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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
8月に合わせた台本集

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46/61

8月本編 第3話 夏休みって、昔はもっと長かったよね (幼馴染/夕方の駄菓子屋帰り/長年一緒の相手)

朗読使用者への簡単な設定説明


この台本は、女性VTuberが「昔から相手と夏休みを過ごしてきた幼馴染」として読むシチュエーションボイスです。


舞台は八月の夕方。二人は子どものころによく通った駄菓子屋から、アイスやラムネを持って帰る途中です。何気ない昔話から、彼女は「昔は夏休みがずっと続くと思っていたのに、今は終わりが近づくのが怖い」と本音をこぼします。


前半は遠慮のない幼馴染らしい軽口を中心にし、中盤から少しずつ寂しさを混ぜてください。「好き」とは言い切れないものの、相手と過ごす時間が減ることへの焦りが伝わる読み方が合います。蝉の声、溶けかけたアイス、夕暮れの道路、駄菓子屋の古い匂いを意識してください。


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……ちょっと待って。


歩くの速い。


……暑いから早く帰りたい?


それは私も同じだけど、そんなに急いだらアイス食べにくいでしょ。


ほら。


もうちょっとゆっくり歩いて。


……あ。


また垂れた。


だから言ったじゃん。

このアイス、買った瞬間から時間との戦いだって。


八月の夕方を甘く見たらだめなんだよ。

日が傾いても、まだ全然暑いんだから。


……はい。


ティッシュ。


一枚で足りる?


……二枚?


使いすぎ。


昔だったら、手で拭いてそのまま服で拭いてたくせに。


……してたよ。


覚えてないの?


小学生のころ、アイスが手に垂れて。

私がティッシュあげようとしたら、あんた、Tシャツの裾で普通に拭いたじゃん。


それで家に帰って、おばさんに怒られてた。


……違う?


違わない。


私、横にいたもん。


しかもそのあと、私のせいにしようとした。


「こいつが急いで食べろって言ったから」って。


……最低でしょ。


子どものころのあんた、今よりずっと責任転嫁が雑だった。


……今は少し上手くなった?


褒めてない。


全然褒めてないから。


……ふふ。


でも、懐かしいね。


あの駄菓子屋、まだ残ってると思わなかった。


看板、前より色あせてたけど。

引き戸も少し開けにくくなってたし。

中の扇風機も、昔からずっと同じ音してた。


がたがた、がたがたって。


あれ、本当に涼しいのかな。


音だけ聞くと、すごく頑張ってる感じするけど。

店の中、普通に暑かったよね。


……でも、匂いは同じだった。


少し甘くて。

紙と木と、古い冷蔵庫みたいな匂いが混ざってて。


あの店に入ると、一瞬だけ小学生に戻ったみたいになる。


……あんたも思った?


そっか。


よかった。


私だけだったら、ちょっと恥ずかしいから。


……昔、よく行ったよね。


夏休みになると、ほとんど毎日。


午前中はどっちかの家で宿題して。

……いや、宿題するふりして。


実際は、問題集を開いたまま漫画読んだり。

鉛筆で消しゴム飛ばしたり。

麦茶ばっかり飲んだり。


お昼食べたら、暑いから外に出ないって言ってたのに。

三時くらいになると急に暇になって。


それで、駄菓子屋行こうって。


……だいたい言い出すの、あんただったよね。


私?


私も言ってた?


……そうだっけ。


まあ、どっちでもいいけど。


毎日のように同じ道歩いて。

百円とか二百円とか握って。

何を買うか真剣に悩んで。


今思うと、すごいよね。


十円のお菓子を一つ増やすかどうかで、あんなに悩めたんだから。


……あんたは計算苦手だったし。


残り三十円なのに、四十円のお菓子持ってレジ行こうとしてた。


……一回だけ?


もっとあった。


店のおばちゃんが、「足りないよ」って笑ってた。


私が十円貸したこともある。


……返してもらってない気がする。


今返す?


十円だけ?


利子つけて。


十年以上たってるんだから。


……百円?


安い?


じゃあ、今日買ったラムネ一本でいいよ。


……え。


本当にくれるの?


……いや。


冗談だったんだけど。


でも、くれるならもらう。


……ふふ。


ありがと。


じゃあ、今からこのラムネは、十年前に貸した十円の返済ということで。


……ずいぶん得した?


私が?


そうかもね。


でも、いいじゃん。


幼馴染の借りなんて、時効にならないんだから。


……なに、その顔。


怖い?


安心して。


お金の話だけじゃないから。


……もっと怖い?


失礼だなあ。


でも、本当に。


昔してもらったことって、意外と覚えてるよ。


転んだとき手を引っぱってくれたとか。

祭りで迷子になりかけたとき、服の袖つかんでてくれたとか。

宿題わからなくて泣いたとき、一緒に怒られてくれたとか。


……最後のは、あんたも宿題してなかっただけだけど。


でも、覚えてる。


子どものころのことって、どうでもいい部分ほど残ってるよね。


大きな旅行とか、特別なイベントより。

縁側でスイカ食べたとか。

駄菓子屋の帰りに夕立に降られたとか。

蝉の抜け殻を集めて、家に持って帰ろうとして止められたとか。


……あれは本当にやめてほしかった。


箱いっぱいに詰めてたよね。


怖いとかじゃなくて。


いや、ちょっと怖かったけど。


あんたが宝物みたいに見せてくるから、嫌って言えなかったんだよ。


……私、昔からあんたに甘いな。


……今も?


……どうだろ。


今は、昔ほどではないんじゃない?


たぶん。


……なに。


その疑ってる顔。


そんなに甘くないでしょ、今は。


文句も言うし。

予定も断るし。

嫌なときは嫌って言うし。


……結局付き合う?


それは。


まあ。


最後には、ね。


……そう考えると、あんまり変わってないかも。


嫌って言いながら、一緒に駄菓子屋来てるし。


夏休みなのに、わざわざ夕方に呼び出されて。

暑い中、昔の道歩いて。

アイス溶かしながら帰ってる。


……でも、嫌じゃないよ。


むしろ。


来てよかった。


あの店がまだ残ってることもわかったし。

昔と同じラムネも買えたし。


あんたと、昔の話もできた。


……ねえ。


夏休みって、昔はもっと長かったよね。


……そう思わない?


今だって日数はそんなに変わらないはずなのに。

小学生のころは、夏が永遠に続くみたいだった。


朝起きても夏休み。

昼寝して起きても夏休み。

一日遊んでも、まだ明日があって。


カレンダーを見ても、八月の終わりなんてずっと遠くにあった。


……でも今は。


気づいたら、もう何日も過ぎてる。


八月に入ったと思ったら。

花火が終わって。

お盆が来て。

夏休みの残り日数が、少しずつ気になり始める。


……まだ始まったばかりだって?


そうだけど。


でもさ。


始まったばかりって思って油断してると、急に終わるじゃん。


夏って、いつもそう。


始まるときは、これから何でもできるような顔するくせに。

終わるときは、こっちの都合なんて聞かないで、急に夕方の風を涼しくする。


蝉の声も、少し変わって。


気づいたら、夜が早くなって。


……なんか、ずるいよね。


……私、変なこと言ってる?


……そう。


ならいい。


今日、駄菓子屋に行ったからかな。


昔の夏休みを思い出したら。

今の夏休みが、思っていたより短いことに気づいた。


昔はさ。


明日もあんたがいるって、普通に思ってた。


今日遊んで。

明日も会って。

明後日もたぶん会う。


約束しなくても、どっちかが家に来て。

「いる?」って声かけて。


……それで済んだ。


今は、そうじゃないね。


会うなら連絡しなきゃいけないし。

予定を聞かなきゃいけないし。

誰とどこに行くのか、こっちは知らないままだし。


……別に。


全部教えてほしいって言ってるわけじゃないよ。


そんなの、面倒だし。

私だって全部報告するつもりないし。


でも。


昔より、あんたの夏休みの中で、私の知らない時間が増えたなって思っただけ。


……。


なに。


黙らないでよ。


別に責めてるんじゃないから。


本当に。


ただ、ちょっとだけ。


寂しいのかも。


……あ。


言っちゃった。


今のは、夕方のせい。


夕方って、人をちょっと弱くするから。


昼間みたいに明るくないし。

夜みたいに諦めもつかないし。

今日が終わりかけてるのに、まだ帰りたくないみたいな気持ちになる。


……今の空も、そう。


見て。


オレンジ色。


電線まで黒く見えて。

遠くの家の窓に、少しずつ明かりがついて。


蝉の声も、昼間より遠くなった。


……この時間、昔から好きだった。


でも、昔は寂しいなんて思わなかったな。


帰っても、また明日会えると思ってたから。


今は。


……明日、会う?


……。


ほら。


すぐ答えられないでしょ。


予定あるかもしれないし。

私にも予定あるかもしれない。


だから、昔みたいに「また明日」が当たり前じゃない。


……それが、少し寂しい。


でも、こんなこと言ったら重いかなって思って。

今まで言わなかった。


幼馴染なんだから、会えなくても平気な顔しなきゃいけない気がしたし。


恋人でもないのに、予定を聞くのは変かなとか。

会いたいって言いすぎたら、面倒かなとか。


……考えるんだよ。


私だって。


昔は、そんなこと考えなかったのに。


会いたかったら家に行って。

いなかったら帰って。

次の日また行けばよかった。


今は、一回断られたら、ちょっと気にする。


忙しいだけかな。

私と会いたくないのかな。

ほかの誰かとは会うのかな。


……面倒でしょ。


自分でもそう思う。


でも、人間って大きくなるほど、自由になるんじゃなくて。

変に考えることが増えて、不自由になるのかもね。


……あんたは、考えない?


……少しは?


本当に?


……たとえば?


……。


私が、ほかの人と夏祭り行ったら嫌?


……ふふ。


今、ちょっと返事遅かった。


嫌なんだ。


……いや。


嬉しそうな顔はしてない。


してないってば。


でも、まあ。


少し安心した。


私だけじゃないんだ。


会えない時間のこと、少しは気にするんだね。


……なら。


今年の夏休み。


昔みたいに毎日は無理でも。


もう少し会わない?


今日みたいに、駄菓子屋行くだけでもいいし。

夕方に散歩するだけでもいいし。

どっちかの家で、扇風機の前でだらだらするだけでもいい。


何か特別な予定じゃなくていい。


むしろ、特別じゃないほうがいいかも。


海とか。

祭りとか。

花火とか。


そういうのも行きたいけど。


でも、私が覚えてるのって、結局。


アイスが溶けたとか。

ラムネのビー玉が取れなかったとか。

あんたが変なことで笑ったとか。


そういう、どうでもいい時間だから。


……今年も、それがほしい。


夏休みが終わったあとに。


今年の夏も、ちゃんとあんたがいたって思えるくらいには。


……あ。


今の、かなり恥ずかしい。


聞かなかったことに。


……無理?


そう。


最近、あんた聞かなかったことにしてくれなくなったね。


昔はすぐ忘れたのに。


……大事なことは忘れない?


……そういうこと、急に言うのずるい。


こっちは軽口で逃げようとしてるのに。


そんな返しされたら、逃げにくくなるじゃん。


……でも。


忘れないなら、いい。


今日のことも覚えてて。


昔の駄菓子屋に行ったこと。

十円の借りをラムネで返してもらったこと。

アイスを垂らして、私にティッシュをもらったこと。


それから。


夏休みが昔より短く感じるって、私が言ったこと。


……だから。


残りが少なくなってから慌てるんじゃなくて。


今のうちに、次の予定決めよう。


……うん。


今。


あとで連絡するだと、どっちかが面倒になって、そのままになるから。


来週。


どこか空いてる?


……水曜日?


私、空いてる。


……何する?


なんでもいい。


あ。


じゃあ、昔みたいに朝から宿題しようよ。


午前中はちゃんと宿題して。

お昼食べて。

午後になったらアイス買いに行く。


……同じすぎる?


いいじゃん。


昔と同じことを、今の私たちでやってみたい。


昔と同じになるのか。

やっぱり少し違うのか。


確かめたい。


……どっちだと思う?


私は。


たぶん、違うと思う。


宿題してても。

隣にいることを、昔より意識する気がするし。


アイスを食べても。

手が触れたとか、そういうくだらないことで、昔より変に黙る気がする。


……今だってそう。


さっき、ラムネ渡してくれたとき。

少し指、触れたでしょ。


……気づいてた?


……そっか。


じゃあ、本当に昔とは違うんだ。


……でも。


違っても、一緒にいられるなら。


私は、そんなに嫌じゃない。


……ううん。


かなり好きかも。


……今のは。


夏休みの過ごし方の話。


あんたといることが好きって意味じゃ。


……。


いや。


それも、たぶん少し入ってるけど。


……あー、もう。


夕方、危険。


七夕も危険だったけど、八月の夕方も危険。


本音が勝手に出る。


……笑わないでよ。


笑ってるじゃん。


……でも、まあ。


あんたが笑ってるならいいか。


昔から、その笑い方は変わらないね。


人がちょっと恥ずかしいこと言ったとき。

からかうほどじゃないけど、嬉しそうに笑うやつ。


……覚えてる。


私、意外といろいろ覚えてるんだから。


だから、これからのことも覚える。


今年の八月のこと。


昔と同じ駄菓子屋に行ったけど。

昔とは少し違う気持ちで帰ったこと。


夏休みが短いって思ったけど。

次に会う約束ができたら、少しだけ長くなった気がしたこと。


……ねえ。


来週、本当に来てよ。


寝坊したとか。

暑いから出たくないとか。


そういうの、なしね。


……家に行って起こす?


……行ってもいいけど。


本当に行ったら、おばさんに全部言われるよ。


「あの子、朝から来てくれたよ」って。


それで、あんたが変ににやにやする。


……嫌。


だから、ちゃんと自分で起きて。


それから、私の家に来て。


昔みたいに。


……でも。


玄関で「いる?」って叫ぶのはやめてね。


近所に聞こえるから。


連絡して。


今の私たちは、昔より少し面倒で。

でも、そのぶん少し丁寧に約束できるんだから。


……うん。


じゃあ、決まり。


来週の水曜日。


宿題と、麦茶と、アイス。


あと。


私。


……なに。


最後だけおまけみたい?


違うよ。


むしろ、一番忘れたらだめ。


……ふふ。


冗談。


半分だけ。


……あ。


もう分かれ道。


早いね。


駄菓子屋から、もっと遠かった気がするのに。


道が短くなったのかな。


……私たちの足が速くなった?


そうかも。


大きくなったぶん、同じ道を早く歩けるようになった。


でも。


早く着くからって、早く別れたいわけじゃないんだよね。


……。


だから。


少しだけ、ここで話してから帰らない?


アイスはもうないけど。

ラムネも飲み終わったけど。


夕焼けが消えるまで。


……うん。


ありがとう。


夏休みって、昔はもっと長かったよね。


でも、今の夏休みだって。


こうしてちゃんと立ち止まれば、少しくらい長くできるのかもしれない。


……だから。


あと少しだけ、隣にいて。


今日が終わるの、もうちょっとあとでいいから。


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