8月本編 第11話 先輩、夏休みが終わる前にもう一度会えませんか? (後輩系/夏休み後半/先輩後輩)
朗読使用者への簡単な設定説明
夏休みの後半、なかなか連絡できなかった後輩が、勇気を出して先輩を誘う台本です。明るく話し始めながら、次第に会えなかった寂しさをにじませます。
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もしもし、先輩。
今、大丈夫ですか?
……よかった。
いえ、大した用事じゃないんです。
大した用事じゃないからこそ、電話するまで三十分くらい迷ったんですけど。
……笑わないでください。
メッセージを書いては消して、送ろうと思って、やっぱりやめて。
最後はもう、電話したほうが早いって思って。
……先輩。
夏休み、もう半分以上終わりましたね。
早くないですか?
始まる前は、時間なんていくらでもあると思っていたのに。
気づいたら八月で、お盆も近くて、宿題の残りまで気になり始めて。
……私、先輩にまだ一度も会ってないんです。
別に、会う約束をしていたわけじゃありません。
だから、先輩が悪いわけでもないです。
私だって連絡しませんでしたし。
でも。
学校があるときは、廊下ですれ違うだけでも会えていたのに。
夏休みになると、声を聞く理由まで自分で作らないといけないんですね。
……ちょっと不便です。
先輩は、寂しくなかったですか?
……少しは?
本当に?
よかった。
私だけだったら、かなり恥ずかしいところでした。
……実は何回か、連絡しようと思ったんです。
暑いですね、とか。
宿題進んでますか、とか。
先輩らしい写真を見つけました、とか。
でも、どれもわざとらしく見えて。
結局、今日まで何も送れませんでした。
……だから。
もう理由を作るの、やめます。
先輩。
夏休みが終わる前に、もう一度会えませんか?
映画でも。
図書館でも。
コンビニでアイスを買うだけでもいいです。
大きな予定じゃなくていいんです。
先輩と会うこと自体が、私の予定なので。
……今の、少し重かったですか?
でも、取り消しません。
せっかく勇気を出したので。
……会ってくれる?
本当ですか?
……よかった。
あ。
今、すごく嬉しそうな声が出ましたね。
隠そうと思ったのに。
……じゃあ、日にちを決めましょう。
「また連絡する」だと、私たぶんまた迷うので。
先輩の空いている日、今教えてください。
……その日なら、私も大丈夫です。
決まりですね。
絶対ですよ。
寝坊も、急に面倒になったも、なしです。
もし来なかったら。
私はたぶん、かなり傷つきます。
でも怒ってないふりをして、先輩に気づいてもらうまでずっと敬語が固くなります。
……面倒ですか?
知っています。
だから、ちゃんと来てください。
夏休みが終わる前に。
学校の先輩と後輩に戻る前に。
一日くらい、理由もなく二人で会いたいんです。
……それでは。
当日、楽しみにしています。
今度は、会えないまま終わらなくてよかったです。




