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ログイン・ヒーロー④

1つの戦いが終わり、少年たちは何処かに消えた



不可解なこの場所には先程までいた彼らの姿は無かった。が、入れ違うように別の人影がその近くにあった……


「目覚めるべくして目覚めた……というならこの世界の運命に抗うのは不可能なのかもしれない」


「……そうだな。これが定められた不変の運命なら、彼の運命に賭けるべきなのかもな」


「ただ、彼の運命に賭けるにしても足りない」


「まだ今の彼には……」




 不可解な世界と怪物、そして突然装いを変えて怪物を撃破するという驚愕の力を見せた姫導ヒロ……



 あの瞬間に目にしたもの、起きた事の全てを夢だったと思い込みたい気持ちはあれど、あの瞬間に感じたものの全てが現実だと全員が理解していた。


 だからこそ、情報共有が必要だと思った。

 お互いに知る事を持ち寄り理解を深めなければと姫導ヒロたちは考えた……





 ……のだが、勇心トモキが勝手に舵を取る流れで何故かファミレスに入店し、少女2人を2人席に座らせ姫導ヒロたち4人がその隣の4人席に座る形で全員が席につき、ドリンクバーでそれぞれ飲み物を用意し終えると勇心トモキが音頭をとり始める。



「という事で、まずは自己紹介からだね。オレは勇心トモキ、よろしく」


「え、えっと……」

「は、はい……」


「あれ……何か間違えてたかヒロ?」


「いや、まぁ……

「全部だよ全部。いきなり何してんだよトモキ」


 勇心トモキの自己紹介に戸惑いの反応を見せる2人の少女。

 2人の少女のこの反応が考えていた展開と違ったのか勇心トモキは姫導ヒロに尋ね、尋ねられた姫導ヒロが伝えるべきかどうか迷っていると何の迷いも遠慮も無しに菱倉マナトはハッキリと答えてしまう。


 菱倉マナトの遠慮の無い言葉に勇心トモキの表情は険しくなり、ハッキリと答えた菱倉マナトが面倒そうに舌打ちをすると彼に対して不満を隠せない勇心トモキは睨むような眼差しを向けてしまう。


 二人の間に不穏な空気が生まれようとしている、それを感じ取った姫導ヒロは咳払いをすると2人の少女に対して自分の自己紹介に加えて菱倉マナト、守上ダイキの紹介、そしてあの不可解な世界にいた経緯を話そうとした。


「あの、オレの名前は姫導ヒロ、です。今トモキが睨んでるのが菱倉マナトで……こっちは守上ダイキって言うんだ。その、オレたちは気がついたらあの変な場所にいた……て事くらいしか情報として出せないんだ。何も無くてごめん」


「あっ、そんな……謝らないでください。アナタは私たちを助けてくれたんだから何も無いとか言わないでください」

「そう言われると嬉しいよ。あっ、えっと……」


「あっ、私は姫乃ユリナ。こっちの子は愛姫エレナって言うの」

「愛姫エレナです。よろしくお願いしますね」


 情報として伝えられるものを持ち合わせてないとして謝罪する姫導ヒロに優しい言葉をかけた長い黒髪の少女は自身の名を姫乃ユリナと名乗り、一緒に行動していた長い金髪の少女・愛姫エレナの事も彼女が軽く紹介した後に当人が挨拶を済ませる。


 一通りの挨拶が済んだ、このタイミングで菱倉マナトは先程音頭をとっていた勇心トモキでは話が進むはずが無いと判断したらしく単刀直入に姫乃ユリナと愛姫エレナにあな不可解な世界で怪物に追いかけられる流れに至るまでの経緯を聞き出そうとした。


「話しにくいとは思うけど、何であの場所で怪物に追いかけられてたのか話してもらえないか?」


「あっ、はい……えっと、私たちは2人で帰ってる途中にあの変な所に迷い込んじゃったんです。いつもは仲の良い他の子と一緒に帰るんだけどその人たちは今日は別の人と帰るって事で2人で帰ってたんですけど……帰ってる途中に鐘の音が聞こえて来たんです」



「それ、オレたちと同じじゃん!!」

「少し大人しくしてろトモキ」



 菱倉マナトの質問によって姫乃ユリナと愛姫エレナの両者が自分ヒロたち同様に鐘の音を聞いてあの不可解な場所に迷い込んだと知った事で同じだとテンションが上がってしまう勇心トモキ。彼に対して落ち着くように少し冷たい言い方で伝える菱倉マナトに代わって今度は姫導ヒロが質問をする。


「あの……姫乃さん、愛姫さん。その鐘の音の事、何か知ってるかな?オレたちはトモキが都市伝説的な話として聞かせてくれたんだけど……」


「あっ、それで言うと私たちは仲の良い子から聞いたんです。鐘の音を聞いて行方不明になった人がいるって噂を聞いたって教えてくれたんです」


「噂話……トモキが聞いたのもそれの事、だよな?」

「え、うん……多分。ヒロ、オレは誇張したとかじゃないからな?」


「分かってるよトモキ。トモキがそんな事するはずないって知ってるから」

「ヒロ……!!」


「あっ……ごめん、2人とも。話が脱線して」

「あぁ!!そこは冷たいのなヒロ!?」


 噂話として聞いたことを姫乃ユリナが明かすと似た内容の話を都市伝説のように話していた勇心トモキは誇張した訳じゃないと姫導ヒロに弁解しようとするが、彼にそんなつもりは無いと理解している姫導ヒロは優しく言葉を返すと彼の事を野放しにして姫乃ユリナとの話に戻ろうとした。


「その話を聞かせてくれた人……えっと、それを話してくれた仲の良いに人って他に何か言ってましたか?」


「えっと……」

「一緒にいたその子とは別の仲の良い子が御伽噺とか変な夢を見ただけとか言ってその子の事を少し悪く言ってましたけど、それは関係無いです、よね……?」


「う、うん。それについてはこっちもトモキが話した時にマナトが一蹴したらしいから似たような反応した人がいたくらいの解釈になる、かな?」

「ヒロ!?オレのフォローしてくれねぇの!?」


「ご、ごめんトモキ。今は許して……

「あっ、思い出しました!!」


「え?」

「あっ……ごめんなさい、話止めて……」

「あっ、全然大丈夫です!!そういうつもり無いのは分かってるから大丈夫!!それより、何を思い出したんですか?」


 姫導ヒロの言葉が完全に言い終わる前に何かを思い出した姫乃ユリナは話を遮り、話を遮ってしまったという事に気づいた彼女は申し訳無さを感じたらしく謝ろうとするが姫導ヒロは大丈夫だと優しく伝える。


 彼女の感じた申し訳無さはともかくとして姫乃ユリナに悪気が無いのは分かっているとして姫導ヒロは改めて大丈夫だと伝えると彼女に何を思い出したのかを尋ねた。


 尋ねられた姫乃ユリナは彼の優しい言葉に救われた表情に明るさを取り戻し、彼女は姫導ヒロに自身の思い出した事を話し始めた。


「その子……噂話の事を話してくれた仲の良い子が言ってたんです。鐘の音を聞いた人が飛ばされる場所には別の方法でそこに飛ばされた人もいる、色んな方法で飛ばされたその場所の事をワンダーワールドって呼ぶらしいって」


「ワンダーワールド……」

「私もそれ聞きました!!その世界には危険な生命体がいるとか……それを聞いてたのもあって、ユリナとあの場所に迷い込んだ時に混乱しちゃって……」


「その時にあの怪物が出てきて逃げてた……て事だね?」


「は、はい!!」

「そうなんです!!」


「そう、なんだ……」


 姫乃ユリナが思い出した話、そこに出てきた《ワンダーワールド》という言葉に姫導ヒロが何かを感じていると愛姫エレナも聞いた話の内容をさらに思い出して話し、2人があの場所で怪物から逃げていた理由等を聞かされた姫導ヒロは話の全てが繋がったと感じる一方で疑問を感じていた。


「……マナト、オレたちがあの場所に飛ばされたというか迷い込んだ時って怪物っていなかったよな?」

「いや、いただろ?ヒロがそいつを……」


「違うんだマナト。オレが言いたいのはオレたち4人があの場所に飛ばさ……迷い込んだ時にオレたちを狙うような怪物はいなかったかって事だ」


「そういえば……いなかったな」

「ヒロ、それがどうかしたのか?」


「いや……確証は無いけど、気になるんだ。どうして姫乃さんと愛姫さんの前にだけ怪物が現れたのかなって」

「もしかしてだが、2人のようなか弱い女性を狙う不敬物の仕業かもしれないんじゃないか!?」


「だとしたら……オレたちは何であそこに……?」


 情報共有、その目的は狙い通りに果たされたと言ってもいい。が、その結果としてもたらされたものは未知のものに対する情報だけでは無かった。


 情報共有を経ての不安の解消や可能性の考察では無く、彼らの心を曇らせるかのような思考の片隅に住み着くかのような小さな違和感……この疑問が姫導ヒロに解決しない疑問を突きつける。


 何が起きたのか、何に巻き込まれたのか……


 そして……


 彼らは……

 

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