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【世紀末行軍】追憶の旅【神聖さどこいった?】

⭐︎⭐︎⭐︎ 【絶命刀】 オール・フォルタム






「ヒャッハー!!有り金全部置いてけーー!ないなら記憶の欠片を落としていけーー!!」



『Q゛ーーー!!』



ふはっはははは!!大漁大漁!今夜の私たちはフィーバータイムだァーーーーっ!!



セラスとかいう摩訶不思議な空間の片隅。神聖な霧が立ち込める中、神聖さゼロの野蛮な叫び声が近所迷惑待ったなしのレベルで響き渡っていた。



「よぉしよしよし!これで記憶の欠片はいくつ!?……二十か!もうちょっとだね!」



『M゛!』



そんな野蛮人、もとい野蛮死霊の私は現在記憶の欠片集めに勤しんでいる。今いる場所は元々いた近未来都市とは別の。遺跡のような場所だ。ほら、ジャングルに隠されてる感じのやつを思い浮かべてもらうとわかりやづいかもしれない。



「いやー……それにしても、最初の塔は十しか要求しなかったのに、次の塔は二十五も要求するなんて酷いよねぇ?インフレしすぎじゃない?つーか記憶多すぎでしょ。白虎の記憶容量ヤバない?」



今私たちがそんな一先ずのシナリオ進行に重要そうな場所から離れて記憶を集めているのは、まぁちょっとした休養の意味もあるが、大きな理由は次の塔に挑むためだ。



最初の塔を攻略した後、私たちは1日ほど休んで次の塔へと下調べを行うために足を運んだ。まぁどっちにしろそんなすぐに挑むわけではなかったとは言え、そこで示された塔挑戦のための必要条件は二十五個以上の記憶の欠片保持。十三程度しか持っていない私たちからすれば、結構遠い数だった。



「ん?次はあっち行くの?もう、記憶の欠片は見つかるけど、印付けないで行くと帰り道忘れるんだからね?全く、いつからセンサー機能なんて持ってたのか……」



その必要条件は早めに満たさないといけない。私には時間制限があるのだ。なるべく早めにシナリオクリアして二人との合流を果たさないといけない私からすれば、前提条件クリアは急務だったと言えるだろう。



そのためのこのプチ旅行。そのためのこの徹夜行軍だ。なんか記憶の欠片の数が増えたからか、色々と多機能になり始めたメリー君を携えた今の私は、メリーくんの案内ありきならば記憶の欠片を見つけるのはそこまで難しくなかった、のだが……。



「今度からは突撃とかやめてね?記憶の欠片って大体近くにボス個体がいる場所にあるんだから……」



見つけるだけなら問題はなかったのだが、記憶の欠片をゲットするには大抵その近くにいるボスを倒す必要があった。



いずれもどっかのアー⚪︎エンジェル・シャー⚪︎ルや、塔の天球魔法陣ほどではなかったけれど、雑魚と言えるほど弱くもない、そんな敵と欠片を一つ集めるたびに戦うのだ、結構な苦行であった。



「はぁ……しかも、なぁんでか絶対にバレるし。おかしいでしょ、別に『気配感知』スキルを高レベルで備えてるわけでもないのに」



勿論、なんとか戦闘を回避して記憶だけ奪取できないか試しもした。当然だ、楽できるならそれに越したことはない。が、まぁダメだった。流石に対策はきっちり練られていたらしい。ほぼ起動する確率のないシナリオに対して綿密すぎるぞ制作者。もっと楽をしろ楽を。



「多分なぁ……あれ、記憶の欠片をとった時点で気取られるんだよな。リンクでも繋がってるのかな?」



とにかく、どうしようもない戦闘であるということを理解しつつあった私たちは、どうせなら先にボスを倒してから記憶を回収することにした。奇襲されるよりはしたほうが早いからね。



「お陰でなんとかまだやりくりできてるけど……後五つの記憶の欠片集めるまでこれ続けんのは、ちょっときつかなぁ……?」



ここまで、七個の記憶の欠片を集めてきた。けど、流石に疲労は無視できるこの種族でも、精神的な疲労は別だったようだ。まぁ仕方ない。体は便利でも中身は欠点ありまくりな人間だしね。



「ま、というわけでだメリーくん。次の欠片とったら一回休息入れようぜぃ。パフォーマンスもそろそろ落ちてくる頃だからね。急いで行わなければいけないけれど、焦ってやるのはダメなのさ、わかるかいメリーくん?」



わかったわかった子供扱いが嫌なのね?ちょっとこれは素の性格でもあるんだから勘弁してって。はいはいあとで一個お願い聞くから引っ掻かないで。



「……ぁ。メリーくん。静かに」



戯れつつも進んでいた歩みを止め、即座に近くの茂みに身を隠す。この辺りはさっきまでいた遺跡が森林地帯にあったのもあって、ちょっとジャングルっぽい。茂みに隠れて、全力で隠密行動を開始すれば……余程の格上でもなければ接敵は避けられる。



『-----』



スーーっと音もなく浮遊して目の前を光の塊が過ぎていく。やはり気づかれてはいない。念の為もう少し留まってはいるつもりだけど、念には念を入れるべきでしょう。だって相手は……。



「最上位天使だからね」



『ッ!ッッッ!!』



すみません。決め台詞吐きたかっただけなんです。痛い痛い!!ちょっ!?叫べないからっていい気になるなよっ!!っ、くっ、この私にかかれば小虎一匹程度……!あっ。



ポキリと小さな音がする。それは、ちょっと態勢を崩してしまった私が起こしたほんの小さな音であり……。



『『トワイライト』』



同時に、ここら一帯で最強の相手の気を引くには充分な音だった。



キィィィイイイィィン



金属同士が擦れ合うような、不快な音が耳をつんざく。だが、それは一瞬。直ぐに別の……もっと目に見える、それどころではない攻撃が現れる。



それは、黒い三角形だ。三次元のこの世界には不自然な、平面的な三角形。それがなんの前触れもなく、地面から一メートル程上に支えもなしに浮いているのでなければ、そこまで目を引くことはないかもしれない、そんなありふれた三角形。



けれど、まるで固定でもされたかのように微動だにしないその三角形は、まともでもなんでもないことを私は知っている。



三角形が回り出す。その動きはどんどん早くなっていき。まるで三角錐にも見えるかのような速度で三角形は回り続ける。そして--



パリィン



そんな、軽い音で、世界が割れた。



ドリルのようにもなった黒い三角形が、世界を割ったのだ。まるで、紙に穴でも開けるかのような気軽さで。



「……おっそろしいねぇ、相変わらず」



すでに隠れながらも全力で退避したあとの場所を遠くから見守る。私は、あのスキルを一度見ているし、あのあとどうなるのかも知っている。



割れた空間は、黒い三角形が数秒して消え去ると、直ぐに他の物体を吸い込み出すのだ。そうして一分もあれば元の空間に修復される。



吸い込まれた物体をこの世から消して。



あれを最初に見た時、避けれたのは単なる幸運だ。たまたま、近くをシャーメルっぽい天使がいて、どうせシャーメルだからと解析もせずにその場を離れて……そして場を離れたあとで偶然その天使の視界にリスが入ったことで、見れただけ。



あの天使は、見たところたった一人しかいない。少なくとも、この空間にはあれと同じ種族はいないだろう。



それほどまでに、あいつは規格外だった。便宜上、私は最上位天使と呼んでいるが、勿論それが実際そうなのかはわからない。まだこれより上の存在に合うかもしれないしね。



「……はぁ。最初に見た時。『解析』してたらどうなってたんだろうね?」



『……Quu』



心なし、いつも淡く光っているメリーくんの光が弱い。顔が青ざめていない代わりの感情表現なのだろうか?



「まぁ、仮定の話だよ。あの力を見たあとで、刺激するかもしれない行為なんてしないさ」



そう言って、立ち上がる。もう最上位天使とは充分な距離が離れていたが、念のためにまだ待っていたのだ。ふふ、いつまで経っても強者の立場には立てないなぁ……。



「……よし、今はセンチメンタルな気分になる場合じゃないっ!ほれ、早く行こう。パフォーマンスがそろそろ落ちかねない」



少し震えているメリーくんに発破をかけ、歩き出す。まだまだ最強が程遠いのは承知の上だ。この箱庭の最上位存在……ラスボスの、配下だったかな?そんな立ち位置の白虎すら倒せないんだ、そりゃあ強者の立場はまだ早い。



『……Mea』



「ん?あれ、案外目的地まで近かったんだね。良かったよかった。それじゃあ、さっさと終わらせようか」



ガサガサとジャングルを歩き、そのまま茂みを突っ切ろうとしたところでメリーくんに引き止められ……見れば茂みの奥は遺跡だった。こんな感じの遺跡さっきもあったぞ。ここら一帯はみんなこんな形の遺跡に記憶の欠片はあるのか?



「……考え事はあとだね。さっきと同じなら……見つけた」



このジャングルの遺跡には、ボス個体は大体頂上にいる。砦みたいな構造を遺跡がしているので、その上が一番見晴らしがいいのかもしれないね。まぁ、見えやすいってことは見られやすいってことでもあるけど。



「……左腕はいらない。これで『傷の祝福』起動、『妖刀:命秤』は……四割のHPブッパでいいか。これで更にバフが上昇して……」



いつもは銃を使っている左腕を切り落として、バフが発動される。切り落とした腕は肉体変成でメリーくんの鎧とする。最初はメリーくん嫌がってたけど安全のためだし、効率このほうがいいし、もう諦めてもらった。死んだ目が哀愁を漂わせている。あとで埋め合わせするので許してください。



見たところ。ボス個体は幾つかのパターンがあって、大抵はその例に漏れずに典型的なやつが多い。三パターンくらいあるけど……今回は速型だね。正面突破だとやりづらいけど、奇襲なら……一番楽な相手だ。



「オーケー……『妖刀:急閃峰』起動、っと。『高速整理』あるからまだマシなんだよ、ねっ!」



最後に一気に上がった速度を持って、奇襲の準備は完成。失敗したら、部位の一つが落ちるけど、もし最悪首が落ちても私は死霊だからデメリットを踏み倒せる。そして、急上昇した速度についても『高速整理』で思考は追いついている。つまり……。



「君程度なら一発ってことだ。鎌鼬」



弾丸の如くかっ飛んだ私が、こちらに気づいて目を見開いた人型の鳥魔物に急接近。ほうほう、弓を構えるんだね?うんうん、防衛戦なら悪くない。いいチョイスだ。でも目で追いかけられてないなら意味ないよね?はい、首もーらい。



砦の上まで跳ね上がって振り向き様に一閃。弓を構えようとした姿勢のまま、ゴトリと首がおちた。トリだけにね!!



「……これは墓まで持っていこう」



こんなゴミすぎるギャグは近年稀だな。私のセンスも落ちたかな?そこ、元からとか言うな。首落とすぞ。



「おーい、もうきて大丈夫だよー!」



こちらを伺っていたメリーくんに呼びかけ、肉体変成で鎧を靴に……あ、要らないですか。はい。いや、壁登るのにいるかなぁって思ったんだけど、あ、うん、そうだよね。ごめんさい。



「別に善意なんだからいいじゃーん……怒んないでよ……」



『……Meaow』



ハァとため息を吐かれてしまった。どうやら怒ってはいないらしい。いつもいつも迷惑かけてすみません。肩でも揉みましょうか?あ、いらない?



「記憶の欠片はもう見えてるよ。ほら、そこ。一応警戒しながら行こうか」



指を刺す先は砦の階段の奥。本来、砦を真正面の門から入ったならば、砦内部の複雑な構造と、どこから飛んでくるかわからない矢の警戒で結構辛い場所なんだけど、そもそもボスが対応できない速度で頂上まで一気に上り詰めれば問題ないと言う欠陥があった。なーむー。



「ま、それもこんだけの速度がないと無理か。考えられてんなー」



適当な考えをしつつも歩みは途切れず、警戒も途切れず。無事に記憶の欠片が待つられている台座まで到達して無事欠片ゲット。



「よし、じゃあ今日はここ泊まろうか。結構いいと思わない?」



『……Q』



うーん。ちょっと嫌な感じ?いやでもほかにいい場所もないしなぁ……多少の不便はそりゃああるだろうけど、できれば我慢して欲しいかなぁって……え?いや違う?



『……ナンカ、嫌ナ感ジ』



メリーくんの、勘、かぁ……どうするべきだろう?メリーくんは最近元のポンコツぶり……いや元から別ポンコツじゃなかったか。ひどい目に遭ってるのはどちらかというと……いや、なんでもない。思考放棄思考放棄。



とにかく、最近色んな機能を使うようになってまさに同類だと思ってたやつが実はすごいやつだった時みたいな状況になってるメリーくんの勘というのはただの考えすぎと一笑に伏すことはできない。



「もしかしたら新しい機能の可能性もある……実際、機能っていうか普通に能力だけど、それって大体記憶の欠片を吸収した後に発言してるもんね。今の能力って何があるっけ?言語に、電撃に、記憶吸収と、それの再生と、サーチ能力……それなら軽度の未来予知みたいなことができてもおかしくはない、ね……」



そのまま少し考えたけど、ここは潔くメリーくんの判断に従うことにした。近くには最上位天使だっているしね。嫌な感じというのがなんなのかは全く説明がない。



まぁ、当然だね。詳しくわかっているならメリーくんはちゃんと教えてくれている。



「それなら……別の場所で休んだほうがいいってことでしょ?」



『Mea』



「そうだよなぁ……もうちょっと早かったら無理して別の記憶の欠片まで強行突破できたんだけど……仕方ない。時期が悪かったね。あぁいや。別に叱ってなんかないよ。むしろ新しく危険の可能性を示唆してくれただけありがたい」



ちょっと顔を歪めたメリーくんは別に悪くないのでフォローを入れておく。良心が痛むというのならばパフォーマンスを落とさずに自信を持って危険の少ない選択を見つけて欲しい。え?私相手に良心なんかいらない?嘘でしょ私はこんなにも尽くしてるのに!



「……具体的に何を、って考えた時何も出ないあたり、業が深いよね」



別に何もしてないわけじゃないですー。ていうか記憶を取り戻すの手伝ってるんだよ?そうじゃん、私超偉いじゃん。はい?自分の利益重視でやってんだろうが??……おまえ、あとでおぼえとけ。



「いえいえなんでもないよ。そんなエイリアンじゃないんだから、謎電波受信とかしないしそもそも私知らない人からの電話は無視するから……」



あ、どうでもいい話を挟むな?あっはい。じゃあとりあえず外でようか。



「……ここって夜とかないよね。不便じゃない?」



青の龍宮とかもずっと赤い空だったし、なんなの?特殊空間は体内時計狂わす決まりでもあんの?どういう決まりだよ、人を苦しませてワインを傾けてんのか?ん?冥王だっけ?ここに送り付けてたのあいつだし今もアイツこっちが苦しむ様見て喜んでんのかなぁ。



「まぁさっさと動こうか。休むためにここいるつもりだったんだしあんま遠くまでは行かなくていい?」



頷いたのをちゃんと確認した後で、どこら辺かを当たりをつける……前に、メリーくんに確認を取る。所詮私はサーチ能力に頼ってるだけのチキンです。別に敵の存在はサーチできないし、それは今使ってないんだけどね。



「まぁここ森だし、木の上とかいる?」



あれぇ?ダメなの?じゃあどこ行くのさー。案がもうないですー。



『……M゛』



「……え?ここ?」



そんなふうに愚痴ばっか言ってたらキレてるのか無言、いや鳴き声は一つあるか。とにかく顎で示された先には……なんか草むらがあった。え、嘘でしょ?



「……いやいやいや、セキュリティ低すぎでしょ。絶対木の上の方がいいって。なんでそんな嫌なの?猫なんだし高いところ好きなんじゃないの?あっはい、虎ですね。うん。とにかくなんで?勘?」



うーん……なんでだ?でもなー、ここまできたのもそもそも全部メリーくんの勘が全部だからね。ここまできたら、もう全部いいなりになるのも一興かとも思うんだけど……。



『!??!!』



突然、毛皮(発光)が逆立ち、メリーくんがとんでもない眼力で私の不満を完全に封殺。半ば押し込むように私を草むらに入れると、自分も飛び込んだ。



直後に上から今まで全く反応のなかった『気配感知』がけたたましく警鐘を鳴らし始める。ふわりと視界に光が差し……かと思えば、そこには先ほど遠目に見たばかりの最上位天使が。



「……………_(:3 」∠)_」



仕方ないので横になって同じ高さの目線からじっとガタガタ震えてるメリーくんを私だったら絶対キレてる態勢で見つめる。自分で言うのもなんだけどこの姿勢ありえないほどに腹が立つ。顔か?顔がまずいのか?



「っ」



その瞬間、きっと私が声を上げなかったのはただの偶然だろう。たまたま息を大きく吸い込んで、変顔を実行しようとした瞬間だったから耐えられただけだ。こんな悍ましいオーラ、次受けたら絶対何かしらの行動は反射で起こしていた。



『ーーーーes?』



何事かを天使が呟いた。スキルの発動宣言でもないだろう明確な言葉。なんだ?この空間は一体なんなんだ?こんな天使なんていう皮だけの聖なる存在の詐称魔物を収容して何をするつもりなの?



「……………」



何分経ったかは知らないけどいつのまにか最上位天使は消えていた。条件はわからないが、死にかけた時には決まって動いている心臓が今回も動いていた。それだけ異質だってことだ。



「……本当に、ただの記憶補完の、償いのためだけのシナリオか?これは」



最初に見た時となんら代わり映えのしない白と霧の空間。やけにおどろおどろしくみえるのは……きっと偶然じゃないだろう。

Q:冥王(レヴィティ)ってどんな顔で見てる?



A:増えすぎた仕事の元凶にキレながらポカ⚪︎飲んでる。

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