表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
6月に合わせた台本集

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
34/42

ジューンブライド番外 第3話 六月の花嫁には、まだ少し遠いね

(お姉さん系/ジューンブライドへの寂しさ/少し年上の親しい女性)


朗読使用者への簡単な設定説明


この台本は、女性VTuberが「落ち着いた年上のお姉さん」として読むシチュエーションボイスです。

6月の雨の日、結婚式帰りの花嫁や参列者を見かけたあと、相手と静かなカフェ、または雨宿りできる場所で話している場面です。

表面上は大人の余裕を見せていますが、内心では「自分もいつか誰かに選ばれるのだろうか」という寂しさと焦りがあります。

重くなりすぎず、優しく微笑みながら、ふとした瞬間だけ本音がこぼれるように読むと自然です。


---------------------------------------------------------------------------------------------------


……雨、少し強くなってきたね。


もう少し、ここで待っていようか。

無理に出ても濡れてしまうし。

それに、急ぐ用事もないでしょう?


……ふふ。

よかった。


このお店、窓際の席が落ち着くね。

雨の日だと、ガラスに水滴がついて、外の景色が少しぼやけて見える。

さっき通りを歩いていた人たちも、みんな傘の色だけになってしまったみたい。


……あ。


見て。

向こうの歩道。


たぶん、結婚式の帰りかな。

きれいな服の人たちがいる。

花束を持ってる人もいるね。


……六月だものね。

ジューンブライド。

この時期は、街の中にも少しだけ結婚式の気配が増える気がする。


白い花。

リボン。

小さなブーケ。

雨に濡れないように、誰かが誰かのドレスの裾を気にしてあげる仕草。


そういうのを見ると、やっぱり少し……いいなって思う。


……なに?

意外?


ふふ。

そんなに驚かなくてもいいのに。

私だって、そういうものに憧れることくらいあるよ。


普段あまり言わないだけ。


……うん。

結婚式って、いいよね。


もちろん、大変なことも多いと思う。

準備も、段取りも、親戚付き合いも。

現実的に考えたら、きれいなことばかりじゃないんだろうけど。


それでも、誰かが誰かを選んで。

たくさんの人の前で、「この人と歩いていきます」って言う日があるのは、やっぱり特別だと思う。


……選ばれる、って。

不思議な言葉だよね。


誰かに選ばれる。

誰かを選ぶ。


それって、本当はどちらも同じくらい勇気がいるはずなのに。

私は、つい“選ばれる側”のことばかり考えてしまう。


……変かな。


……ありがとう。

そう言ってくれると思った。


あなたは、こういう話をしても笑わないから、つい話してしまうね。


……さっきの花嫁さん、幸せそうだった。


ほんの一瞬しか見えなかったけど。

傘を差してもらって、少し笑っていて。

ドレスの白が、雨の日の灰色の中で、すごく明るく見えた。


雨なのに。

雨だからこそ、かな。

白が、余計にきれいだった。


……私も、いつかああいうふうに笑えるのかな。


……あ。


ごめん。

少し、変なことを言ったね。


今すぐ結婚したいとか、そういう話じゃないの。

そんなに焦っているつもりもないし。

誰かに急かされているわけでもない。


でもね。

六月になると、どうしても考えてしまうの。


街に飾られたウェディングドレスや、結婚式場の広告や、幸せそうな写真。

そういうものが、まるで「あなたはどうするの?」って聞いてくるみたいで。


……普段は、平気なんだけどね。


仕事でも、日常でも、私はちゃんとやれているつもり。

ひとりで過ごす時間も嫌いじゃないし。

誰かに寄りかからないと立てない、なんてこともない。


だけど、こういう日だけは。

少しだけ、胸の奥が静かになる。


自分はまだ、誰かに“この人だ”って思ってもらえていないのかなって。

そういう場所には、まだ届いていないのかなって。


……ふふ。

ちょっと寂しい言い方になってしまった。


でも、泣きたいほどではないよ。

大丈夫。


ただ、少しだけ。

ほんの少しだけ、羨ましかっただけ。


誰かの隣に立てる人が。

白いドレスを着て、祝福されて、まっすぐ前を向ける人が。

その人自身もきれいだったけど、その人を選んだ誰かがいることも、きれいに見えた。


……ねえ。


あなたは、誰かを選ぶって、どういうことだと思う?


……難しい質問をしたね。


すぐ答えなくていいよ。

私も、ちゃんとはわからない。


たぶん、好きだけじゃ足りないのかもしれない。

一緒にいて楽しいとか、安心するとか、そういう気持ちも大切だけど。

それだけじゃなくて、その人の弱いところも、面倒なところも、うまくいかない日も、それでも隣にいると決めること。


……なのかな。


言っていて、少し怖くなるね。

そんなふうに誰かを選ぶのも、誰かに選ばれるのも。


でも、憧れる。


怖いのに、憧れる。


……ふふ。

矛盾しているね。


でも、人の気持ちって、だいたい矛盾してるものかもしれない。


一人でも大丈夫。

でも、誰かに選ばれたい。


まだ自由でいたい。

でも、誰かの特別になりたい。


焦っていないふりをしたい。

でも、置いていかれるのは少し怖い。


……こんなこと、あまり人には言えないけれど。


あなたには、言えてしまう。


それが良いことなのか、少し危ないことなのか、まだわからないけどね。


……あ。


そんな顔をしないで。

困らせたいわけじゃないの。


ただ、今こうして雨宿りをしていて。

六月の花嫁を見かけて。

あなたが隣で、静かに聞いてくれているから。


少しだけ、心の奥にあったものが出てきただけ。


……ねえ。


もし私がいつか、誰かに選ばれる日が来たら。

そのとき、私はちゃんと笑えるかな。


強がらずに。

大人ぶらずに。

「嬉しい」って、ちゃんと言えるかな。


……うん。


あなたなら、言えると思うって?


……ふふ。

ありがとう。


そういうところ、あなたはずるいね。

私が不安な言葉をこぼしたとき、ちょうどいい温度で返してくれる。

熱すぎないし、冷たくもない。

それが、すごく心地いい。


……だからかな。


今、少しだけ思ってしまった。


未来の話をしても笑わない相手がいるのは、救いだなって。


結婚とか、花嫁とか、選ばれるとか。

そういう言葉って、扱い方を間違えると急に重くなるでしょう?

でも、あなたと話していると、不思議と怖くない。


まだ決まっていない未来を、ほんの少しだけ机の上に置いても、あなたは乱暴に触らないでいてくれる。


……それが、嬉しい。


今すぐ何かを決めたいわけじゃない。

そんなことを言いたいわけでもない。


でも、いつかの話をしてもいい相手が、今ここにいる。

それだけで、少しだけ寂しさが薄くなる気がする。


……雨、少し弱くなったね。


外に出ても、もう大丈夫かな。


でも、もう少しだけいてもいい?


このカップの中身がなくなるまで。

それくらいの時間。


……ありがとう。


あなたは本当に、急かさないね。


そういうところ、好きだよ。


……あ。


今の“好き”は、びっくりした?


ふふ。

大丈夫。

今すぐ答えを求めるような好きじゃないから。


でも、嘘でもないよ。


あなたといると、未来の話が少しだけ怖くなくなる。

私が少し弱いことを言っても、そのまま受け止めてくれる。

そういうところが、私は好き。


……今日は、それくらいにしておくね。


これ以上言うと、六月の雨のせいにできなくなるから。


……ねえ。


もしまた、ジューンブライドの広告を見かけたら。

そのときは、今日の話を少しだけ思い出して。


私が、強がりながらも、ほんの少しだけ羨ましがっていたこと。

誰かに選ばれる未来を、怖がりながらも憧れていたこと。

そして、そんな話をあなたにはしてしまったこと。


……忘れなくていいよ。


むしろ、少しだけ覚えていてくれたら嬉しい。


六月の花嫁には、まだ少し遠いね。


でも、遠い未来の話を、あなたとならこうして静かにできる。

それだけで今日は、少し幸せかもしれない。


……ふふ。


じゃあ、雨がもう少し弱くなったら帰ろうか。


急がなくていいよ。

今はまだ、雨宿りの途中だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ