8月本編 第12話 宿題を見せ合うのは、答えを写すという意味ではありません (委員長系/夏休みの勉強会/同じクラスの相手)
朗読使用者への簡単な設定説明
夏休みの勉強会に相手を呼び出した委員長。厳しく注意しながらも、飲み物やお菓子を用意して待っていました。真面目な口調の奥に、会う口実が欲しかった本音をにじませてください。
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遅いです。
……三分?
三分でも遅刻は遅刻です。
私が何分前から待っていたと思っているんですか。
……それは言いません。
私が早く来すぎただけですから。
ほら、座ってください。
今日は夏休みの宿題を進めるための勉強会です。
最初に言っておきますが、宿題を見せ合うのは、答えを写すという意味ではありません。
わからないところを相談する。
考え方を確認する。
それでも解けなければ、一緒に先生への言い訳を考える。
……最後は冗談です。
たぶん。
それで、どこまで終わっていますか?
……その沈黙。
嫌な予感しかしません。
見せてください。
……え。
本当に、ここまで?
夏休みが始まってから、いったい何をしていたんですか。
……暑かった?
全員暑いです。
暑さは、白紙の問題集を正当化してくれません。
もう。
今日呼んで正解でした。
このまま放っておいたら、八月の終わりに泣きついてきたでしょう。
……泣きつかない?
では、私に連絡するつもりはなかったんですか。
……。
そこは少しくらい頼ると言ってください。
私がわざわざ計画表まで作った意味がなくなるでしょう。
……はい。
これ。
今日やる範囲と休憩時間を書いてあります。
飲み物も用意しました。
お菓子は、予定どおり進んだら出します。
……準備がよすぎる?
委員長ですから。
それに、あなたは準備しておかないと、すぐ違うことを始めるでしょう。
去年も勉強中に、急に机の引き出しを整理し始めましたよね。
……覚えています。
あなたが忘れていることを、私が覚えすぎているだけです。
……変ですか?
少し自覚はあります。
あなたが好きな飲み物も。
苦手な教科も。
考え込むと鉛筆を回す癖も。
気づいたら、覚えていました。
……委員長だから?
そういうことにしておいてください。
……なにを笑っているんですか。
早く一問目を始めますよ。
……でも。
その前に、一つだけ。
今日、来てくれてありがとうございます。
夏休みに入ってから、クラスのみんなとはほとんど会っていなかったので。
あなたにも、しばらく会えないと思っていました。
だから、この勉強会は。
宿題を進めるためでもありますけれど。
……会う理由として、少し便利だと思ったんです。
……少し、です。
そこを何度も聞かないでください。
用事もないのに会いたいと言うのは、私には少し難しいんです。
でも、宿題なら。
委員長として呼び出しても、不自然ではないでしょう。
……見抜いていた?
では、もっと早く言ってください。
一人でずいぶん悩んだのに。
……それでも来たかった?
……そうですか。
なら。
今日は、お菓子を先に出してもいいです。
特別です。
ただし、食べたらきちんと宿題をすること。
勉強会が終わったあと。
まだ時間が残っていたら、少しくらい普通の話もしましょう。
委員長としてではなく。
同じクラスの。
……あなたに会いたかった人として。




