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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
8月に合わせた台本集

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45/61

8月本編 第2話 お兄ちゃん、宿題より先に麦茶飲んで (妹系/夏休みの昼下がり/家族同然に近い女の子)

朗読使用者への簡単な設定説明


この台本は、女性VTuberが「妹のように距離が近く、世話焼きで少し甘えん坊な女の子」として読むシチュエーションボイスです。


舞台は八月の昼下がり。相手は暑い部屋で夏休みの宿題に集中していますが、水分補給も休憩も忘れがち。彼女は麦茶と冷たいタオルを持ってきて世話を焼きますが、本音では宿題ばかり見ず、自分のことも少し見てほしいと思っています。


前半は小言を交えた明るい世話焼き。中盤から「邪魔をしたくないけれど、構ってほしい」という面倒くさい可愛さをにじませてください。氷の音、扇風機、汗ばんだ前髪、夏の畳の匂いなど、生活感のある夏を意識すると自然です。


------------------------------------------------------------------------------------------------------


……お兄ちゃん。


ねえ、お兄ちゃんってば。


……聞こえてる?


さっきから三回呼んでるんだけど。


返事くらいしてよ。


……はいはい、じゃないの。


絶対ちゃんと聞いてなかったでしょ。


その顔、今ようやく私が部屋にいることに気づいた人の顔だもん。


もう。


宿題に集中するのはいいけど、集中しすぎ。


見て。


これ。


麦茶。


氷、ちゃんと入れてきたから。


……いらない?


だめ。


いる、いらないじゃなくて、飲むの。


さっきからずっと机に向かってるのに、一回も水分取ってないでしょ。


……取った?


いつ?


……一時間前?


それは「さっき」とは言わないからね。


八月の昼間を甘く見ないでよ。


部屋の中でも暑いし。

扇風機回してるだけじゃ、気づかないうちに汗かくんだから。


ほら。


コップ持って。


……はい。


ちゃんと飲んで。


一口だけじゃなくて、もう少し。


……そう。


いい子。


……あ。


今、ちょっと嫌そうな顔した。


妹みたいな相手に「いい子」って言われるの、納得いかない?


でも、ちゃんと言うこと聞いたんだから、いい子でしょ。


年上かどうかは関係ありません。


言うことを聞いた人は、いい子です。


……ふふ。


なにその顔。


反論したいけど、麦茶がおいしいから何も言えない顔?


……やっぱり。


暑かったんじゃん。


なのに、平気なふりして。


お兄ちゃんって、そういうところあるよね。


ちょっと疲れてても「平気」。

喉が渇いてても「あとで」。

お腹空いてても「これ終わってから」。


そうやって全部後回しにして、限界になってから急にぐったりする。


……前にもあったでしょ。


七月の暑い日に、帰ってきた瞬間、玄関で半分溶けてたやつ。


あのときだって、私がアイスと水を用意してなかったら、たぶんそのまま床と一体化してた。


……大げさじゃないよ。


本当に、顔が人間じゃなくなってたもん。


……ふふ。


でも、今日はまだ人間。


宿題に夢中になりすぎて、ちょっと周りが見えなくなってるだけ。


はい。


これも。


……冷たいタオル。


首に当てて。


……自分でやる?


いいから。


じっとして。


……ん。


どう?


冷たいでしょ。


……ふふ。


今、ちょっと気持ちよさそうな声出た。


さっきまで「いらない」って言ってた人は誰でしょう。


……もう一回言う?


言わなくても、顔見ればわかります。


ほら、前髪も少し汗で張りついてる。


宿題してるだけなのに、そんなに真剣にならなくても。


……真剣にやらないと終わらない?


それは、ため込んだからじゃないの?


……あ。


目をそらした。


図星だ。


何日分ためたの?


……三日?


ほんとに?


お兄ちゃん、ちょっとこっち見て。


……五日?


まだ増える?


……一週間。


はあ。


やっぱり。


夏休みの最初に言ったよね。


毎日少しずつやれば、八月の終わりに泣かなくて済むって。


そしたらお兄ちゃん、何て言った?


「未来の俺は、今の俺より賢いから大丈夫」


……そう。


あれ、どういう理屈だったの?


未来のお兄ちゃん、今ここで宿題に追われてるけど。


むしろ、過去のお兄ちゃんより困ってるように見えるよ。


……未来の自分を信用しすぎた?


そうだね。


未来のお兄ちゃん、かなり迷惑そう。


……ふふ。


でも、ちゃんとやってるだけ偉いよ。


逃げないで机に向かってるし。


ただし。


休憩しないのは偉くない。


水分を取らないのも偉くない。


私が話しかけても全然返事しないのは、もっと偉くない。


……そこが一番?


……まあ。


少し。


だって、私さっきから暇なんだもん。


宿題してるお兄ちゃんの邪魔をしたら悪いと思って、静かにしてたんだよ。


最初は本読んでた。


でも、暑くて内容が頭に入らなくて。

次にスマートフォン見てた。

でも、見たいものもなくなって。

それでお兄ちゃんの様子見たら、ずっと同じ姿勢で机に向かってるし。


たまに頭をかいたり。

消しゴムを落としたり。

わからない問題を見て、すごく嫌そうな顔したり。


……見てたよ。


だって暇だったから。


……観察されるの嫌?


じゃあ、たまにはこっち見てよ。


そうしたら、ずっと見なくて済むから。


……。


今みたいに。


ちゃんと顔を上げて。


私がいるって、たまには思い出して。


……なに。


そんなふうに言われると、宿題より私を優先しろって言ってるみたい?


……少しくらいは、そうかも。


でも、全部じゃないよ。


宿題はちゃんとやってほしいし。

八月の最後に泣きつかれても困るし。

私だって手伝えるものには限界があるから。


ただ。


一時間に一回くらいは休憩して。


麦茶飲んで。


それで、私と少し話して。


それくらい、いいでしょ。


……休憩に付き合わせたいだけ?


そうとも言う。


でもさ。


お兄ちゃん、一人で休憩したら、たぶん机に突っ伏して五分で寝るじゃん。


それで二時間後に起きて、余計焦る。


だったら私と話したほうが健康的。


……ほんとだよ。


私、ちゃんと起こせるし。


寝そうになったら、耳元で蝉の鳴き真似する。


……嫌?


じゃあ寝ないで。


簡単でしょ。


……ふふ。


やっと笑った。


さっきまで、問題集を親の敵みたいな顔で見てたから。


少し休んだほうがいいよ。


頭が熱くなってるときに考えても、余計わからなくなるし。


……その問題、何?


数学?


見せて。


……ああ。


私、これはわからない。


……なに、その残念そうな顔。


妹分が何でも解決してくれると思わないでよ。


私にだって、できることとできないことがあります。


麦茶を持ってくる。

タオルを冷やす。

消しゴムを拾う。

お兄ちゃんがだめになりそうなとき、小言を言う。


そのくらい。


……でも。


問題が解けないとき、一緒に悩むくらいならできるよ。


答えは出せなくても。


「難しいね」って言う相手が隣にいるだけで、ちょっとましなこともあるでしょ。


……ない?


あるよ。


少なくとも私はある。


一人で困ってると、自分だけができない気がするけど。

誰かと一緒に「これ難しくない?」って言えたら、問題のほうが悪い気がしてくる。


……責任転嫁?


いいの。


休憩中くらい。


全部自分のせいにしてたら疲れるもん。


この問題は難しすぎる。

夏は暑すぎる。

宿題は多すぎる。

蝉はうるさすぎる。


今日はそういうことにしよう。


……ふふ。


ほら。


ちょっと顔が楽になった。


ねえ。


畳に座る?


机の椅子、ずっと座ってたら腰痛くなるでしょ。


こっち、扇風機の風も来るよ。


……五分だけ?


うん。


五分でいい。


でも、お兄ちゃんの五分は信用してないから、私が時間見る。


……さっきと立場が逆?


違うよ。


お兄ちゃんの「あと五分」は二十分になるけど、私の五分はちゃんと五分。


……たぶん。


……はい。


そこ座って。


冷たいタオル、もう一回首に当てる?


……自分でできる?


じゃあ、どうぞ。


……あ。


ちょっと待って。


タオル、裏返したほうが冷たいよ。


貸して。


……ん。


はい。


どう?


……気持ちいい?


よかった。


お兄ちゃんの髪、汗で少し湿ってるね。


……触るな?


ごめん。


でも、気になったから。


前髪、いつもより少し柔らかい。


……そういうこと言うな?


なんで。


別に変な意味じゃないよ。


暑そうだから見ただけ。


……でも。


ちょっとだけ、夏っぽいなって思った。


冷房じゃなくて扇風機で。

氷の入った麦茶があって。

机には開きっぱなしの問題集。

畳の上に座って。

お兄ちゃんの髪が少し汗で濡れてて。


外では蝉が、ずっと同じ声で鳴いてる。


こういうの。


あとになったら、たぶん夏休みの記憶になるんだろうなって。


……宿題に追われた記憶?


それだけじゃないよ。


私が麦茶を持ってきたこととか。

お兄ちゃんが最初はいらないって言ったくせに、結局おかわりしたこととか。

私が邪魔しないように我慢してたのに、最後は構ってほしいって言ったこととか。


……あ。


今のは忘れて。


……無理?


じゃあ、少しだけ覚えてていい。


でも、からかわないで。


私だってね。


宿題を頑張ってるお兄ちゃんの邪魔をしたいわけじゃないの。


ちゃんと終わってほしい。

あとで困ってほしくない。

だから静かにしてようと思う。


でも。


同じ部屋にいるのに、ずっと問題集しか見てくれないと、ちょっとだけ面白くない。


私のほうが先にここにいたのに、とか。

麦茶を持ってきたのも私なのに、とか。

問題集はお礼も言わないくせに、お兄ちゃんの時間を全部取るんだな、とか。


……何それって顔しないでよ。


自分でも変なのはわかってる。


問題集に嫉妬する人、あんまりいないと思う。


でも、仕方ないじゃん。


人間って、理屈だけで寂しくならないわけじゃないもん。


邪魔したくない。

でも、少し見てほしい。


頑張ってほしい。

でも、私の相手もしてほしい。


そういう、両方あるの。


……面倒?


うん。


知ってる。


でも、お兄ちゃんには少しくらい面倒でもいいでしょ。


今までだって、さんざん私の面倒見てきたんだから。


……なに。


そこは否定しないんだ。


まあ、たしかに。


小さいころ、宿題が嫌で泣いてた私の隣に座ってくれたの、お兄ちゃんだったもんね。


私が「わかんない」って言うたびに、同じ説明を何回もして。


途中でちょっとイライラしてたけど。


……してたよ。


声に出さなかっただけで、顔が「もう無理」って言ってた。


でも、最後までいてくれた。


だから、今日は私の番。


数学は教えられないけど。


麦茶とタオルと小言なら、いくらでも出せる。


……小言はいらない?


それは無理。


セットだから。


……ふふ。


五分、もうすぐ終わるよ。


どう?


少しは休めた?


……うん。


じゃあ、机に戻る前に、もう一杯飲む?


……おかわり?


はい。


最初から飲むと思ってた。


氷、少し溶けたけど、まだ冷たいよ。


……ねえ。


これ終わったら、何か一緒にしようよ。


大げさなことじゃなくていい。


夕方になったらコンビニまで歩くとか。

スイカがあったら一緒に食べるとか。

縁側で風に当たるとか。


それくらい。


……宿題が終わったら?


全部じゃなくていいよ。


今日決めた分が終わったら。


ご褒美。


……私がご褒美みたいに言うな?


そこまでは言ってない。


でも、私と過ごす時間がご褒美でも、別に困らないけど。


……っ。


今のは、ちょっと調子に乗った。


忘れて。


……もう。


今日は忘れてほしいことばっかり。


でも、お兄ちゃんが宿題しか見ないから、変なことまで言うことになるんだよ。


責任取って、今日の分ちゃんと終わらせて。


それから、少し私に付き合って。


……約束?


うん。


約束。


じゃあ、机に戻ろう。


私も隣で本読む。


今度は、本当に静かにしてる。


……たぶん。


でも、一時間たったらまた麦茶持ってくるから。


嫌そうな顔しても持ってくる。


水分補給は大事だから。


それと。


たまに、こっち見て。


何も言わなくていいから。


目が合ったら、それで私は少し満足する。


……少しだけね。


本当は話してほしいけど。


そこまで言ったら、また面倒って思われるから。


……もう思ってる?


ひどい。


でも、いいよ。


お兄ちゃんにとって面倒でも、ちゃんと隣にいるから。


はい。


麦茶、もう一口。


それから宿題。


順番、間違えないでね。


宿題より先に麦茶。

宿題の途中で休憩。

宿題が終わったら私。


……最後、大事だから。


忘れないで。


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