祝、四つの塔全部崩壊
( ):えー……こう言うのは、活動報告とかで言うのが筋とかだと思うのですが、残念なお知らせです。ん、残念か?
( ):残念かどうかはさておき、諸事情により、この作品の投稿を継続することが難しくなってしまいました。色々粗が多すぎる拙作をここまで読んでいただいた皆様には申し訳なさで胸がいっぱいでございます。
( ):今後復活できるかどうかは、現状見通しが立っておりません。ひとまずは、現在自分が貯めていたストックを全放出することでお詫びとさせていただきたいです。
重ねて、ここまで読んでくださってありがとうございました。でも湿っぽいのは嫌なので、できれば明るく煌々と破手に散りたいと思います。ファイアーーー!(絶命)
⭐︎⭐︎⭐︎ 【絶命刀】 オール
「やんやん?」
『?????』
ぐぬぬ。可愛く(当人比)誤魔化したつもりなのに全く動じてない。どうしてだ。言動は普段子供っぽいのにどうしてこういう時だけ鋭いんだ。おかしいだろう!もっと簡単に騙されてよ!!?
『……』
あれ?なんかこの程度で騙される奴なんかいないって言われた気が……はっ!?ま、まさかメリーくん!?そんな!??私ってそんなに才能ないの!?ちょっと、目ぇ逸らさないでっ!!
ギャーギャー騒いでいる私たちだが、現在何と塔の四つ目である。
ここで、皆様は一つ考えたことだろう。どうして塔は三つ目じゃないのだ?もしくは、塔の攻略早すぎない?と。
実を言うと、まぁ何と言うか、三つ目と四つ目の塔は、入場条件が前二つより低かった。
というか、恐らく私たちが順番間違えた。何だよ三つ目五つで、四つ目十個って。そこは全部最初は同じ条件にしておいて、塔の攻略数に応じて残りの条件を高めるって言うのが王道でしょう!?
最初から順番決まってるなんて聞いてないですー。ゲームばっかの人間なんでそれ以外の定説知らないですー。て言うか誰だよ皆様。こんな異世界覗ける奴なんていねーよ。観客か?お?コロッセオじゃないんやぞ!!
『…………………』
「あ、はい、虚空に向かって地団駄踏むのはなしですね」
自分でも思った。女子力皆無じゃね?と。おい、私に向かって今、今更でしょ?って言ったアホ観客がいたようだな。
私は観客がいるかは知らないが、心の声には耳を傾ける人間だ。それただの自己中野郎じゃね?
……て言うか虚空に向かって地団駄踏んでる時点でそれ女子力皆無っていうかただの変態なのでは……?だ、だめだ。この件については深く考えてはいけない。
「ん゛んっ!と、とにかく……三つ目の塔の攻略はすんなり終わったけど、四つ目もこのまま行っちゃっていいよね?流石にあんまりのんびりしてもいられないんだ。実を言うと、現世の方でタイムリミットがありましてね……はい」
え?メモリーくんは現世を知らない?ご尤もで、しかぁし!そんなことを私が対策していないはずがない!私が持ってる情報は全てメリーくんと共有している。つまり、なんか困ったことあったらとりあえずメリーくんにふっとけばいいのだ。
あ、因みにメリーくんに情報はこっちに全部共有されてはいません。
『……(こくり)』
「おーけー。そしたら手早く済ませちゃおう。でも、入場条件が低いからって油断はなしね?まぁメリーくんは言うまでもないか」
そう言うわけで、最近なぜか崩落が多発している都市を一瞥して塔の内部に侵入する。おかしいなぁ。何で私が来たら崩落が発生するのか、全く、いやほんとに、わからないなぁ???
「おっけー最上階到着。この景色も四度目になるのだから、惚けたりなんかしないさ……メリーくん??」
惚けてるやついたよ。て言うか何かと思ったら最近なぜか崩落した三つの塔の残骸を見ていた。あっちょ、やめて!退廃的かつ神秘的な都市を破壊してしまった重みが来るっ!あ、後にしよう!後で!!
「ふふふ……天球的魔法陣よ、今の私はちょぉっと現実逃避したい気分でなぁ……付き合って、くれるな?」
返事は是非か、ありがたき幸せだ。イエスとハイより酷い2択なんてあったんだな。戦闘開始っ!
「さぁ今日もやってまいりました!魔法陣相手に必須のスキル『魂の技術』ガチャ!最近は使いまくってて使用制限緩和の兆しが見えている期待の新星ダァ!!解説のメリーくんさんどう思いますかね!?」
『!??!』
独り言に今日は罪悪感がプラスされているので変なことを戦闘中に宣ってしまった。脊髄反射で言ってるだけだから許して。そんなことより今日もガチャガチャ……お、今日はいい感じ?
「おぉ……!今日は運がいい!ドラゴンパワーだ!ドラゴンパワーですぞ!!」
もう随分昔に感じるけれど、これは青の龍宮で出会ったあの火竜のスキルだ。因みに、これのスキルには複数効果が内包されているみたいなので、色々できます。具体的には……。
「ブレスができるっ!!かっこいいっ!!」
そう、ドラゴンお馴染みのドラゴンブレスができるのだ。見た目こそ私は人間だけれど、その本質は紛れもなく魔物。そして、いくつか読んだ事ある魔物に転生した小説の中にはドラゴンに転生するものがあった……。
「その憧れを今ここで!!素晴らしい!これだからやめらんねーべ!!いくぞ、どらっごん、ぶれぇえええぇぇえず!!」
効果は上々、火炎が広がるそのエフェクトも素晴らしい。一点を除けば全てが完全と言えるだろうスキルだ。今日の私はきっと運がいい。だが、一つだけ、そう、一つだけ言うことがあるとするならば……
「仮にも女性が口から吐瀉物はだめじゃなぁあぁぁああい!???」
誤算だった。まさか、ドラゴンブレスが女子力を壊滅させるという致命的欠点があったなんて!?
まぁでも元々私の女子力終わってるんだけどね。女子っていうかもはや男子。いや、男子でもこんなことしないか。じゃあなんだ?私は女子でも男子でもない。
つまり、性別を超越した…………神?
「バカなこといってらんなぁぁああぁぁああい!?」
息を吐き続ける。吐いた吐息が炎へと変換されて、そのまま前方の景色を総なめする。範囲攻撃かつ、高威力。一人につき一つは持っておきたいブレス系スキルの真骨頂がこれだ。
別に特殊な効果があるわけじゃない。単に属性が異なるだけで、どのブレスもやることは結局は変わらない。けれど、それでもそれらのスキルは非常に強力だ。
だって、威力と範囲を兼ね備えたスキルは、要は便利かつ強いということなのだから。とりあえずこれ放っておけば何とかなり系筆頭スキルである。前に出てきた果実を出すだけのスキルとは大違いである。
「…………っ、はぁーーーー」
やれるだけ息を吐いて、そのまま深呼吸。ぜぇぜぇ言っているけれど、体力を消耗したりとかはしていないのでいつでも動けるように臨戦態勢は移っている。そして、炎が晴れた視界の先では……。
『ーー……ーーー』
形が歪みに歪みまくった天球魔法陣がその半身を崩させていくところだった。あ、あれ……?前回はスキルを一時的に得て、それを試行錯誤しながら何とか天球さんに打ち勝つっていう要は辛勝って感じだったのに……。
「ほんとにあの果実スキルはダナ子だったんだなぁ……」
視界の隅からまた例の木がひょっこり生えてくる。もういいから帰れ。人の脳内を荒らすな。
しっしとトレントたちを追い払っていると、やはり来たのが塔の崩壊タイム。まぁこれも4回目のことなので、すでにメリーくんが準備を完了させて、扉が開いたと同時に突っ込み記憶の欠片を回収してくる。
「よっと」
これで、崩落すら天井から逃げるのも最後。上からやべー魔物が出てくるのも想定内。想定外も他にはなくそのまま翼を生やして滑空を始めた私たちに、もう止められるものはいなかった。
「……あれ?」
そう思ったのだが。なぜだろう、塔にいたのだろう鯱が、空中に浮遊しながらこっちを見つめてくる。今までそんなことなかったのだけれど……あれ?もしかして最後だからってなんかあるのかな?それって……やばい?
「わぁあああ退避退避ーー!!あれダメだって!波動砲!波動砲です!灰も残らないよあんなの食らったらーー!?」
どうして?何で上手く行ってる時に限ってそういうことするの?ガチャの女神は私のことが嫌いなんだね?ふーん……今度当たりが出るまで絶対ガチャ連続けてやる。泣かせてやる、絶対に!!
「その前に私が涙を流す間もなく蒸発しちゃう……!」
それはごめんだ。何で遅かったから癇癪起こしたのか知らない鯱の悪戯で滅びにゃあかんのだ。いややいややーー!
「何で何で……あぁぁそういうの考えてる暇ないから逃げれる場所、いや、反射、無理!!退避だどこにいく?あれ全部融解させてこっちに飛んでくるのは確実だろうし……隠れる?無意味。格上相手には無理」
じゃあどうする?!やっば、突発的アクシデントにしてはエネルギー貯まるまで早すぎでしょ!?これもシナリオに入ってるの?!いや絶対そんなことないよね!?ていうか、シナリオって言っても使われること想定されてないんだから頼るのは無理じゃん、ダメだこの空間!??
「あぁあ……あ?はっ……!!」
その時、城が目に入った。その瞬間、駆け抜けるのは一つの考察と閃き。
天球魔法陣は城の結界を守るものだ。そして塔はそんな魔法陣を守るために存在する。では、そこから出てきた彼らは何だろうか?少なくとも、あの城に敵対しているものではないはず。
だって、もし敵対しているのなら、魔法陣に対して何かしらの攻撃、少なくとも工作か何かはしているはずだ。あえて何もしないというにはここでは考えない。そこまで考えている余裕がない。今は、これに私の全てを賭けるのみ。
「君らって塔はぶっ壊してるけど城は壊さないよねぇ……?!それに、塔を壊してでも脱出したのはちゃんと理解できる理由がある。私にはわかるよ……!!」
塔に潜んでいた彼らは、多分城の味方陣営。それも強さ的にいうのなら幹部とかでもおかしくないはず。それなら尚更白を壊しはしないでしょう……!?
そして、それは即ち、私を消しとばして余りある攻撃は、私の後ろに城がある場合には使えないということ……こもでは、あんのにっくきシャチやろーの波動砲がそれに当たる。
ならば、城の前に陣取ることができればそれで私の勝ちとなる!!そして、この塔は城に最も近い塔だ!間に合わないはずがなぁい!!
そして、さっき言った塔を彼らが壊した理由。それは別に大した理由じゃない。彼らにとって、それはもはや大切なものではなくなったからだ。
「塔の中に魔法陣があるなら、それを守りながら行動するしかない……けど、それが消えたなら?塔自身は彼らにとって大事じゃない。こうなるのも、必然ってやつなのさ……」
城の前に到着したことで私の余裕は鰻登りだ。あれ?言い方おかしいかなこれ?まぁいいや。この完璧推理の前に、シャチの波動砲はもはや無意味!!ふはは、悔しがれぇい!
「……あれ?」
掌ぐるぐるでさっきまで焦っていた私の顔は、笑顔に戻ったのも束の間、さらに困惑の表情に移り変わる。なぜかって?なんか波動砲にチャージが全然終わらないのだ。ていうか、普通にエネルギーをため、て……あれ?
「これ、城とか関係なく吹き飛ばされる?」
ポツリとつぶやいた言葉。なのに、その輝きはそうとしか思えなくて。輝きが鯱の口から漏れる。吐息が光を持ったかのように薄く広がり、周りの霧が晴れて、ただでさえ白い空間が真っ白に染まったかのような錯覚に陥る。
「……こ、れは。まさかまさか……ここで旅が終わりとか、ないでしょう?」
口が引き攣っているのを自覚している。急に訪れた死の足音。冷たい何かが折られても問題ないはずの首に添えられている気がする。
「さっきまで……平和のへの字くらいはあったんだけどなぁ……救済措置、ない、かぁ」
メリーくんがブルブルと震えている。大丈夫、君が死ぬことはない。私より小さな的である君は、私が囮になれば訪れるだろう光の螺旋からは逃れられるはずだから。
「うわぁ……力が溜まりすぎて全部情報が消えるってあるんだ」
自分でつぶやいたはずの声が聞こえない。音が消え、視界が白く染まり、鯱とその口から漏れる光しか目に映らない。
そして、鯱が天に吠えた。
「………………は?」
そう、天に吠えた。それはつまり、光の奔流が空に向かって放たれたということで。完全に予想外。理解の埒外の方向に進み始めた展開に思考が停止する。だからだろうか、美しいと、純粋にそれが思えたのは。
天に光が昇った。天頂に到達した光は、その場所で……弾けた。いや、分裂したという表現の方が正しいのかもしれない。
まさしく、それは終焉の光景だった。私が連想したのは、某ポケットなモンスターにおける創造神の固有技。裁きの礫とは確かによく言ったものだ。光が無数の礫となって地上に飛来してくる。さながらそれは、一つ一つが隕石のようで。
「っ!?」
そこで我に帰った。ここで棒たちしていれば、待っているのは光の隕石による圧死。折角少しの光明が見えたのだ。逃すつもりなんてありはしない!!
全力で城の前の地面を蹴り、あたりに並ぶ地面を立体機動で飛び跳ねながらとにかく遠くへ離れていく。
遠くに離れ行く時、鯱の方をみたのは、単純に警戒心によるものだった。
『ーー本物は、これの比ではないぞ』
だから、その声に、黒光りする流動的なフォルムの彼が、それでも明確に笑みを浮かべているとわかるほどの声音で脳内に語りかけてきた時は、危うく飛び跳ねていた立体機動が失敗して地面に墜落しかけそうになった。
「……!!」
文句を言うように鯱へもう一度目を向ければ、その時には彼はもう城の方へ向かっていくところだった。どうやら、これ以上の干渉はしないつもりらしい。何から何まで、意味のわからないやつだーーと、少しの安堵を見せていたところに、ふと一つのことが思い浮かぶ。
あれ?光の礫は?
「ーーちょっ!?放置!?何もしないの!??」
轟音と共に、都市は崩落の渦に突き落とされた。
⭐︎
昔、とある都市で、ある戦士は一つの決意を漲らせた。
光に長けていた彼は、その都市が民たちに無許可で秘密裏に行っていたことを軽く都市内を観光しただけで看破し、同じく光に満ちた輝かしい性格に従うままに、その都市の破壊と再生を実行した。
彼には、四つの部下であり、家族がいた。
四神とも後に呼ばれることになった彼らは、光の戦士と共に、その都市自身に対して立ち向かった。
光の戦士は、都市の主人と対峙し。
後の四神は、都市の主人が直属の部下である四天王とそれぞれ相見えた。
戦闘は熾烈を極め、四神にとってもあれほどの死闘は最初で最後だったと語らせた。光の戦士は、これを機にその真の力を解放するきっかけとなった。
そんな彼らを一番間近で見ていたのは、当然ながら、対峙した相手たちだ。
いずれも彼らとの戦闘において勝負を仕掛け、そして結果として死亡した彼らは、けれども何の因果か、とあるシナリオを作る上で、そのストーリー上に人格を模倣したかつての四天王という形で、真の意味ではないにせよ復活を果たしていた。
その中でも、シャチ……四天王の中でも一際頭抜けていた存在は、その強さゆえか、意思までも頭抜けており、シナリオ上まだ芽生えていないはずの意思をオールたちが天球魔法陣をぶち壊した時点で覚醒させていた。
シャチは考えた。シナリオに沿う形で自身は動かなければいけない。それは、自身が作られた存在で、その意思も所詮は模倣に過ぎないからだ。
けれど、シャチは考えた。どういうわけか、そのシナリオという名前で、かつての自分が住んでいた都市を舞台にした物語があると。それを認識した時、シャチは特に明確な意思を持って動いたわけではない。
ただ、漠然と考えただけ。
かつての夢幻都市は、どこかから湧いて出た光の神に燃やし尽くされた。それが街全体にかけられていたとある術を壊すためで、そこに住んでいる人たちには一切影響がないのだと後に知ったとしても、当時光の神が行った天から飛来する隕石群はあまりに絶望的だった。
では、今自分が見ている都市はどうだろうか?この都市はかつての都市と酷似しており、しかしどこか違う。かつて恐れ、そして同時に憧れたあの一撃は都市を一撃で葬ったが、自分では同じことはできないだろう。
だが、この都市は恐らく本物の夢幻都市よりも脆い。ならば、自分でも偽りとはいえあれと同じ所業ができるのではないか?そう、シャチは何ともなしに思ったのだ。
それは、単なる憧憬による行動。だが、もう一つ、その思いを実行に移させた感情があった。
それが、不快という名の感情。自身が仮にも憎からず思っていた都市が模倣されて展開されている。それ自体は別にいい。
だが、その都市は、解釈が違う。シャチに言わせれば、この都市は出来損ないだったのだ。
それは自身の夢幻都市を貶められているような気がして、腹が立った。
漠然と、シャチは考えただけ。けれど、現に少しだけ、シナリオから彼は外れた行動をした。少し、そう、少しだけ。けれど、その規模は少しではない。
都市まるごとに仕掛けた大規模破壊攻撃。それは、退廃した都市になぜかいる異物のとある死霊に無意識的に比重を置いた攻撃となり、けれど辛くも生き残った死霊は、素の運と技術をもって、より慎重に対策を立てる結果となった。
だからどうした。きっと、どこかの箱庭の管理者はそういうのだろう。事実、だからと言って、この件があってもなくても然程変わりはしない。
ただ、未来が小さく書き換えられただけ。ゼロが1になるような……一部のものからすれば小さくて、一部のものからすれば大きな変化。




