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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
5月に合わせた台本集

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サンドイッチ、ちょっとだけ崩れちゃった (天然系/ピクニック失敗/仲のいい同級生)

……あ、いたいた。

おーい、こっちこっち。


ごめんね、待った?

……ほんと?

ほんとにそんなに待ってない?


よかったあ。

ちょっとだけ遅れちゃったかと思った。

いや、ちょっとだけっていうか、時計見たらわりとぎりぎりだったから、途中から小走りで来たんだけど。

でも、お弁当持って走るのって、すごく危ないね。


中身がね。

揺れるの。


すごく。


……うん。

その顔、わかるよ。

今、ちょっと嫌な予感したでしょ。


えっとね。

先に言っておくね。


サンドイッチ、ちょっとだけ崩れちゃった。


……ちょっとだけ。

ほんとに、ちょっとだけだよ。

食べられないとかじゃないの。

ちゃんと味はたぶん同じ。

見た目が、少しだけ……自由になっただけ。


……ふふ。

なにそれって顔してる。


ほら、まず座ろ。

せっかく公園まで来たんだし。

この木陰、ちょうどいいね。

五月の公園って、なんかいいなあ。

桜のころより落ち着いてて、でもまだ夏ほど暑くなくて。

緑が濃くなってきて、風もやわらかくて。


あ、芝生、ちゃんと乾いてるかな。

……うん、大丈夫そう。

シート広げるね。


よいしょ。

……あっ。


あ、違う違う。

今のは転んでない。

ちょっと端っこ踏んだだけ。

セーフ。

ちゃんとセーフ。


……笑わないでよ。

まだ何も始まってないのに、もう不安そうな顔しないで。


今日はね、ちゃんと準備してきたの。

サンドイッチでしょ。

小さいおかずでしょ。

あと飲み物もあるし、デザートも少しだけ。

ほんとにピクニックっぽいやつ。


……まあ、サンドイッチはちょっとだけ崩れたけど。


でもね、聞いて。

朝はきれいだったの。

ほんとに。

パンもちゃんと切ったし、具もはみ出さないようにしたし、ラップで包んだときなんて、「私、もしかしてすごく上手では?」ってちょっと思ったくらい。


なのに、家を出る直前にバッグの中で少し斜めになって。

そのあと信号で走って。

さらに公園の入口で鳩が急にこっち来て、びっくりして一回止まって。

たぶん、そのへんで中のサンドイッチたちが会議を始めたんだと思う。


……うん。

「形を保つの、やめよう」って。


だから、開ける前に期待値をちょっとだけ下げてほしいです。


……いい?

開けるよ?


……じゃーん。


……。


……えっと。


思ったより、崩れてるね。


あはは……。

あははは……。


で、でも!

見て。

このへんはまだちゃんとしてる。

ほら、三角形に見える。

ちょっとだけ、角が旅に出てるけど。


こっちは……うん。

これはもう、サンドイッチというより、パンと具材の仲良しセットかな。


……笑ってる。

よかった。

引かれたらどうしようと思ってたから。


でもね、味は大丈夫だと思うの。

たまごと、ハムチーズと、ツナきゅうり。

あと、甘いのも作ってきた。

いちごとクリームのやつ。

……それが一番崩れやすかったんだけど。


あ、待って。

最初はたまごからがいいと思う。

比較的、形が残ってるから。


はい。

どうぞ。


……どう?

味、大丈夫?


……おいしい?


ほんとに?


よかったあ……。

ほんとに、よかったあ。


見た目がちょっと自由すぎたから、どうしようって思ってたの。

でも、おいしいなら勝ちだよね。

ピクニックは、たぶん雰囲気と味が大事だから。

形は……まあ、思い出担当ってことで。


……あ、いま口元に少しついてる。


じっとして。

取るね。


……ん。

取れた。


……え?

近い?


あ、ごめん。

つい。

でも、ついてたから。

たまごが。

そのまま話してたら、ちょっと気になっちゃって。


……あはは。

なんか、こういうのもピクニックっぽいね。

外で食べると、ちょっとこぼしたり、風で紙ナプキン飛びそうになったり、うまくいかないことも多いのに。

それが逆に楽しいっていうか。


ほら、風。

気持ちいい。


木の葉が揺れる音、いいね。

五月の風って、なんでこんなにやさしいんだろう。

眠くなるくらいなのに、ちゃんと外にいたくなる。

春より少し元気で、夏よりまだやわらかい感じ。


……ん。

こういう日、好き。


君とこうしてると、さらに好きかも。


……あ。

今のは、普通に出ちゃった。


でも、いいよね。

だって本当だし。


一人で公園に来てサンドイッチ食べても、たぶんそれはそれで楽しいと思うの。

でも、崩れちゃったサンドイッチを見て一緒に笑ってくれる人がいると、失敗まで楽しくなるんだなって思った。


……うん。

今日、来てくれてありがとう。


あ、ハムチーズも食べて。

これは比較的安全。

たぶん。

……いや、ちょっとチーズが横から出てるけど、まだ大丈夫。


はい。


……おいしい?


ふふ。

その顔、ほんとにおいしいときの顔だ。

よかった。


なんか、食べてもらってるところ見るの、ちょっと照れるね。

自分で作ってきたものを、目の前で食べてもらうのって、思ったよりどきどきする。

「大丈夫かな」って気持ちもあるけど、それだけじゃなくて。

なんていうか、私の朝の時間とか、台所でばたばたしてた感じとか、そういうのまで一緒に渡してる気がするから。


……重い?


……重くない?


よかった。

君、そういうところでちゃんと受け取ってくれるから、話しやすい。


あ。

デザートもあるよ。

問題の、いちごクリーム。


……うん。

問題の。


一応、味見したときはおいしかったの。

ただ、クリームがね。

五月の陽気に少し浮かれてしまったというか。

パンの間から、ちょっとだけ出たがってるというか。


……見る?


じゃあ、開けるね。


……。


これは……。

えっと。

スイーツサンドだったもの、かな。


……あははっ。

もう笑うしかないよね、これ。


でも、食べられるよ。

たぶんすごく食べにくいだけで。


あ、待って。

それは危ない。

クリーム落ちる。

こっち持って。

うん、そう。

下から支えて。


……あ、指についた。


ナプキン、ナプキン。

はい、これ。


……なんか、ごめんね。

私のサンドイッチ、ちょっと手がかかるね。


でも、君が困りながら食べてるの、ちょっとだけ面白い。

……ごめん。

でもかわいい。


あ、怒った?


怒ってない?

よかった。


ねえ。

次はもっとちゃんと作るね。

崩れないように、包み方も調べるし、バッグの中で固定する方法も考えるし。

あと、走らない。

鳩にも驚かない。

……それは無理かも。

鳩、急に来るとびっくりするもん。


でも、次も作ってきてもいい?


……いいの?


ほんと?


やった。

じゃあ、次はもっと上手にする。

でも、今日みたいにちょっと失敗しても、また笑ってくれたらうれしい。


……だってさ。

完璧なお弁当も憧れるけど。

こういう、少し崩れたサンドイッチを一緒に食べて、変な形だねって笑う時間も、私はけっこう好きだから。


ううん。

かなり好き。


五月の風が吹いてて。

木陰が涼しくて。

手に少しクリームがついて。

それを見て君が困った顔をして。

私が笑って。


そういう何でもない時間って、たぶんあとから思い出したとき、いちばんやさしく残る気がする。


……ね。

今日は来てくれてありがとう。


サンドイッチ、ちょっとだけ崩れちゃったけど。

君と食べたら、ちゃんと楽しいピクニックになった。


だから、残りも一緒に食べよ。

大丈夫。

次のは、たぶんまだ形があるから。


……たぶん、だけど。

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