四月より、少しだけ君に送れる言葉が増えた (片想い同級生/連絡が増える5月/友達以上未満)
朗読使用者への簡単な設定説明
この台本は、女性VTuberが「少し内気だけれど、相手への好意を隠しきれなくなってきた同級生」として読むシチュエーションボイスです。
相手とは四月に連絡先を交換し、五月に入ってから少しずつメッセージのやり取りが増えています。
まだ恋人ではありませんが、友達以上になりかけている空気を大切にしてください。
声の雰囲気は、明るすぎず、照れを含んだやわらかい口調。ところどころで小さく笑ったり、言いかけてやめたりすると自然です。
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……あ。
いた。
……うん。
おつかれさま。
今、帰るところ?
……そっか。
じゃあ、少しだけ一緒に歩いてもいい?
ありがとう。
ふふ、なんか最近、こうやって聞くのにも前より緊張しなくなった気がする。
四月だったら、たぶんもっと迷ってた。
話しかけようかな、やめようかなって、教室の入口あたりで三回くらい考えて。
結局、別の子と一緒に帰るふりして通り過ぎたりして。
……うん。
してたよ。
気づいてなかった?
よかった。
気づかれてたら、けっこう恥ずかしいから。
でも五月になって、少し変わった気がする。
教室でも前より話せるようになったし。
帰り道で偶然会ったら、こうして声をかけられるようになったし。
それに……連絡も。
……あ。
今、ちょっと反応した。
そう。
メッセージの話。
最近、前より送れるようになったなって思って。
最初は本当に、用事があるときだけだったでしょ。
明日の提出物って何だっけ、とか。
このプリント、どこまでやるんだっけ、とか。
そういう、理由がある連絡だけ。
でも最近は、少しだけ違う。
帰り道で見つけた変な看板の写真とか。
コンビニの新商品が微妙だった話とか。
雨降りそうだから傘持ってる? とか。
そういう、送らなくても困らない言葉を、送れるようになってきた。
……うん。
私にとっては、それ、けっこう大きいことなんだよ。
だって、用事がないのに連絡するって、少し勇気がいるじゃん。
相手の時間をもらうみたいで。
今送っていいかな、とか。
邪魔じゃないかな、とか。
返事来なかったらどうしよう、とか。
……考えすぎ?
ふふ。
自分でもそう思う。
でも、考えちゃうんだもん。
送信ボタンを押す前に、何回も文を読み直して。
これ重くないかな、とか。
絵文字つけたほうがやわらかいかな、とか。
でも絵文字多すぎても変かな、とか。
……あ、笑った。
笑うよね。
でも本当にそうなの。
君からしたら、たぶん何気ないメッセージなんだと思う。
「了解」とか、「それ見た」とか、「あとで行く」とか。
短い返事でも、私はけっこう見てる。
……いや、変な意味じゃなくて。
たとえば、いつもより返事が早いと、あ、今スマホ見てたんだなって思うし。
ちょっとだけ文章が長いと、今日は少し話す気分なのかなって思うし。
スタンプが来ると、なんか……ちょっと嬉しい。
……うん。
嬉しいよ。
だって、君が私に返してくれたものだから。
あ、でも、返事を急かしてるわけじゃないからね。
そこは本当に。
すぐ返してほしいとか、そういうのじゃなくて。
ただ、通知が来たときに、少しだけ胸が軽くなるというか。
あ、つながった、って思う。
……変かな。
……変じゃない?
そっか。
ならよかった。
ねえ。
五月って、少し関係が落ち着いてくる時期なのかもしれないね。
四月は、まだ全部が始まったばかりで。
誰と仲良くなれるのかも、どこまで踏み込んでいいのかも、よくわからなかった。
でも五月になると、少しずつ毎日の形ができてくる。
朝、誰に挨拶するか。
休み時間、誰と話すか。
放課後、誰に声をかけるか。
そして、夜、誰にメッセージを送りたいと思うか。
……あ。
今のは、ちょっとだけ言いすぎたかも。
でも、取り消さない。
今日は、たぶんそういう話をしたかったから。
……うん。
君に。
昨日の夜もね、送ろうか迷ったんだ。
「今日の月、きれいだったね」って。
でも、それだけ送るのって、なんか急に意味ありそうに見えるかなって思って。
結局、送れなかった。
……え?
送ってよかったのに?
……ほんと?
……そっか。
じゃあ、次は送るかも。
月がきれいだったら。
それか、空が変な色だったら。
それか、どうでもいいけど君に言いたいなって思うことがあったら。
……あ。
今の言い方、ちょっと素直すぎた?
いいよね。
五月だし。
四月より、少しだけ君に送れる言葉が増えた。
それって、たぶん悪いことじゃないと思うから。
……ねえ。
君はどう?
私からの連絡、増えたなって思ってた?
……思ってたんだ。
迷惑じゃなかった?
……よかった。
今、かなり安心した。
本当に。
だって、こっちは少しずつ勇気を出して送ってたから。
それを迷惑じゃないって言ってもらえるだけで、次の一言が少し送りやすくなる。
……あ。
そうだ。
今日、帰ったら送ってもいい?
……うん。
特に用事はないんだけど。
今日、一緒に帰れて楽しかったって。
ただ、それだけ。
……だめ?
……いいんだ。
じゃあ、送る。
たぶん、家に着いて少ししてから。
すぐ送ると、なんか待ってましたみたいで恥ずかしいから。
でも、遅すぎるとタイミング逃しそうだから。
ほどほどの時間に。
……ふふ。
なんでそんなに細かく説明してるんだろうね、私。
でも、そういうところまで考えちゃう相手なんだと思う。
君は。
……あ。
また言いすぎた。
でも、もういいや。
ねえ。
これからも、少しずつでいいから。
用事があるときだけじゃなくて、用事がないときも連絡していい?
変な写真を見つけたときとか。
眠れないほどじゃないけど、誰かと話したい夜とか。
今日の帰り道みたいに、ちょっと嬉しかったことを、ちゃんと残しておきたいときとか。
……うん。
ありがとう。
じゃあ、私からも言っておくね。
君も、送っていいから。
用事がなくても。
「今なにしてる」でも。
「これ見た?」でも。
「眠い」だけでも。
そういう、特別じゃない言葉が増えていくの、私はたぶん、すごく嬉しい。
……うん。
たぶんじゃなくて、嬉しい。
あ、もう分かれ道だね。
今日は、ここまでか。
……なんか、前より短く感じる。
同じ道なのにね。
話してる相手が違うと、時間の長さも変わるのかな。
……ふふ。
じゃあ、また明日。
それから、あとでメッセージ送るね。
内容はたぶん、短いよ。
「今日はありがとう」くらい。
でも、その短い言葉の中に、今日の帰り道とか、五月の風とか、君と話せてうれしかったこととか。
そういうの、少しだけ入ってると思って。
……うん。
じゃあ、またね。
……あの。
通知、見たら。
急がなくていいから、返してくれたら嬉しい。
その一言で、たぶん明日の朝が少し楽しみになるから。




