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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
8月に合わせた台本集

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51/61

8月本編 第8話 スイカの種、そっちまで飛んじゃった (天然系/縁側でスイカ/仲のいい同級生)

朗読使用者への簡単な設定説明


この台本は、女性VTuberが「明るく素直で、少しだけ抜けたところのある天然系の同級生」として読むシチュエーションボイスです。


舞台は八月の午後。相手の家、または田舎の親戚宅の縁側で、二人はよく冷えたスイカを食べています。彼女は種飛ばしを始めますが、狙いを大きく外し、相手の服に種を飛ばしてしまいます。


前半はゆるく明るい夏の日常を中心にし、中盤から「何もしないまま一緒にいられる時間」への愛着をにじませてください。風鈴、蝉の声、冷えたスイカ、指先についた果汁、夕立前の湿った風など、五感を丁寧に表現すると魅力が増します。


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……冷たっ。


ちょっと待って。


このスイカ、思ってたより冷えてる。


持っただけで指が痛くなるくらい。


……大げさ?


本当だって。


触ってみて。


ほら、ここ。


皮のところ。


……ね?


冷たいでしょう。


冷蔵庫の奥にずっと入ってたのかな。


おばさん、朝から冷やしてくれてたんだって。


私たちが食べるかもしれないからって。


……私たちが、だよ。


なんかいいね。


食べるって決めてなかったのに。

来るかどうかも、ちゃんと約束してなかったのに。

たぶん来るだろうって思われてて。


それで、ちゃんと二人分より多めに切ってある。


……多すぎる?


たしかに。


お皿に六切れある。


一人三切れ。


……無理かな。


でも、夏のスイカって、食べ始めると意外といけるよ。


水分みたいなものだし。


……それは言いすぎ?


うん。


お腹いっぱいにはなるね。


じゃあ、残ったらあとで食べよう。


夕方とか。


夕立が来て少し涼しくなったころに、また食べるのもよさそう。


……ほら。


早く座って。


縁側、日陰になってるから、ここなら少し涼しいよ。


……熱くない?


大丈夫?


畳のほうがいい?


……ここでいい?


じゃあ、隣。


……あ。


そんなに端に座ったら落ちるよ。


もうちょっとこっちに来たら?


……私が広く使いすぎ?


そんなことないよ。


ほら、ちゃんと二人分ある。


……ね。


これくらい。


……近い?


そうかな。


縁側って、もともとそんなに広くないし。


肩が少し触れるくらい、普通じゃない?


……普通だよ。


たぶん。


……あ。


今、蝉がすごい。


一匹だけ急に近くで鳴き始めた。


木のどこにいるんだろう。


……見つからないね。


蝉って、あんなに大きい声なのに、探すと意外と見えない。


絶対この辺にいるのに。


……あっ。


違う。


あれは葉っぱ。


……笑った?


だって、遠くから見たら似てたんだもん。


茶色かったし。


……もう。


いいから、スイカ食べよう。


溶けるものじゃないけど、ぬるくなったらもったいない。


はい。


どれにする?


大きいやつ?


……やっぱり。


最初からそれ取ると思った。


あんた、こういうとき遠慮しないよね。


……私に譲る?


今さら?


もう持ってるじゃん。


しかも、一口食べたあとで譲られても困る。


……気にしない?


私は少し気にする。


……少しだけ。


でも、自分のあるからいいよ。


私はこれ。


端のほうが皮が薄くて食べやすそう。


……いただきます。


……ん。


甘い。


すごく甘い。


真ん中のところ、当たりだね。


……そっちは?


おいしい?


……その顔なら、おいしいんだ。


言葉よりわかりやすい。


食べ物がおいしいとき、ちょっと目が細くなるよね。


……前から?


うん。


学校でパン食べてるときもそう。


好きなものだと、少しだけ顔がやわらかくなる。


……見てるのかって?


見てるというか、目に入るの。


近くにいるから。


……いや。


毎日ずっと見てるわけじゃないよ。


そんなことしたら、さすがに怖いでしょう。


でも、たまに。


あ。


今日これ好きなんだな、とか。

今ちょっと疲れてるな、とか。

ぼんやりしてるな、とか。


わかることがある。


……顔に出やすいから。


あんた。


……私も?


私は出てないよ。


……出てる?


どんなとき?


……好きなもの食べると、すぐ笑う?


それは普通じゃない?


おいしかったら笑うでしょ。


……あんたといるときも、よく笑う?


……。


それも。


普通じゃない?


楽しかったら笑うし。


あんた、変なこと言うから。


……変なこと言ってない?


言ってるよ。


さっきも、スイカは飲み物だとか。


……私が言った?


あ。


そうだった。


ごめん。


じゃあ、あんたは変なことを言うというより、私が変なこと言ったときちゃんと拾って笑う人。


……それ、褒めてる?


たぶん。


私、自分で変なこと言っても、誰にも反応されないとちょっと寂しいから。


あんたは笑ってくれるから、話しやすい。


……呆れてるだけ?


それでもいいよ。


無視されるより。


……ねえ。


種、どうしてる?


お皿の端に出してる?


……ちゃんとしてる。


私は。


……どうしよう。


口の中に三つくらいある。


……出せばいい?


それはそうなんだけど。


なんか、子どものころみたいに飛ばしたくならない?


……ならない?


本当に?


スイカの種を見たら、一回くらい遠くまで飛ばしたくなるでしょう。


……行儀が悪い?


縁側の外ならいいよ。


庭だし。


あとで芽が出るかもしれない。


……出ない?


種だけ飛ばしても育たないのかな。


でも、もし育ったら面白いね。


来年ここにスイカができて。


あのとき飛ばした種だって言えたら。


……無理かな。


でも、やってみようよ。


一回だけ。


どっちが遠くまで飛ばせるか。


……子どもみたい?


夏休みなんだから、少しくらいいいでしょ。


誰も見てないし。


……おばさんが見てたら?


そのときは、あんたが始めたって言う。


……私が言い出した?


そうだっけ。


暑さで記憶が曖昧になった。


……ふふ。


じゃあ。


線、決めよう。


この縁側の端から。


庭の石まで届いたら勝ち。


……遠い?


大丈夫。


たぶんいける。


……無理そうな顔してる。


ねえ、試しにやってみて。


あんたから。


……やり方?


普通に、ぷって。


……もうちょっと格好いい説明はないのか?


ないよ。


種飛ばしに格好よさを求めないで。


……ほら。


一個選んで。


大きいやつ。


……準備できた?


じゃあ、どうぞ。


……。


……あ。


全然飛んでない。


縁側のすぐ下。


……ふふっ。


ごめん。


でも、あんなに真剣な顔したのに。


結果が近すぎる。


……笑いすぎ?


だって。


今のはずるいよ。


……私もやれ?


いいよ。


見てて。


私は意外と上手いから。


子どものころ、よくやってたし。


……いくよ。


……。


……ぷっ。


……あっ。


……え。


ちょっと待って。


どこ行った?


庭じゃない。


……。


あ。


……そっち。


……ごめん。


動かないで。


スイカの種、そっちまで飛んじゃった。


……肩。


服についてる。


……笑わないでよ。


なんで真横に飛ぶの。


おかしい。


私は前を向いてたのに。


……下手?


違う。


風。


今、横から風が吹いたから。


……そんなに強い風じゃなかった?


細かいことはいいの。


ほら。


取るから。


動かないで。


……ん。


……取れない。


ちょっと布に張りついてる。


果汁もついてるからかな。


……もう少し近くに。


……そう。


……。


……取れた。


はい。


……ごめん。


服、少し濡れたかも。


ハンカチで拭く?


……大丈夫?


でも、赤くなったら嫌だよ。


貸して。


……ほら。


ちょっとだけ。


……ん。


……。


……なに。


そんなにじっと見ないで。


服を拭いてるだけでしょう。


……顔が近い?


だって、汚れてるところ見ないと拭けないし。


……あ。


今、笑ってる。


私が失敗したから楽しんでるでしょう。


……かわいかった?


……。


なにが。


種を飛ばして、人の服を汚したところが?


それをかわいいと思う感覚、少し変じゃない?


……慌ててたところ?


……もう。


そういうこと、急に言わないで。


拭きにくくなる。


……はい。


たぶん取れた。


跡も残ってない。


……よかった。


……でも。


近くで見ると、この服、少し柔らかそうだね。


……触っていい?


あ。


今触ってた。


ごめん。


拭いてたから、つい。


……嫌じゃない?


ならよかった。


……ねえ。


今の、誰かに見られてたら。


ちょっと誤解されそうだね。


縁側で二人で座って。

私があんたの肩を拭いて。

距離も近くて。


……なにを誤解されるのかって?


……それは。


その。


仲がいいんだな、とか。


……実際、仲いい?


うん。


そうだけど。


でも、たまに。


周りの人が思ってる「仲いい」と、私が思ってる「仲いい」が、少し違う気がする。


……どう違うか?


うまく言えない。


友達として仲がいい、で間違ってないのに。


それだけって言われると、少し足りない気がする。


でも。


じゃあ何なのって聞かれると、ちゃんとした名前はまだない。


……そういう感じ。


……わかる?


……少し?


そっか。


じゃあ、あんたも同じようなこと考えたことあるのかな。


……今は聞かない。


聞いたら、スイカの味がわからなくなりそうだから。


……ふふ。


もう一切れ食べよう。


まだ残ってる。


さっきの勝負は。


……私の負け?


そうだね。


距離だけ見たら、あんたの種より遠くまで飛んだ。


横方向だけど。


……つまり私の勝ち?


違う。


人に当てたら失格。


私の負け。


……罰ゲーム?


そんなルールなかったでしょう。


後から増やさないで。


……じゃあ、残りの大きいスイカを譲る?


それくらいならいいよ。


はい。


一番大きいやつ。


……嬉しそう。


本当に食べ物に正直。


……でも。


私も少しもらっていい?


端っこだけ。


……自分のあるだろ?


あるけど。


そっちのほうが甘そう。


……一口?


うん。


……え。


そのまま?


……いや。


別にいいけど。


……いいけど、少し待って。


今、どこから食べた?


……真ん中?


じゃあ、反対側から。


……気にしすぎ?


普通は気にするよ。


……友達なら平気?


友達でも気にする人は気にする。


私は。


……少し気にする。


でも。


嫌という意味じゃない。


だから、変な顔しないで。


……じゃあ。


一口。


……ん。


……甘い。


やっぱり、そっちのほうが甘い。


ずるい。


大きいだけじゃなくて、甘いところまで取った。


……譲ってくれた?


今は一口もらっただけ。


残りはあんたの。


……でも。


同じスイカを二人で食べるの、ちょっと変な感じ。


さっきまで普通に話してたのに。


一口もらっただけで、急に距離が近くなったみたいに感じる。


……気のせい?


そうだね。


気のせいかも。


縁側が狭いから。

暑いから。

夏だから。


八月って、なんでも夏のせいにできるね。


顔が赤いのも。

手がべたべたするのも。

少し落ち着かないのも。


全部、暑いから。


……あんたは赤くないね。


ずるい。


……私だけ?


……ちょっと赤い?


本当に?


……じゃあ。


同じだ。


……ふふ。


なにが同じなのか、よくわからないけど。


でも、少し安心した。


……あ。


風鈴。


鳴った。


さっきまで全然風なかったのに。


少し湿った風だね。


雨、来るかな。


空の向こう、ちょっと暗い。


夏の夕立って、急に来るよね。


まだ明るいのに、風だけ先に冷たくなって。


木の葉が裏返って。

蝉の声が少し止まって。


それから、大きい雨粒が一つ二つ落ちてくる。


……好き?


私は好き。


家の中にいるときだけ。


外で降られるのは嫌だけど。


縁側から眺める夕立は、少し特別。


暑かった庭が、一気に濡れて。

土の匂いがして。

屋根に雨が当たる音が大きくなって。


何も話さなくても、雨を見てるだけで時間が過ぎる。


……今日、降るかな。


降ったら。


もう少しここにいようよ。


帰れないから、じゃなくて。


雨が止むまで。


……雨が降らなかったら?


それは。


……スイカが残ってるから。


夕方のぶん。


それを食べるまでいて。


……さっき、残ったらあとで食べるって言ったでしょう。


言ったよね?


だから、それまでは帰れない。


……言い訳が雑?


いいの。


あんたが帰らなければ。


……。


今日さ。


本当は、何かするつもりだった?


……特にない?


私も。


最初は、スイカ食べたら帰ろうと思ってた。


でも。


こうして座ってたら。


何もない時間って、意外と終わってほしくないね。


遊びに行くわけでもなくて。

映画を見るわけでもなくて。

特別な話をするわけでもない。


ただ、スイカを食べて。


種を飛ばして失敗して。

蝉がうるさいって言って。

夕立が来るか空を見る。


……こういうの。


たぶん、あとから一番思い出す気がする。


海へ行った日とか。

花火を見た日とか。


そういう大きな思い出も残るけど。


夏の記憶って。


冷たいスイカの皮とか。

縁側の木が少し熱かったこととか。

あんたの服に種を飛ばしたこととか。


そういう、どうでもいいところのほうが、急に思い出したりする。


……だから。


今日のこと、覚えててね。


……種を飛ばされたこと?


それだけじゃなくて。


私と一緒にスイカ食べたこと。


……あと。


同じ一切れを食べたこと。


……それは別に覚えなくても。


いや。


……やっぱり少し覚えてて。


でも、誰にも言わないで。


種を飛ばしたことも。


……それは言っていい?


だめ。


全部秘密。


今日の縁側のことは、二人だけ。


……秘密にするほどのことじゃない?


そうかもしれないけど。


秘密って決めると、少し特別になるでしょう。


同じ出来事でも。


誰にも言わないって約束したら、二人だけのものになる。


……ずるい?


何が?


普通の日を勝手に特別にするのが?


いいじゃん。


何もない夏休みの午後くらい。


私たちが特別だったって決めても。


……ねえ。


もう一回、種飛ばしする?


……嫌?


今度は人のいない方向へやるから。


絶対。


……信用できない?


ひどい。


一回失敗しただけなのに。


……じゃあ。


二人とも、お皿に出す?


それが安全か。


でも、少しつまらないね。


……あ。


雨。


今、手に当たった。


一粒。


……そっちも?


来るね。


ほら。


庭の葉っぱに、跡がついてる。


……スイカ、家の中に入れる?


まだ大丈夫。


屋根あるし。


もう少し見てよう。


……ほら。


また一粒。


……あ。


急に増えた。


すごい。


地面の色が、点々と変わっていく。


……ねえ。


もう少し、こっちに寄って。


風が横から吹いて、雨入ってくる。


……そう。


肩、当たってるけど。


今日はもういい。


さっき私が種を飛ばしたから。


そのお詫び。


……意味わからない?


私も、あまりわからない。


でも。


今は、これくらい近いほうが暖かい。


雨の風、ちょっと冷たいから。


……夏なのにね。


さっきまで暑くて仕方なかったのに。


一度雨が降り始めると、急に誰かの体温が近く感じる。


……あんた、暖かい。


……私も?


そう。


じゃあ。


お互いさま。


……雨、強くなってきた。


蝉の声、聞こえなくなったね。


代わりに、屋根の音。


……いい音。


少し眠くなる。


……このまま、ぼんやりしててもいい?


話さなくても。


隣にいてくれれば。


……うん。


ありがとう。


スイカの種、そっちまで飛んじゃったけど。


……それで、少し近くなれたなら。


失敗も、そんなに悪くなかったかも。


……今のは忘れて。


……やっぱり。


今日の秘密に追加して。


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