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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
4月に合わせた台本集

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第5話 別に、心配してるわけじゃない (クール系先輩/新入生歓迎/新入生と先輩)

……あ。

ちょっと、そこの子。


……うん、君。

さっきから同じところ、三回くらい行ったり来たりしてるでしょ。

もしかして、迷った?


……やっぱり。

そんな気はしてた。

案内板、さっきからすごい真剣に見てたし。

でもこの校舎、最初はちょっとわかりにくいんだよね。

似たような廊下が多いから。


で、どこ行きたいの。

……ああ、一年の特別教室棟。

それなら逆。

こっちじゃなくて、渡り廊下の先。


……いや、そんなにしょんぼりしなくても。

初日なんて、迷うのが普通だし。

私も最初のころ、一回普通に資料室に入ったから。

教室だと思って。


……なに、その顔。

笑いたいなら笑っていいけど。


まあ、いいや。

たぶん説明だけだとまた迷うから、途中まで一緒に行く。

ほら、こっち。


……そんなに驚く?

別に、そこまで珍しいことじゃないでしょ。

後輩を案内するくらい。


……ああ、でも。

たしかに、私、あんまり愛想いいタイプじゃないって思われてるかも。

自覚はある。

自分から話しかけること、そんなに多くないし。


でも、迷ってる新入生を放っておくほど冷たくはないよ。

……たぶん。


ほら、階段気をつけて。

この校舎、段差が微妙に見えにくいところあるから。

春って日差し明るいでしょ。

変に反射して、足元わかりにくいんだよね。


……そう。

入学したばっかり?


……うん、見ればわかる。

制服まだちょっと着慣れてない感じするし。

緊張してる顔もしてる。


……あ、今ちょっと恥ずかしかった?

ごめん。

別にからかったわけじゃない。

ただ、新入生ってみんなそんな感じだから。

ちゃんと“始まったばかり”の顔してる。


今年も春なんだなって思う。

新しい子たちが増えて、廊下の空気が少し変わって。

校内がちょっとだけ落ち着かない感じになるの、毎年同じ。


でも、その感じ、嫌いじゃない。

学校がちゃんと動いてるんだなってわかるから。


……君は?

この学校、来る前どんなふうに想像してたの。


……へえ。

もっときらきらしてると思ってたんだ。

まあ、それはちょっとわかるかも。

入学前って、イベントとか青春っぽいことばっかり考えがちだし。


でも実際は、最初って結構地味だよ。

教室の場所覚えて、提出物出して、変なタイミングで立ったり座ったりして。

周りの様子見て、話しかけるタイミング探して。

そういう細かいことで、あっという間に一日終わる。


……うん。

だから、もし「思ってたよりうまくできないな」って感じても、気にしなくていい。

みんな最初はそんなものだし。

むしろ、初日から全部うまくやれる人のほうが珍しい。


……ん?

優しい?


……別に。

ただ、事実を言ってるだけ。


それに。

新入生って、変に“ちゃんとしなきゃ”って思いすぎるから。

少しだけでも、「そんなに構えなくていい」って言われたほうが楽でしょ。


……図星、って顔してる。

わかりやすいね。


でも、そういうの悪くないと思う。

真面目なんだよね。

ちゃんとやろうとしてるってことだから。


ただ、真面目すぎると疲れるよ。

春は特に。

まだ慣れてないのに頑張ろうとするから、家に帰った途端、何もしたくなくなる。

たぶん今日の夜あたり、すごく眠くなるんじゃない?


……あ、笑った。

うん、その顔のほうがさっきよりいい。


ほら、見えてきた。

あの渡り廊下の先が特別教室棟。

君の行きたい場所、その二階。


……いや。

ここまで来たなら、最後まで送る。

途中でまた変な方向行かれても困るし。


別に、心配してるわけじゃないけど。

……いや、半分くらいはしてるかも。


……なに。

そんなにじっと見ないで。


あんまり先輩をからかうものじゃないよ。

新入生のくせに。


……でもまあ、そのくらい余裕出てきたならよかった。

さっきは本当に、今にも「すみません、帰りたいです」って言いそうな顔してたし。


そんな顔してた?

してた。

かなりしてた。


まあ、わかるよ。

最初って、たった一つ迷っただけでも、すごく大きな失敗みたいに思えるんだよね。

でも、あとで振り返ったらたぶん笑えるくらいのことだから。

今はそう思えなくても、そのうちちゃんと慣れる。


この学校、ちょっと不親切なところもあるけど、悪い場所じゃないよ。

慣れてくると、好きな場所もできるし。

お気に入りの廊下とか、静かな階段とか、中庭の風が気持ちいい時間とか。

そういうの見つけると、学校って急に自分の場所っぽくなる。


……私?

私は図書室の窓際。

午後になると光がちょうどよくて、静かで。

考え事するにはちょうどいいから。


……え、教えてよかったのかって?

別に減るものじゃないし。

君がそこ行ったからって、私の場所じゃなくなるわけでもない。


ただし、騒がないこと。

あそこは静かなのがいいんだから。


……着いた。

ここ。

この先まっすぐ行って、右。

今度こそ本当に大丈夫そう?


……うん。

ならよかった。


……あ、そうだ。

一つだけ。


困ったら、ちゃんと人に聞きなよ。

迷ったまま何十分もうろうろするより、そのほうが早いから。

それに、意外とみんな教えてくれる。

君が思ってるより、この学校、冷たくないよ。


……まあ、たまに例外もいるけど。

少なくとも私は、見かけたらたぶんまた声かけるし。


……なに、その顔。

そんなに意外?


……ふうん。

じゃあ、意外だったってことにしておいていいよ。


その代わり。

次に会ったとき、少しは余裕ある顔してて。

せっかくなら、新入生の“初々しいだけの顔”じゃなくて、ちょっと慣れてきた顔も見たいし。


……うん。

その返事なら大丈夫そう。


じゃ、私はここで。

授業、遅れないように。


……ああ、待って。

最後に一応、言っておく。


入学おめでとう。

春の最初って、思ってるより疲れるけど、思ってるより悪くないよ。

ちゃんと、少しずつ自分の場所になるから。


だから、そんなに怖がらなくていい。


……それじゃ。

また迷ったら、今度はもう少し早めに助けを呼んで。


別に、心配してるわけじゃないけど。

……君、放っておくと本当に変なところまで行きそうだし。


ふふ。

じゃあね、後輩。

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