。



「鍵探しなんだ。試してるものがなんであろうとヒントがなければ合格者が出るはずがない。だから、まずはヒントを探そうそうしよう」



鍵はダイヤだから……いやいや、そうと決まったわけじゃないんだ。憶測は変数なんだから、数式に入れても答えが出るわけじゃないのだよ。何言ってんの私?



では、状況整理だ。この海底都市の中枢部分と見られる豪華な施設は一通り探索した。結果はゼロ。ヒントらしきものも今のところは見つかっていない。けれど、それは絶対じゃない。ひとまずは別のところを探すが、何かヒントを見つけたらまた戻ってくる可能性も留意しよう。



次に、鍵の形状。ダイヤなどの角ばった結晶の形をした片手に収まる程度の大きさのオブジェ。この都市に一つしかなく、希少価値は高いと見られる。



得られた手掛かりはこの程度。私は探偵とかじゃないからそういうのが詳しくわかるわけじゃないけどこの都市が普通の人が住む町として運用されていたとするなら、大事に保管するべきであろうその鍵は本来重要な施設に保管するべきだ。



けれど、それらしき施設にはその痕跡すらない。これが現状、そして膠着している原因だ。



「ならば都市の外苑を探して、まだ見ていない場所を見て回ろう……なーんて、適当な考えじゃぁありませんとも、私を誰だと思ってるんですか」



私はプロの名探偵オール様ですよ?どんな問題もパパッと解決してやりましょう。え?さっき探偵じゃないとか抜かしてた?幻聴でしょう。気にしてはいけません。



「信じれば真実になーる!」



恐らくあの腐れゆるキャラはその程度は見越しているだろう。精神的な持久力とかを試しているならこう着状態の持続がその試練として最適解のはず。なんのヒントもなくただ無為に時間が過ぎれば人は普通焦るからね。



つまり、そんな鼻を縛り上げたいキャラランキング堂々の一位を冠する奴を出し抜くには、普通はあり得ないだろう方向性に突っ込むのがいいと判断した。決して自棄になったとかではない。本当だよ。



では、そのあり得ない方向というのは何か。それを説明する前に、白鯨というものに少し理解を深めておこう。



私もよくは知らないけれど、白鯨は白い鯨。要は特異個体だ。違うには色だけで身体特性とかまで大幅に違うとかいうわけではないはずだが、色が違えば見た目も大きく変わる。白鯨の象徴も変わっているものだ。



圧倒的な自然、不可逆の自然。人では到底敵わない存在のレベル自体が異なる雄大な世界そのものが、白鯨が表すそれだ。恐らくそうだ。うろ覚えだけど。前世の親友が教えてくれました。



となれば、白鯨の鍵の解釈としては次のようなものたちが複数考えられる。一つが、何を開けるかということに関しての鍵、つまり世界、あるいは自然を開く鍵という解釈になるね。



そしてもう一つが、鍵がある場所を示すものとして白鯨が使われているパターン。この場合だと、つまり鍵は自然そのもの、もしくは世界そのものに鍵があるという解釈になる。うん、控えめに言って意味わからない。



「どっちかっていうと前者の方がまだ解釈としてわかりやすいなぁ……」



というわけで、前者のパターンで考えると……なんと、鍵がどこにあるのかというヒントには全くつながりません!なんなのマジで。



だから消去法……残ったこの考え方も正しいとは思えないけど、一応後者が正しいと判断した時のパターンは……



「世界そのものに鍵があるって、普通に理解できないんだけど……翻訳ミスみたいな奴だな本当。せめて世界そのものが鍵とかだったらまだ……ま、だ……?」



あー……自分で言ってて思った。ありそう。



再三いうがあのつぶらなお目々を貫きたいランキング一位のあいつを出し抜くには、相当頭を捻らせないとダメだ。試練の趣旨からして、適当な考えで鍵を見つけられるとは思えない。鍵がそもそもなくて時間耐久の可能性もなくはないけど、あの象のことだ。ひとまずないと考えていいでしょう。



だからとにかくあり得なさそうな策から試していく。証拠も何もあったものではない。けれど、これでいいと私の勘が囁いているのだ。つまり私は正しい。疑問?そんなもん捨てちゃえ。



「世界そのものが鍵ねー……自分で言ってて荒唐無稽な気がするのよねー……でも、ヒントとかなんてないし……」



天を仰げば真っ青な空。快晴かな?でも違う、なんとあれ水なんですよ。でもよく見たら青一色ではないんだよねぇ。ポツポツ白い点みたいなのがある。



あれは私が死霊なんていうハイスペック肉眼を持ってるから見えることなんだけど、多分泡だね。なんか上に登ってるし多分そうでしょう。



それにしても遠いなぁあの泡。どっから出てんだろう。都市ではなさそうだし……あーでも、深海とかならあることなのかな?自然現象詳しくないんだよね。



「うーん、なんていうか、本当に白いわね。あれ見てると白いとしか思えなくなるんじゃないかしら?遠いからなんだろうけど点と点が……ん?あれあれあれ??」



ちょっと待って。あの泡の群、なんか意味なしてない?え、もしかしてヒントはすぐ近くにあった系のやつ?あれ、もしかしなくてもこれは大手柄では?いや、そうだね。これはでかした私。よくやった私マジ天才私。



心の中の私(二頭身ver)を全力でよしよししながら急いでそれっぽい感じに泡の文字みたいなのを解読する。



「えーと?魚……京、魚京?いや違う、ここだと鯨か?鯨、は、世界、ち……いや違う、下のも合わせて「を」か!鯨は世界を、運……ぶ?運ぶ。もの。ならは……ならば、尊き、白の……運び屋?は、内なる命、育み、自然を、なす。えー……」



四苦八苦しつつ解読して得られた結果がこれだ。



「鯨は世界を運ぶもの。ならば(たっと)き白の運び屋は、内なる命を育み、自然となす。遍く命は(こうべ)をたれよ。()は我らを包む慈母也……」



はい、十分はかけて解読した結果がこのポエムです。私厨二病じゃないんで全く共感できないです。フっ……みたいなこともないのでほんとに無駄な労力使っただけになります。誰だよ大手柄とか言ったやつ目ぇ腐ってるんじゃないんですか?



……なんかイライラしてきたわ。これも全部あのゆるキャラが見た目とは真逆の真っ黒な性格に従って作られたものだと思うと何故か手が震えてくる。おかしいな?なんか強く手を握りすぎて血が出てきたぞ?



「ふぅー……そう、別にそんな簡単にできるものじゃない。最初からそんなことはわかっているの。ダメよ私、こんなところで冷静さを欠くわけにはいかないの。私ならできる。できるできるできるあはははははーー」



『いきなり!ぞうさんからのお便り(≧∀≦)⭐︎


しりょーのお姉さんへ!お元気ですか?僕は今、クッキーをやいています♪


今日のお菓子も出来ばえが良くてうれしいです!せっかくなので、お姉さんにもおすそ分けします♪


   byゆるっと象さん


追伸:現時点を持って第二試練開始から五時間が経過した。貴女の行動は非常にもどかしく痒みを覚えるほどのため、手慰みに作ったクッキーを進呈する。げんきだしてね!トロいおねーちゃん!』




「………………………………」



突然目の前にホログラムで現れたお、お便り…………を一切瞬きをせずに貼り付けた笑顔で読み切り、ホログラムが故に触れてもすり抜けてしまうお便りを眺めながら私は思った。






「ぁあああぁあンの外道エレファントォオオオオオ!!!死ね!今すぐにしねしねしねしねしねっっっっっっ!!なぁああにがクッキーだご丁寧にちゃんと焼きたての送ってくんじゃねええええええええ!??!おまっ、おまえなんか嫌いだ大嫌いだどっかで食あたりでもしてポックリ逝っちまえやボケがああああああああああそんなに人の神経逆撫でして楽しいか人様に迷惑かけてんじゃないわああああああああ頭おかしくなりそうもう無理もう無理もう無」



ちょっと垂れ流しちゃいけないタイプの思考だったので一旦ストップ。お茶でも飲んで落ち着こっか?ちょっと見せられないから目伏せておいてね?



「ころすつぶすけすおわらすねだやしほろぼすあとかたもなくしなすたやすこわすきるたたくおとすしめるとかす&£※〆[$[^^『』[[・“々<<$[&”々,^ - ^( ^ω^ )✌︎('ω'✌︎ )」



大丈夫。よくあることさ。多様性というのは認めるべきものだ。そうでしょ?



「“ピッーーーーーーー”だ、この“ピッーーーーー”、絶対“ピッーー”してやる“ピッーー”だ“ピッー”で“ピッーーーーーーーー”」




ちょっとカメラ止めてー。





⬜︎






数分かけて私の口の支配権をなんとか私から取り戻した私はようやく口を閉じて思考に没頭することができるようになった。え?私から私のってややこしい?でもそうとしか言えないのよごめんねーあはは。



「あー……なんか、こう、疲れた」



いやね?正直疲労はないよ?問題は全くないし、今から急に戦闘が始まっても特に対応できないということもない。ただね?ちょっと精神の方が、こう……。



「はぁ……、ぁ、え……?」



きっかけは多分、私が疲労で座ったまま首を垂れたことだと思う。それまでは青一色の中に白がポツポツ混ざっているだけだった空が、私の視界に映る空の外側から白にあっという間に侵食され切ってしまったのだ。



思えば、この時点でさっさと逃げるべきだった。別にそうしていても何も変わっていないとは思うけれど、多少はその全容を把握するのには役立ったと思う。



ーーオォオォオオオ



声にならない声が、悍ましい鳴き声が耳を通り抜けていく。さっき読んだ泡の文字が脳裏をよぎる。



「……遍く命は……首を垂れよ、か」



今現在この都市には私しか生きているものはいない。死霊の私が生きてるかは永遠の疑問だけれどそれはひとまずおいておいて。その唯一の生命である私が首を垂れたことが多分トリガーになったのかな?



あの象もネタのようで本当のことを混ぜてくるからタチが悪い。ちゃんとヒントだったというわけだ。そして其のヒントをうまく活用せず無闇にトリガーを引いた結果、この白いのが空いっぱいに現れたと。



端的に言えば、今の空は巨大な一つの生命に覆われている状況だ。なんでわかるのか?見ればわかるのよね。『気配感知』がこれ以上にないほど反応している。



「白の運び屋……鯨が世界を運ぶとか言ってたし、それは多分白鯨のこと。そして、泡の文字が原因で出てきたと見えるこの白い生命は……」



答えなんて一つしかない。



白鯨だ。



「なぁるほど……?つまり、あいつを倒せば多分白鯨の鍵が手に入るのかな?その可能性が高そうだ……」



鳥肌が立つ。いや、そんな気がするだけで、実際には私の体にそんな機能はないんだけどね。とにかく、生半可な気持ち、覚悟で勝てる相手じゃないことは確かね。



白鯨が地を睥睨する。大きいというのはそれだけで根源的な恐怖を生物に与えるものだ。まぁ死んでる私には関係ないんだけど。なんせ死霊ですし?私は超冷静ですよ真正面からギミック踏み倒してあの象に目に物見せてくれるわおんどれぁ!



「銃……やっぱし通じない……悲しきかな」



牽制に定評があるピストルタイプの銃ではやはりあの怪物には通じないようだ。そもそも白鯨がいるあの天まで届いているのかわからないし。



「ふぅー……通じないものに執着はしない。後ろは見ないよ」



即座にスナイパーライフルに切り替える。ふふ、いつになっても体がこうやって無機質なものに変化する感覚はどこか不思議で面白い。私が作り出すこれの内部構造とかを詳しく知ってないのもあるのかも。



「これも通じないね。仕方ない。これがダメとなると……まぁ、近接戦しかない……んだろうけ、ど」



ただの戦闘で終わるとは思えない。だってこれは地獄のブートキャンプ。腹立たしいけれどあのゆるキャラは頭が回る。私よりもね。業腹だけど、そこには一定の信頼があるわけで。



「なんだ……?勝利条件、それは鍵の奪取。でもそれがどこにあるかなんて確定していない。あれがブラフの可能性だって……いや、今はそれは関係ない。今できることは……」



白鯨が吠えるコマンドを打ってきた。衝撃が近くの建物を倒壊させる。これなら身を隠すには十二分というものだ。



ーーオォオオン



身を隠す以上、堂々と白鯨を観察することはできない。隠れているから周りがどうなっているかはわからないけれど、衝撃波が彼方此方に撒き散らされてるのは感覚でわかる。



「つまり、そんなに長く、かくれんぼはできないと」



白鯨さんはどうやら子供の遊びが嫌いなようだ。鬼ごっこを仕掛けたとしても遠距離から衝撃波スナイプをされて即死亡(ゲームオーバー)だろう。



「……」



衝撃波が近くを叩いた。髪が風で散る。



勝利条件は何も純粋な力比べだけで得られるわけではない。そんなことはわかっている。一つわかるのは、正攻法で戦って勝つことはないということ。



だって純粋に攻撃が届かないもの。あの高度では流石に私の『肉体変成』を用いたとしても触れることもできない。



「だから、戦闘は考えない。除外だ除外。いや、待て。そもどうやって白鯨は現れた?それはわかってる。私が首を垂れたから……なんでそれでそうなる?首を垂れた判定はどうやってる?敬意とかは込めてないはず。感情ではないだろう……」



ちっ、もう隠れられる場所がなくなってきた。これ以上は行動しながらの考察になるか。



「しゃーない。一応願掛けも兼ねて『隠密』とかはオンになるように……こっそりと……」



ズドーン。



瓦礫から外に出た瞬間目の前の地面が叩き割られる。ついでに今出てきた場所も直後に粉砕された。



「……あー」



上を見上げる。思いっきり目が合った。わお、思ったより綺麗な色してるぅ。化粧でもしてる?白粉とか?え?これすっぴん?いいじゃんモテそうだねー……あ、逃がしてくれませんか、そうですよねー。



「うわぁお?!」



今の所白鯨は口からボイス(大音量)しかしてこない。けど、それだけだって私には若干手が余る。早急に手立てを考えなくては。



まず、首を垂れたということのうちどこかに意味があるはずだ。例えば敬意を表するとか、ね。



でもそれは心からのものではない。それは私の精神が証明してる。それなら浮かび上がってくる答えは……形式ばった祈り、とか。形から入るのだって重要だ。そういうことなのかもしれない。



「よし、ひとまずは形式と祈りを手段として行動してみよう!」



大自然というある意味神の怒りを鎮めるってことでしょ!?それならわかりやすい!私のとっておきを見せてあげる!!



第一手段。

土下座。



「………」

「………………………」



地面に頭擦り付けてるので見えないけど動きが止まった白鯨。そっと顔を上げれば……。



「…………喉詰まらせた?」



これ見よがしにとても大きく空気を吸い込む白鯨。深呼吸のお手本にしたいくらいだ。残念なのはその深呼吸は周りの人々を見境なく深み(地獄)に叩き落としてしまう点だろうか。肺活量やばくない?



「流石は海の哺乳類、肺活量すごい、ねぇえええぇええ!??」



疾走。純粋な破壊を齎す衝撃波が私に直撃すれば、死ぬまではいかないだろうけど、行動不能レベルまでには持っていかれるだろう。



だから、走って走ってなんとか致命傷は免れる。うおおお限界を越えるのだ私の足ーーッ!!



「セ……セーフ……」



なんとか耐えたぜへっへっへ。こうやって超人じみた運動能力を前提として私は普段動いてるけど、これって死霊じゃない私だったら絶対無理な挙動なんだよねー……今更になって感謝だね。



「全く、こんな綺麗な景色台無しにしちゃってさぁもう。これ見て何も思わないんですかー?」



はい無反応頂きましたー。深呼吸した後は硬直とかするのかな?反動はありそうだし、そう仮定して行動してみようか。



周りは瓦礫だらけ。思わぬところで転ぶ可能性や、そもそも白鯨より小さい私が持つ建物などに隠れる隠密性のアドバンテージが消えるからこの場所での戦闘はあまり継続したくない。というか多分できない。



「早急に対策を練らないとなんだけど……我が最終奥義DOGEZAが通じなかった以上、もはや打つ手は……っ!」



形ばかりの祈り。これが白鯨を呼んだとするならば、これは白鯨と何か関係があるというのは間違っていないはず。もう少し深く考えてみよう。表面だけの祈り。薄っぺらい行動。



私は嘘大好き人間なので、共感を覚えなくも……ないわけでもない。やっぱ自分以外の嘘吐きはクズですわ。裁かないと。というわけで、白鯨が出てきたのは……



「虚飾、とかかな?」



別に白鯨に聞こえるほど大きな声を出したつもりはない。けれど、結果としてはこの声は勝負を決める一手になった。



「…………!!」



揺れたのだ。白鯨が、一瞬。明らかに以上な挙動。近しいものをあげるならば、バグ。白鯨という荘厳なメッキの中の、平凡なモノが、現れたような。



「ほほーう?みーつけちゃった、みーつけたー……!白鯨くゥん、そんな真っ白な外見してるけど、お腹の中の色はどうなのかなー?清く正しい白鯨君は勿論白いよねぇ?」



虚飾が白鯨を呼んだなら、白鯨自身が虚飾と関係があるのはわかる。で、そこから派生する一つの考えとして、白鯨自体が虚飾という可能性がある。嘘に惹かれて来たコイツが、嘘まみれというのも理解できなくはない。さて、とりあえず嘘を暴いてみようか?



「白鯨。君は……ハリボテだね?嘘で自分を大きく見せるということはよくあることだ。普通の自然界の動物とかもやってること。だから本当の君は……小さい」



白鯨がまた揺らぐ。そして今度は小さくなり始めた。まるで空気の詰まった風船から空気が抜けていくみたいに。



面白いものだ。精神攻撃を主軸とするこのアトラクションをクリアするために必要なのは、相手を精神攻撃で追い詰めることというのは。正直、ただの言葉がここまで効果を及ぼすとは想像してなかったけど。



「君の存在は虚飾、嘘偽りだ。ならば君の特徴全てが君の実態を暗に示している。白い体は嘘を表し、巨躯は弱い心と小さな体を。巨大さゆえのその吐息は、本来なら自由に、目一杯息を吸うなどできない弱者ということを表している。違うかい?」



別に今私が言ってることが正しいとは思っていない。ただただ、さっきまで私が試行錯誤して白鯨攻略のために色んな可能性を試していたのと同じだ。適当に色々連ねたら、そのうちどれかが白鯨にヒットして、さらに白鯨を弱体化できるのではないか、という。



結果は十分だった。白鯨は最初とは比べ物にならないほど小さくなり、最終的には白い小さな球体になった。最初に私が見た、白鯨を構成する小さな泡と同じものだった。



「こんなに萎むのか……さて、白鯨の鍵なんて言うんだから、君が持ってたりしない?」



白い球体は答えない。と言うか、答えられないだろう。口とかないし。代わりに行動で示した。



「流石にその状態で攻撃されても私は倒せないでしょ。『解析』したけどめっちゃ弱いじゃん君」



突進して来た白球を真っ二つにする。中からコロリと透明な宝石が出て来た。



「終わったかー」



最初から『解析』できていれば話は変わったのかもね……。こう言う手合いには一番効くはずなんだけど。いや、だからあえてあのゆるキャラはコイツを配置したのかな?本当に賢しい奴だよ……。



一応ちゃんと宝石を見ておく。形とかからして十中八九あの像にあった穴に合致するし、間違いはないでしょう。というわけで、さっさとこのアトラクションも終わらせようか。

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