ジューンブライド番外 第4話 ジューンブライドって、選ばれた子だけのものなんだね
(地雷系・メンヘラ寄り/結婚できない不安/かなり親しい相手)
朗読使用者への簡単な設定説明
この台本は、女性VTuberが「可愛い口調の中に不安と依存を抱えた女の子」として読むシチュエーションボイスです。
6月、SNSで流れてきたジューンブライドの写真や結婚報告を見て、彼女が急に不安になり、相手に電話してしまう場面です。
まだ結婚どころか、関係性も曖昧。だからこそ「私はちゃんと選ばれるの?」という気持ちが強く出ます。
声は最初は明るく可愛く、途中から少しずつ不安をにじませてください。泣き叫ぶより、笑おうとして笑えない感じが刺さります。
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……もしもし。
あ、出た。
……ううん。
ごめんね。
こんな時間に。
寝てた?
……寝てない?
ほんと?
なら、よかった。
いや、よくはないかも。
ちゃんと寝なきゃだめだよ。
……って、私が言えることじゃないんだけど。
ふふ。
私も、ちょっと眠れなくて。
うん。
変なもの、見ちゃった。
……変なものっていうか。
別に、悪いものじゃないんだけど。
SNS見てたらね、結婚式の写真がいっぱい流れてきたの。
六月だからかな。
ジューンブライドってやつ。
白いドレス着て、花束持って、すごく幸せそうに笑ってる女の子。
隣には、その子を選んだ人がいて。
まわりの人たちも、みんな笑ってて。
……きれいだった。
すごく、きれいだったよ。
だから最初は、普通に「いいなあ」って思ったの。
このドレス可愛いな、とか。
このブーケ、色合い好きだな、とか。
こういう髪型もいいな、とか。
そういう、普通の女の子みたいなことを考えてた。
……でも。
見てるうちに、なんかちょっと苦しくなっちゃった。
……ねえ。
ジューンブライドって、選ばれた子だけのものなんだね。
……あ。
ごめん。
急に重かった?
でも、思っちゃったの。
白いドレスって、誰でも着られるように見えるけど。
本当は、誰かにちゃんと選ばれた子が着る服なんだなって。
「この人と一緒にいたい」って思われた子。
「隣に立ってほしい」って言われた子。
「未来を一緒に」って、ちゃんと約束してもらえた子。
そういう子が着るものなんだって思ったら。
急に、遠く見えた。
……私には、まだ遠いなって。
ううん。
結婚したいとか、今すぐそういう話をしたいとか。
そういうことじゃないよ。
わかってる。
まだ早いってことくらい。
そういう重い話をいきなりされたら困るってことも、ちゃんとわかってる。
でもね。
私は、たぶん。
選ばれたいんだと思う。
……あは。
言っちゃった。
すごいね。
夜って怖いね。
昼間だったら絶対言えないこと、言えちゃう。
でも、本当。
誰かの一番になりたい。
たくさんいる中のひとりじゃなくて。
都合のいいときだけ話す相手じゃなくて。
寂しいときだけ思い出される子じゃなくて。
ちゃんと、選ばれたい。
……あなたに。
……。
ごめん。
また困らせた。
でも、今日はちょっとだけ許して。
このまま一人で考えてたら、もっと変な方向に行きそうだったから。
だから電話したの。
あなたの声を聞いたら、少し落ち着くかなって思って。
……うん。
落ち着くよ。
声を聞くだけで、少しだけ。
でも、その少しだけが欲しかった。
ねえ。
あのね、私。
白いドレスの写真を見ながら、すごく嫌なこと考えちゃった。
いつか、あなたが誰かを選ぶ日が来たらどうしようって。
私じゃない誰か。
私より明るくて、素直で、ちゃんとしてて。
不安になるたびに電話なんかしてこなくて。
重いこと言わなくて。
面倒くさくなくて。
そういう子を、あなたが選んだらどうしようって。
……やだ。
それ、すごくやだ。
ごめんね。
こんなこと言われても困るよね。
でも、やなの。
あなたが誰かの隣で笑ってる未来を想像するだけで、胸の奥がぎゅってなる。
その子が白いドレス着てて、あなたがその子を見て優しく笑ってたら。
私、たぶん平気な顔できない。
……ううん。
できるかも。
表面だけなら。
「おめでとう」って言えるかも。
笑えるかも。
ちゃんと祝福してるふりも、できるかも。
でも、帰ったあとで、きっと泣く。
……あは。
ほんと、面倒くさいね。
まだそんな未来、どこにもないのに。
勝手に想像して、勝手に傷ついてる。
でも、想像しちゃうの。
六月って、そういう月なのかな。
街中が結婚とか幸せとか約束とか、そういう言葉でいっぱいになって。
私みたいな曖昧な場所にいる子は、急に不安になる。
自分だけ、どこにも選ばれてないみたいで。
……ねえ。
私って、ちゃんとあなたの中にいる?
……いる?
本当に?
……ごめん。
こういう聞き方、ずるいよね。
答えさせるみたいで。
でも、聞きたかったの。
私は、あなたの一番じゃないかもしれない。
そんなこと、今すぐ求めたらだめだってわかってる。
でも、せめて。
せめて、ちゃんと特別なところにいたい。
他の人と同じじゃなくて。
ただの知り合いじゃなくて。
寂しい夜に電話しても、少しは許してもらえるくらいの場所にいたい。
……うん。
ありがとう。
今の返事だけで、少し息できる。
……ねえ。
私、今日ちょっと可愛くないね。
本当はもっと、明るく話すつもりだったの。
「見て見て、このドレス可愛いね」とか。
「ジューンブライドって素敵だね」とか。
そういう可愛い話をして、ちょっとだけあなたの反応を見て。
それで終わるつもりだった。
なのに、実際はこれ。
選ばれたいとか。
他の子は嫌だとか。
あなたの中にいたいとか。
……重いよね。
でも、これも私なんだと思う。
可愛いものが好きな私も。
白いドレスに憧れる私も。
幸せそうな写真を見て少し笑える私も。
そのあとで、急に不安になって電話しちゃう私も。
全部、私。
……だから。
嫌いにならないで。
……あ。
今のは、ちょっと言い方がだめだった。
また答えを急かすみたいになる。
でも、でもね。
今日は、そういう言葉が欲しかったの。
大丈夫って。
今の私でも、切られないって。
ちゃんと聞いてるって。
それだけでいいから。
……うん。
……ありがとう。
ほんとに、ありがとう。
ああ、だめ。
声聞いたら、ちょっと泣きそうになった。
泣かないけど。
泣いたら、もっと困らせるし。
……え?
泣いてもいい?
……そういうこと言うの、ずるい。
本当にずるい。
優しくされたら、もっと甘えたくなるのに。
もっと欲しくなるのに。
それでも優しくするんだもん。
……ねえ。
今すぐじゃなくていいから。
いつかでいいから。
私のことも、選んでくれる?
……。
ごめん。
やっぱり、今のは答えなくていい。
今すぐ返事されたら、それはそれで怖いし。
答えが聞きたいのに、聞くのも怖い。
ほんと面倒だよね。
だから、今日は違う言葉でいい。
「いつかね」って言って。
嘘でもいい。
……ううん。
本当は嘘じゃないほうがいいけど。
でも、今日はそれで眠れるから。
「いつかね」って。
「ちゃんと考えるよ」って。
そう言ってくれたら、今日の私はたぶん大丈夫。
……うん。
……そっか。
ありがとう。
今の、ちゃんと大事にする。
あのね。
ジューンブライドの写真を見て、不安になって、泣きそうになって。
でも、あなたに電話してよかった。
一人で見てたら、白いドレスがすごく遠いものに見えたけど。
今は少しだけ、未来って言葉が怖くなくなった。
まだ届かなくても。
まだ選ばれていなくても。
まだ約束なんてなくても。
私は、今日、あなたに声を聞いてもらえた。
それだけで、少しだけ救われた。
……ねえ。
もしまた、こういう不安になったら。
電話してもいい?
……本当に?
……うん。
じゃあ、するかも。
でも、毎回こんなに重くはしないように頑張る。
たぶん。
……できるだけ。
ふふ。
ちょっと笑えた。
よかった。
あなたの声、やっぱり効くね。
……そろそろ寝ないとだめだよね。
でも、最後にもう一回だけ言っていい?
ジューンブライドって、選ばれた子だけのものなんだね。
そう思って、少し苦しくなった。
でも、いつか私も。
ちゃんと選ばれる子になりたい。
……できれば、あなたに。
今すぐじゃなくていいから。
急かさないようにするから。
でも、忘れないで。
私は、あなたの未来に入りたいって思ってる。
……おやすみ。
今日は、嘘でもいいから夢の中でくらい。
白いドレスの隣に、あなたがいてくれたらいいな。




