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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
8月に合わせた台本集

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48/61

8月本編 第5話海に入る前に、準備運動くらいしなさい (クール系先輩/海水浴/先輩と後輩)

朗読使用者への簡単な設定説明


この台本は、女性VTuberが「一見冷たく見えるものの、後輩のことをよく見ているクール系の先輩」として読むシチュエーションボイスです。


舞台は八月の海水浴場。海を前にして浮かれ、すぐ水へ走っていこうとする後輩を、先輩が準備運動や水分補給のために引き止めます。口調は淡々としていますが、日焼けや熱中症、足元の危険まで細かく気にするほど、実は相手を大切に思っています。


前半はそっけない小言を中心にし、後半では「自分の水着姿を見られていることへの戸惑い」と「無事に一緒に帰りたい」という本音を静かににじませてください。潮風、日差し、濡れた髪、砂浜の熱、冷たい海水など、夏の感覚を丁寧に扱います。


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……待って。


どこへ行くつもり?


……見ればわかる?


海に来ているんだから、海へ入る。

言いたいことはわかる。


でも、荷物を置いた途端に走り出す人を、そのまま行かせるほど私は無責任じゃない。


戻ってきて。


……聞こえなかったふりをしない。


君はそうやって、都合の悪い言葉だけ潮風に流されたことにしようとするね。


残念だけど、私はもう一度言える。


戻ってきなさい。


……そう。


素直でよろしい。


なに、その不満そうな顔。


せっかく海まで来たのに、どうして準備運動なんかしなきゃいけないのか、とでも思ってる?


その準備運動をしないまま急に冷たい水へ入って、足でもつったら、せっかくの海が救護室の天井を眺める一日になる。


それでもいいなら止めない。


……嫌?


なら、やる。


簡単なことでしょう。


首を回す。

肩を回す。

足首も。


……雑。


それは準備運動じゃなくて、面倒そうに体を揺らしているだけ。


ちゃんとやって。


……私も?


もちろんする。


君だけに言って、自分はしないなんて不公平でしょう。


それに、私だって海に入るんだから。


……なに。


今、どこを見てたの?


……別に?


そう。


ならいい。


でも、目をそらすならもう少し自然にしたほうがいい。

急に海のほうを向くから、かえってわかりやすい。


……。


水着が珍しい?


普段、制服しか見ていないから?


……正直だね。


もう少し上手にごまかすかと思った。


別に、見られたこと自体を怒っているわけじゃない。


水着を着て海に来た以上、誰にも見られたくないと言うほうが無理がある。


ただ。


君があまりにもわかりやすく固まるから、こっちまで意識する。


……なに、その顔。


私が意識するのは意外?


悪かったね。


私だって人間だから。


普段とは違う格好で、後輩にじっと見られたら、少しくらい落ち着かなくなる。


……少しくらい、だけど。


それ以上、勝手に意味を足さないで。


ほら。


腕を伸ばす。


……そう。


次、反対。


ちゃんと息をしながら。


君、さっきから海ばかり見ているけど、海は逃げないよ。


波が引いたり寄せたりはするけど、海そのものが帰ることはない。


五分くらい準備に使っても大丈夫。


……子どもじゃない?


わかってる。


でも、君は楽しみにしていることが目の前にあると、少し子どもみたいになる。


普段はもっと慎重なのに。


海とか、祭りとか。

そういう特別な場所へ来ると、急に周りが見えなくなる。


……悪いことではないよ。


楽しそうにしている君を見るのは、嫌いじゃない。


ただし、怪我をしない範囲で。


……あ。


今、嬉しそうにした?


「嫌いじゃない」と言っただけ。


好きだとは言ってない。


……その言い方はずるい?


そうかな。


君だって、私が心配しているのを知っていて、わざと危なっかしいことをするでしょう。


……してない?


では、今朝のことを思い出そうか。


駅で飲み物を買わずに行こうとした。


日焼け止めも、言われるまで塗らなかった。


帽子も鞄に入れたまま。


砂浜へ着いたら、荷物を置いてそのまま海へ走ろうとした。


これで危なっかしくないと思えるなら、認識を改めたほうがいい。


……はい。


飲み物。


もう一口。


……さっき飲んだ?


ここへ着くまでに汗をかいてる。


潮風があると涼しく感じるけど、日差しはかなり強い。

汗が乾くから、自分では気づきにくいだけ。


ほら。


額、少し汗ばんでる。


……動かないで。


……ん。


これでいい。


……なに。


タオルで拭いただけでしょう。


そんなに驚くようなことじゃない。


……近かった?


汗を拭くなら、これくらいは近づく。


遠くからタオルを投げても、君はたぶん自分で適当に拭くだけだから。


……先輩は世話を焼きすぎ?


そうかもしれない。


自覚はある。


でも。


見えてしまうんだよ。


君が水分を取っていないことも。

強い日差しを気にしていないことも。

履き物の中に砂が入って歩きにくそうにしていることも。


気づいたのに、何も言わずに放っておくほうが、私には難しい。


……君が後輩だから?


最初は、そうだった。


同じ部活の後輩で。

少し抜けていて。

先輩として見ておかないと、無茶をしそうだったから。


……最初は、ね。


……それ以上は聞かないで。


まだ準備運動の途中でしょう。


話をそらすな?


別に、そらしてない。


今は海に安全に入るための話をしている。


私の感情を分析する時間ではない。


……ふふ。


不満そう。


でも、そういう顔をされても言わない。


君は少し、急ぎすぎるから。


海へ入るのも。

相手の本音を知ろうとするのも。


もう少し待つことを覚えたほうがいい。


待っている間に、見えるものもある。


……たとえば?


そうだね。


今の海。


来たばかりのときは、青くてきれいということしか見えていなかったでしょう。


でも、少し立ち止まれば。


波が来るたびに砂の色が変わること。

沖のほうと岸の近くでは、水の色が違うこと。

白い波の先で、子どもが浮き輪を追いかけていること。

監視員が、ずっと同じ方向を見ていること。


そういうものも見える。


……それから。


私が、君のために飲み物を持ってきていたことも。


……気づいてた?


なら、もう少し早く礼を言ってもよかったんじゃない。


……今言う?


はい。


受け取りました。


どういたしまして。


……君のぶんだけじゃない。


私も飲む。


ほら。


同じもの。


……お揃い?


たまたま。


売店に同じ種類しかなかったから。


……本当に?


本当。


でも。


君がこれを好きなのは知っていたから、迷わず選んだ。


そのくらい。


……嬉しい?


そう。


なら、買った意味はあった。


……準備運動、そろそろ終わり。


次は足元。


砂浜は平らに見えても、貝殻や小石があるから気をつけて。


水際は急に足を取られることもある。


最初から深いところまで行かない。


波の強さを見て、少しずつ。


……私は誰?


海の先生ではない。


ただの先輩。


……保護者みたい?


それは少し不本意。


君と海へ来たのは、保護者として引率するためじゃないから。


……では、何として?


……。


君は本当に、そういうところだけ逃がさないね。


普通に。


君と一緒に海へ来たかったから。


それでいいでしょう。


……普通じゃない?


私にとっては、普通。


海へ行こうと誘われて。

誰と行くのか聞いて。

君がいると知って。


それなら行こうと思った。


それだけ。


……だから。


ここへ来るまで、少し楽しみにしてた。


前の日に荷物を確認して。

日焼け止めを買って。

水着も、どれにするか少し迷った。


……あ。


最後は忘れて。


……無理?


そう。


では、聞いたことにしてもいい。


ただし、からかわないこと。


……本当に。


君にどう見られるかを、少しは考えた。


制服以外の姿を見せるのは、思っていたより落ち着かなかった。


でも、海へ来たら来たで。

君は水着より先に波を見て走り出そうとするし。


ようやくこちらを見たと思ったら、固まって何も言わないし。


……似合ってる、くらい言えばよかったのに。


……。


今言う?


……そう。


ありがとう。


……遅い。


でも、聞けないよりはいい。


……顔、赤い?


日差しのせい。


さっきからずっと暑いから。


それ以外の理由はない。


……たぶん。


……もう。


笑わないで。


準備運動をやり直させるよ。


……それは嫌?


では、これ以上からかわない。


よろしい。


……ねえ。


海に入ったら、勝手に遠くへ行かないで。


泳げるから大丈夫だとか、そういう話じゃない。


人が多いし。

波もあるし。

一瞬見失うと、本当にどこにいるかわからなくなる。


……私のそばにいろ?


そこまでは言ってない。


ただ、見えるところにいて。


……できれば。


声をかけたら返事ができるくらいのところ。


……心配性?


うん。


認める。


今日くらいは、隠さない。


君と来た海で、君が怪我をしたり、具合を悪くしたりしたら嫌だから。


せっかくなら。


最後まで一緒に楽しんで。


帰りの電車で、疲れたねって話して。

写真を見返して。

また来たいねって言って。


ちゃんと二人とも無事に帰りたい。


……大げさ?


そうかも。


でも、私は今日という日を、そういうふうに終わらせたい。


……それに。


君が波に夢中になって、私のことを忘れるのも少し困る。


……なに。


意外そうな顔。


私だって、せっかく一緒に来た相手に放っておかれたら、面白くない。


君が楽しそうなのは嬉しい。


でも、たまにはこちらも見てほしい。


……水着を?


違う。


……それだけでは、ない。


私がいることを。


一緒に来ていることを。


君が海を見て笑ったとき、その笑った理由の中に、少しくらい私も入っていたらいいと思う。


……言わせておいて、その顔はずるいね。


そんなにまっすぐ見ないで。


さっきまで目をそらしていたくせに。


……今はちゃんと見る?


そう。


なら。


もう少しだけ見ていてもいい。


……でも、じっと見すぎたら怒る。


加減して。


私にも、自分の気持ちを整理する時間が必要だから。


……さて。


準備運動、終了。


水分も取った。

日焼け止めも塗った。

足元も確認した。


今度こそ海に入っていい。


……そんなに嬉しそうにする?


本当に子どもみたい。


……行こう。


ただし、走らない。


砂、熱いから気持ちはわかるけど。

転んだら余計痛い。


……手?


なぜ。


……波で離れないように?


岸の近くで離れるほど強い波は来ないと思うけど。


……。


まあ、いい。


最初だけ。


水に慣れるまで。


……はい。


握るなら、ちゃんと。


指先だけつかむと外れやすいから。


……そう。


……冷たい。


君の手じゃなくて。


海水。


……君の手も、少し冷たいけど。


緊張してる?


……してない?


私は少ししてる。


水が冷たいから。


……それだけ。


……ほら。


波、来るよ。


足元、気をつけて。


……っ。


冷たい。


思っていたより冷たいね。


……笑わない。


君だって、今変な声出したでしょう。


……もう一回来る。


今度は、ちゃんと踏ん張って。


……そう。


離さないで。


波が引くとき、砂も一緒に動くから。


足元が少し頼りなくなる。


……不思議だね。


自分は立っているつもりなのに、地面だけが逃げていく。


……でも。


手をつないでいれば、少しは安心する。


……。


今のは、海の話。


それ以上の意味は。


……少しくらい、あるかもしれない。


でも、今は聞かないで。


さっき言ったでしょう。


君は急ぎすぎる。


もう少し待ちなさい。


今日一日、ちゃんと私のそばにいて。


そうしたら。


帰り道に、少しくらい続きを話してもいい。


……だから。


海へ入る前に、準備運動くらいしなさい。


飲み物も飲んで。

無茶をしないで。

私の見えるところにいて。


これは全部。


君と最後まで一緒にいたいから言っている。


……わかった?


なら、よし。


行こう。


今度こそ。


でも、手は。


……もう少しだけ、このままでいい。


水に慣れるまで。


それから。


私が、この距離に慣れるまで。


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