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ログイン・ヒーロー⑥


 翌日の朝……



 姫導ヒロは勇心トモキと守上ダイキの2人と共に学校に向かっていた。

 学校に向かう中、昨日起きた不可解な事について振り返りながら次に備えようと勇心トモキがそのための案を出そうとしていた。


「昨日のあの場所が姫乃さんたちの聞いた話の通りの場所ならあそこはワンダーワールドって名前になる。で、そのワンダーワールドってとこに次飛ばされた時に備えて用意しておかなきゃならないものをまとめとこうぜ」


「うむ、備えあれば憂いなしだ!!」

「でも、備えるって何を?」


「まずは護身用の武器!!戦おうにも武器が無いとダメだろ?とりあえず……スタンガンとか拳銃とかでいいと思う!!」

「スタンガンも拳銃もオレたちの小遣いで買えるものなのか……?」


「ダイキ、そこじゃないよ。トモキ、スタンガンは頑張れば手に入るかもだけど拳銃は無理だ。その……銃刀法違反で捕まるぞ」

「あのな、ヒロ。使うのはワンダーワールドだけ、こっちで使わなきゃいいんだよ」


「持ってるだけでもダメなんだぞ?」

「マジ!?」


 次に備えると話を持ち出し何を備えるのかを尋ねられた勇心トモキは戦うために武器が必要だとしてスタンガンと拳銃を挙げる。


 が、守上ダイキは金銭面を心配し、姫導ヒロはスタンガンはともかくとして拳銃は銃刀法違反があるため無理だと指摘してしまう。指摘された勇心トモキは不可解なあの場所……姫乃ユリナの話でワンダーワールドという名前の出たあの場所で使うだけと弁明するも使用用途を問わず所持してるだけでダメだと姫導ヒロが伝えると勇心トモキは予想外だと言わんばかりの驚きを2人に見せてしまう。


「えぇ……マジかよ……」

「お、落ち着くんだトモキ!!他の案は無いのか!?」


「そうだよトモキ。他の案……」

「……ごめん、先頭切って話し始めたけど、今ので全部」


「えぇ!?そうなると考え直さないと、だな……」


 勇心トモキを励まそうと守上ダイキは他の案は無いのかと話題を変えようとし、守上ダイキの狙いを察した姫導ヒロも上手く話題を変えようと合わせに行く。が、どうやら大きく出た割に武器を事前に用意する案しか持ち合わせていなかったらしく手持ちが尽きた事を恥ずかしそうに明かしてしまう。


 いくつも用意してるかのような話し始めだった事もあって期待していただろう姫導ヒロは思わず声を出して驚いてしまい、どうしたものかと振り出しに戻された状況で案を絞り出さなければと彼は考え込もうとした。


 その時、彼の後ろから誰かが声を掛ける。


「おはよっ、姫導くん!!」

「おはようございます、姫導さん」


 声を掛けられた姫導ヒロが振り向くとこちらに向かってくる姫乃ユリナと愛姫エレナの姿が視界に入り、2人がこちらへ来ると姫導ヒロは丁寧に挨拶を返した。


「おはようございます姫乃さん、愛姫さん」


「うん、おはよっ。あっ、勇心くんと守上くんもおはよっ」


「今の今までオレら見えてなかったパターン!?」

「オレらは蚊帳の外という事か……」


「あっ、違うの!!その、たまたま姫導くんの姿が見えたからってだけで……」

「もはや空気!?」


「朝から何騒いでんだよ……」


 姫乃ユリナの言葉にいちいち大袈裟なリアクションを取る勇心トモキの騒がしさに呆れた反応と冷たい視線を向けながら菱倉マナトが歩いてやって来るなり彼に冷たく接し、菱倉マナトの対応が気に食わないのか犬が唸りながら威嚇するかのような顔で勇心トモキが睨む中でそれを無視する菱倉マナトは姫導ヒロから状況を聞き出そうとした。



「ヒロ、説明してくんない?」

「あっ、単にトモキが騒いでいただけだよ」


「ヒロ!?酷くない!?」

「トモキは良かれと思って武器の事前準備を提案してくれていたんだぞ」


「武器ぃ?その武器は誰が使うんだ?」

「誰が使うかは話してないがスタンガンや拳銃を用意するという話をしていたんだが、金銭面的に厳しいのでは無いかとオレは意見を述べたんだ。あと、ヒロが銃刀法違反について指摘していたぞ」


「あっ、ダイキ!!余計な事……

「余計な事って理解してて提案してたのか、トモキ……?」


「ひいぃっ!?ヒロ、マナトが……」

「トモキ、そのスタンガンは誰が使うつもりで提案した?」


「えっと……」

「まさか、ヒロかダイキに使わせるつもりだったとか言わないよな……?」

「ひいぃっ!?」


 何を話していたのか、それを問う菱倉マナトに守上ダイキが嘘偽りなく全て正直に話した事で勇心トモキは彼の詰問を受ける羽目になり、詰問される勇心トモキが必要以上に怯えようと菱倉マナトはお構い無しに鋭い眼光で詰め寄ろうとする。


「で、でもマナト!!トモキだってあのワンダーワールドって所に飛ばされた時に備えようって事で考えてくれてたんだ!!皆で戦おうって言ったオレの役に立とうとしてくれたんだから許してあげてくれない、かな?」

「トモキが?ヒロのために?」


「そっ、そうなんだ。オレだけが戦わなくてもいいようにって……普段気分屋のトモキが頑張ってくれたんだ」

「……まぁ、ヒロがそこまで言うなら信じるよ。その代わり、考えるならまともな事考えろよトモキ……!!」


 流石に可哀想に思えてきたのか姫導ヒロは間に入って仲裁しようとし、姫導ヒロが仲裁に入ると菱倉マナトは彼の優しさに少し呆れながらも勇心トモキへの感情を抑え話を終わらせようとする……のだが、それはそれとして何か案を出すために考えるなら真面目に考えるようにと彼は勇心トモキに語気強めに念押ししてしまう。


 語気強めの念押しをされた勇心トモキはこれでもかという勢いで何度も頷き、勇心トモキが理解したかどうかはさておいて菱倉マナトは姫乃ユリナを見るなり何やら話したい事があったのかそれを話題として彼女に尋ねた。


「姫乃さん、教えて欲しいんだけど昨日のあの場所……ワンダーワールドって場所でスマホって触った?」

「スマホ……は使おうとしたよ?誰かに助けて欲しいって思って……」

「その時、スマホは使えた?」


「ううん、使えなかった。あの場所に居る時は電源が入らなかった感じだったの」


「え?壊れたって事?」

「ううん、そうじゃないの勇心くん。姫導くんが助けてくれてワンダーワールドからこっちに戻ってきた後にファミレス行く時、お母さんに帰りが遅くなるってメッセージアプリで連絡しようとしたの。その時は普通に電源が入ってたんだけど……」


「それって……ワンダーワールドの中だとスマホの電源落ちるって事!?」

「だが、落ちたはずの電源がこちらに戻って勝手に電源が入るのはおかしくないか?」


「……マナト、どうしてこの話を?」


 姫乃ユリナにスマートフォンの使用の有無、加えて使用が可能だったかどうかの確認の質問をした菱倉マナト。


 何故彼がそのような質問を姫乃ユリナにしたのか?ワンダーワールドという不可解な場所に関する情報の1つを的確に解明するような質問をした彼の考えが気になった姫導ヒロが経緯について問うと菱倉マナトはその事を問われると理解していたのか姫導ヒロたちにその意図を明かし始めた。


「昨日の帰り、不思議に思ったんだ。姫乃さんたちはあの怪物から逃げようと無我夢中になって走ってたのは見て分かったけど、どうして誰かに助けを求めたり警察を呼んだりして安全な場所に隠れようとしなかったのかって」

「あの場所に安全な場所ってあんの?」

「そういうのは今いいからトモキ」


「うっ……」

「話戻すけど2人が状況的に助けを呼ぶ余裕が無かったのか助けを呼ぼうとしても頼れる相手がいなかったのか、それとも助けを呼べて待つ間に逃げてたのかってのを色々考えてみたんだけどある可能性に気づいた時に今挙げたの全部否定出来る答えに辿り着いたんだ」


「ある可能性……それが今さっき確認したスマホを使えたのかどうかって話に繋がるのか?」

「うん、その通りだよヒロ。で、姫乃さんに確認してあのワンダーワールドって場所じゃスマホが使えなくなるってのが分かった」 


「じゃあ、もしかして……」

「ヒロの事だから最悪な想像したんだろうけど、そういう事だ。ヒロみたいな戦う力が無い人間は……そういう人間と行動してなかったら間違いなくあの怪物に殺される」


 スマートフォンについての事実が判定した、これをもとに姫導ヒロは最悪の想像をしてしまい、菱倉マナトも同じ事を考えたらしくそれについて勇心トモキや姫乃ユリナたちにも伝えるように明かしてしまう。


 彼の明かした最悪の想像……その想像は勇心トモキたちに明確な困惑と不安、恐怖を抱かせるものだった。


 彼らはこの最悪の想像とそれから成る不安と恐怖にどう抗うのか……

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