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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
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会えないだけで、こんなに長く感じるなんて (幼馴染/連休のすれ違い/幼馴染)

……あ。


いた。


……うん。

久しぶり。


って言っても、そんなに何週間も会ってなかったわけじゃないんだけどね。

でも、なんか久しぶりな感じする。


ゴールデンウィークって、変だよね。

休みに入る前は、あれだけ長いと思ってたのに。

終わってみたら、何してたのかよくわからないくらい早く過ぎてて。

でも、会えなかった人のことだけは、妙に長く感じる。


……なに、その顔。

別に、変なこと言ってないでしょ。


だって本当だし。


連休中、結局あんまり会えなかったじゃん。

最初の日は私が用事あって。

次の日はそっちが出かけてて。

その次は雨で。

そのあとも、なんか微妙に予定がずれて。


近所なのにね。

同じ町にいるのに、こんなにタイミング合わないことあるんだって思った。


……うん。

ちょっとだけ、寂しかった。


あ。

ちょっとだけ、だからね。

ものすごく落ち込んでたとか、そういうのじゃないから。

普通に過ごしてたし、家の用事もあったし、友達とも少し出かけたし。


でも、夜になってスマホ見たときとか。

あ、今日も会わなかったな、って思う瞬間はあった。


……そっちは?


……あったんだ。


ふふ。

そっか。


なんか、それ聞けただけで、ちょっと許せる。


……なにをって?

連休中、会えなかったこと。


別に誰が悪いわけでもないんだけどさ。

それでも少しだけ、拗ねたくなるじゃん。

予定が合わないだけで、なんでこんなに遠く感じるんだろうって。


学校がある日は、会おうと思わなくても会えるのにね。

朝の道とか、教室の近くとか、帰り道とか。

当たり前みたいに顔を見られる。

それが休みになると、急に“会おう”って思わないと会えなくなる。


……それが、なんか変だった。


私たちって、ずっと近かったから。

近すぎて、会うことにわざわざ名前をつけたことなかったでしょ。

遊びに行こうとか、約束しようとか、そういうのがなくても。

気づいたらそこにいる感じだった。


でも連休中は、そうじゃなかった。

ちゃんと予定を合わせないと会えなくて。

合わせようとしても、少しずつずれて。

そうしたら、いつもの距離が急に頼りなく見えた。


……うん。

たぶん、私はそれが嫌だったんだと思う。


あ。

またそんな真面目な顔する。


やめてよ。

こっちが余計に恥ずかしくなる。


……でも、今日は言う。

言わないと、たぶんまたいつも通りになっちゃうから。


ねえ。

会えないだけで、こんなに長く感じるなんて、ちょっと予想外だった。


君がいなくても、普通に休みは過ぎると思ってた。

いや、実際過ぎたんだけど。

でも、ところどころに穴が空いてるみたいだった。


いつもなら、これ君に話すのにな、とか。

この店、君も好きそうだな、とか。

この変な看板見たら絶対笑うだろうな、とか。


そういうふうに、会ってないのに、ちょいちょい君が出てきた。


……なに。

笑っていいよ。

自分でもちょっと重いなって思ってるから。


……笑わないんだ。


……そっか。


じゃあ、もう少し言う。


私ね、連休中に一回だけ、駅前のほうまで行ったんだ。

特に用事ってほどでもなかったんだけど、家にいるのも飽きて。

そしたらさ、前に一緒に行った店の前を通って。

あ、ここで君があの変な味の飲み物頼んで微妙な顔してたなって思い出して、ひとりでちょっと笑った。


そのあと、なんか急に寂しくなった。


……うん。

自分でも忙しい感情だなって思ったよ。

笑った直後に、少し寂しくなるんだから。


でも、そういうものでしょ。

思い出って、楽しいだけじゃないんだよ。

その場に相手がいないと、ちょっとだけ足りなくなる。


……だから今日、こうして会えてよかった。


連休明けの学校なんて、正直ちょっとだるいと思ってたけど。

君の顔見たら、少し戻ってきた感じがした。


ああ、日常ってこれだったなって。


……今の、ちょっといいこと言った?


ふふ。

別に狙ってないし。


でも、ほんとにそう。

日常って、授業とかチャイムとか宿題だけじゃなくて。

こうして君と話すことも入ってたんだなって、少し離れてから気づいた。


……ねえ。

連休中、私に連絡しようとした?


……したの?


でも、送らなかった?


……なんで。


……用事がなかったから?


ばか。


用事なんて、なくてもいいじゃん。

幼馴染なんだから。

「暇」とか「今なにしてる」とか、そういうのでいいのに。


……まあ、私も送らなかったけど。


……うん。

お互い様。


なんかさ、変に考えちゃったんだよね。

休みの日に連絡したら、邪魔かな、とか。

相手にも予定あるよね、とか。

別に急ぎの用じゃないし、とか。


でも、本当はたぶん、ただちょっと照れただけ。


学校では普通に話せるのに、休みの日にわざわざ連絡するってなると、急に意味がつく気がして。

それが少し恥ずかしかった。


……わかる?


……そっか。

君もわかるんだ。


じゃあ、次からは変に遠慮しないことにしよっか。


用事がなくても送る。

「今、変な雲見た」とか。

「コンビニの新商品微妙だった」とか。

「暇」とか。

そのくらいでいい。


……うん。

それくらいの距離が、私たちらしい気がする。


でも、ちょっとだけ前とは違うかもね。


前は、そういうのを何も考えずにやってた。

今は、ちょっと考えてから、でも送ろうって思う。

それって面倒だけど、たぶん悪いことじゃない。


ちゃんと相手のことを意識してるってことだから。


……あ。

今、こっち見た。


……なに。


いや、言いたいことあるなら言えば。


……そっか。

君も、私のこと考えてたんだ。


……うん。


そっか。


……なにこれ。

ちょっと恥ずかしいんだけど。


でも、嬉しい。


すごく。


あー、もう。

こういう空気になるなら、もっと早く会っとけばよかった。

連休の最初にでも、無理やり予定合わせてさ。

ちょっと散歩でもすればよかった。


……え?

今からすればいい?


……今から?


いや、まあ、放課後だし。

まだ少し明るいし。

五月の夕方って、歩くにはちょうどいいし。


……いいよ。


少しだけ、遠回りして帰ろうか。


連休中に会えなかった分を取り戻す、とか言うと大げさだけど。

でも、少しはそういう時間があってもいい気がする。


……うん。

今日は、急いで帰らなくていい。


あ、でも。

ひとつだけ言っておく。


次の休みは、ちゃんと先に予定聞くから。

こっちから。

「暇?」って。


それで、もし暇なら、会って。

暇じゃなかったら、別の日を探して。

もう、なんとなくすれ違ったまま連休終わるのは嫌だから。


……うん。

君も聞いてよ。


私ばっかり誘うの、なんか悔しいし。


……ふふ。

約束ね。


よし。

じゃあ、帰ろ。


いつもの道じゃなくて、少しだけ遠回り。

途中でコンビニ寄ってもいいし。

前に行った、あの変な飲み物の店を見に行ってもいい。


……頼まないよ。

あれはほんとに微妙だったから。


でも、見たらまた笑えるでしょ。


そういうの、ちゃんと一緒にしたい。


会えなかった数日が長く感じた分、今日の帰り道は少し長めでいい。

歩きながら、くだらない話して。

たまに黙って。

また何か見つけて笑って。


そうやって、いつもの距離に戻っていけばいい。


……いや。

戻るだけじゃなくて、少し近くなってもいいかも。


……あ。


今のは聞かなかったことにして。


……無理?


……じゃあ、忘れなくてもいいけど、今は突っ込まないで。


ほら、行こ。


会えないだけで、こんなに長く感じるなんて思わなかった。

だから今日は、その分、少しだけ長く一緒にいよう。

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