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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
5月に合わせた台本集

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五月の緑は、人を少し素直にするね (お姉さん系/新緑の散歩/年上の親しい女性)

……こっちの道、久しぶりに歩くね。


ほら、見て。

このあたり、いつの間にか緑が濃くなってる。


四月に通ったときは、まだ枝の隙間が多かったのに。

今はもう、葉っぱがちゃんと影を作ってる。

同じ道なのに、季節が少し進むだけで、全然違って見えるよね。


……うん。

風も気持ちいい。


暑いってほどじゃないけど、歩いてると少しだけ体があたたまる感じ。

このくらいの気温、私は好きだな。

春みたいに少し頼りないやさしさじゃなくて、夏みたいに強すぎる熱でもなくて。

ちょうど、心の力が抜けるくらい。


……あなたは?


……ふふ。

「悪くない」って顔してる。


言葉は短いのに、顔には出るんだよね。

そういうところ、昔より少しわかるようになった気がする。


……あ。

ごめん。

見すぎ?


でも、今日は見たくなる日なの。

五月の緑の中を歩いてると、人の表情まで少しやわらかく見えるから。


ほら、少しこっち側を歩いて。

日差し、そっちのほうが強いから。


……うん。

木陰のほう。


別に、そこまで気にしなくてもいいって?

だめ。

五月の日差しって油断しやすいんだよ。

まだ真夏じゃないから平気って思ってると、あとでじんわり疲れるの。


だから、ちゃんと木陰を選んで歩く。

こういう小さいことで、一日の疲れ方が変わるんだから。


……ふふ。

お姉さんぶってる?


ぶってるんじゃなくて、実際ちょっと年上だから。

たまには素直に聞いて。


……そう。

いい子。


あ、今ちょっと照れた?


ごめん。

つい言っちゃった。


でも、そういう反応されると、少し楽しい。

いつもより一歩だけ近いところに言葉が届いた感じがするから。


……ねえ。

今日は、急いで帰らなくて大丈夫?


……そっか。

じゃあ、もう少し歩こうか。


この先に小さな公園があるでしょう。

ベンチが二つだけあるところ。

あそこ、今の季節は結構いいの。

木が多くて、風が通って、座ってるだけで少し落ち着く。


……うん。

そう、前に一度通ったところ。


覚えてたんだ。


ふふ。

なんか、それだけで少し嬉しい。


人って、自分が好きだと思った場所を相手が覚えていてくれると、妙に嬉しくなるんだね。

大きな約束じゃなくても、ちゃんと残ってたんだなって思えて。


……あ。

こういうことを言うと、少し照れくさいね。


でも、今日はいいかな。

五月の緑は、人を少し素直にするみたいだから。


四月は、なんとなくみんな頑張っていたでしょう。

新しい場所、新しい人、新しい予定。

ちゃんとしなきゃって、肩に力が入っていた気がする。


でも五月になると、少しだけ力が抜ける。

そのぶん、疲れも出るけど。

同時に、隠していた気持ちも少し出やすくなる気がするの。


……あなたも、そういうところある?


……あ。

今、少し考えた。


ふふ。

即答しないところ、あなたらしいね。


そういうところ、好きだよ。

ちゃんと自分の中を見てから返そうとするところ。


……あら。

今のは、さすがに聞き逃せなかった?


うん。

好き、って言った。


でも、そんなに構えなくていいよ。

いきなり困らせるために言ったんじゃないから。

ただ、そういうところが好き。

人として、ちゃんと。


……もちろん、それだけじゃないかもしれないけど。


ふふ。

ほら、また顔に出た。


大丈夫。

今日はそこまで追い詰めない。

お散歩の日だから、ゆっくりでいいの。


……あ、着いた。

この公園。


ほら、やっぱり人少ない。

いいでしょう?

ベンチ、空いてる。


座ろうか。


……ん。

少し歩いたから、ちょうどいいね。


ああ、風が気持ちいい。

葉っぱの音、聞こえる?

さらさらっていうより、もう少し厚みのある音。

新緑って、見た目だけじゃなくて音も違う気がする。


四月の葉っぱはまだ薄くて、風に揺れる音も軽いけど。

五月の葉っぱは、少しだけしっかりしてる。

だから音も、ちゃんとそこにある感じがする。


……私、こういう話ばかりしてるね。


退屈?


……退屈じゃない?


よかった。


あなた、そういうところがやさしい。

無理に盛り上げようとしないで、でもちゃんと聞いてくれる。

こっちが黙っても、急かさない。

それって、案外できる人少ないんだよ。


……ねえ。

少しだけ、手を見せて。


……うん。

手。


あ、別に変なことはしないよ。

さっき少し赤くなってたから。

日差しに当たったかなって思って。


……ほら。

やっぱり。

少しだけあたたかい。


五月の日差し、こういうところに残るんだよね。

手の甲とか、首元とか。

歩いてる間は気づかないのに、日陰に入ると、あ、熱を持ってたんだってわかる。


……私の手?

ん、少し冷たいかも。


さっき冷たい飲み物を持っていたから。


……嫌じゃない?


じゃあ、少しだけ。


……こうしていると、冷たいのとあたたかいのが混ざっていくみたい。


ふふ。

こういうの、変な言い方だけど、季節みたいだね。

春と夏の間。

まだ涼しさも残ってるのに、ちゃんと熱もある。


五月って、そういう月なのかも。


……あ。

ごめん。

手、離す?


……離さなくていい?


……そっか。


じゃあ、もう少しだけ。


こういう時間、好きだな。

何か特別なことをしているわけじゃないのに、あとから思い出しそうな時間。

新緑の匂いとか、風の温度とか、ベンチの硬さとか。

それから、手の温度が少しずつ近づいていく感じとか。


……言いすぎ?


……ふふ。

でも、嫌そうじゃないから続けるね。


私はね、たぶん、こういう時間を大事にしたいんだと思う。

派手な場所に行くより、何か大きなことをするより。

ただ二人で歩いて、木陰で休んで、少しだけ素直な話をする。


そういう時間のほうが、その人との距離がわかることってあるでしょう?


……うん。


今のあなたとの距離、私は嫌いじゃないよ。


近すぎて息苦しいわけじゃない。

遠すぎて寂しいわけでもない。

でも、少し手を伸ばせば届く。

……というか、今はもう届いてるけど。


ふふ。

ごめん。

今のは少しからかった。


でも、本音も混ざってる。


ねえ。

五月が終わったら、少しずつ暑くなるね。

こうして散歩する時間も、夕方じゃないと難しくなるかもしれない。

雨の日も増えるだろうし。


だから、今のうちにもう何回か歩こうか。

今日みたいに、緑がきれいな日。

風がちょうどいい日。

少しだけ素直になれそうな日。


……一緒に。


……うん。

約束。


大げさな約束じゃなくていいよ。

「また歩こう」くらいの、小さい約束。

でも、そういう小さい約束があるだけで、明日から少し楽しみが増えるから。


……あ、もう少し休んだら帰ろうか。


でも、あと少しだけこのまま。

風が気持ちいいし。

あなたの手も、ちょうどいい温度になってきたから。


……ふふ。

今日は、少し素直に言いすぎたかな。


でも、いいよね。

五月の緑のせいにしておく。


五月の緑は、人を少し素直にする。

だから今日は、もう少しだけ。

あなたの隣で、素直なままでいさせて。

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