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女性VTuber向け 朗読しやすい3分シチュエーションボイス台本集 〜季節イベント対応〜(無料・使用許諾不要)  作者: 常陸之介寛浩 本能寺から始める信長との天下統一
4月に合わせた台本集

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第11話 やっと、先輩と同じ春です (後輩系/同じ学校/前から慕っている後輩)

……あ。

いた。


せ、先輩っ。

おはようございます!


……えへへ。

そんなにびっくりしました?

ちょっとだけ遠くから見つけたんですけど、声かけるタイミングずっと探してて。

でもやっぱり、ちゃんと最初に言いたくて。

だから、走ってきちゃいました。


……はい。

改めて、おはようございます。

それから――

入学しました。

やっとです。

やっと、先輩と同じ学校です。


……ふふ。

その顔、ちょっと笑ってますよね。

でも、笑うのも仕方ないです。

私、たぶん今、かなりうれしい顔してると思うので。


だって、本当にうれしいんです。

ずっと想像してたんですよ。

もし先輩と同じ学校になれたら、朝、校門の近くで会えるかなとか。

廊下ですれ違ったら、ちゃんと声かけられるかなとか。

休み時間に見かけたら、どのくらい近づいていいのかなとか。


そんなことばっかり考えてたら、入学前なのにもう何回も学校に通った気分になってて。

実際に制服着てここに立ってるの、なんだかまだ少し夢みたいです。


……え?

緊張してないのか、ですか?


してます。

すごく。

今だって、心臓ばくばくしてます。

ちゃんと普通に話せてるつもりなんですけど、たぶんちょっと早口です。

でも、その緊張よりうれしいのが勝ってるから、たぶん顔がこんななんだと思います。


……あ。

やっぱりちょっと赤いですか?

うう……。

そうだろうなって思ってました。

朝からずっと落ち着かなくて、鏡の前でも何回も深呼吸したんですけど、結局こうなっちゃいました。


だって。

同じ学校って、やっぱり特別です。


今までだって会えなくはなかったけど、こうして“同じ場所にいるのが普通”になるのって、全然違うでしょう?

先輩のいる校舎に入って、同じチャイムを聞いて、同じ空気の中で一日を過ごすんだって思うと……。

なんかもう、それだけで春がすごくきらきらして見えるんです。


……あ、でも。

私だけこんなにはしゃいでたら、ちょっと恥ずかしいですね。


先輩はどうですか?

新学期、もう慣れました?


……そっか。

先輩でも、やっぱり少しは疲れるんですね。

なんだかちょっと安心しました。

ううん、安心っていうのも変かな。

でも、先輩ってちゃんとしてるから、こういう始まりの季節でもあまり揺れない人なのかなって、少し思ってたんです。


……ふふ。

そんなことないんですね。


よかった。

じゃあ、私が昨日ちゃんと眠れなかったのも、少しだけ許される気がします。

新しい教室とか、新しいクラスメイトとか。

ちゃんと馴染めるかな、とか。

変に浮いたりしないかな、とか。

考え始めたら止まらなくて。


でも、その中にひとつだけ、すごくはっきりした楽しみがあったんです。

それが、先輩と同じ学校に通えること。


だから今日、こうして会えたの、すごくうれしいです。

ちゃんと実在してた、って思って。

……あ。

変な言い方でしたね。

でもほんとなんです。

春って、楽しみなことほどふわふわして、まだ本当じゃないみたいに感じるから。

こうして実際に声を聞くまで、なんだか少し信じきれてなくて。


……今は、ちゃんと本当です。

先輩がここにいて、私もここにいて。

同じ朝の中にいる。


それだけで、入学してよかったなって思えます。


……あ。

もしかして、ちょっと重いですか、今の。


うう……。

自分でも少しだけ思いました。

でも、今日くらいはいいかなって。

だって、こういうことって、最初の日じゃないと言いにくいし。


……え?

別に重くない?


……ほんとですか?


えへへ。

よかったあ……。


あの、先輩。

もし迷惑じゃなかったらでいいんですけど。

これから、学校の中で会ったとき、ちゃんと声かけてもいいですか?


もちろん、先輩が忙しそうなときとか、友達と一緒のときは遠慮します。

空気はちゃんと読みます。

……たぶん。

なるべく。

がんばって。


でも、廊下ですれ違ったときとか。

お昼休みに少しだけ話せそうなときとか。

そういうときに「先輩」って呼べたら、たぶん私、すごくうれしいので。


……いいんですか?


ほんとに?


やった……。

じゃあ、遠くから見つけても、ちゃんと呼びます。

聞こえないくらい小さい声にはしません。

でも大声すぎても恥ずかしいから、そのへんは調整します。


……ふふ。

なんですか、その顔。

そんなにおかしかったですか?


でも、先輩が笑ってくれると、ちょっと緊張ほどけます。

さっきまで、もっと肩に力入ってたんです。

制服も変じゃないかな、とか、髪、変にはねてないかな、とか、いろいろ気にしてたんですけど。

今はもう、まあいっかって少し思えてます。


……あ。

そういえば。

リボン、曲がってませんか?

朝ちゃんと結んだつもりなんですけど、走ってきたからちょっと不安で。


……え。

直してくれるんですか?


あ、ありがとうございます。

じゃ、じゃあ、お願いします。


……。


あの。

近い、ですね。


……すみません。

自分で聞いたのに、変なこと言いました。

でも、その、先輩の指がちょっとだけリボンに触れる感じとか、制服の襟が少し揺れる感じとか。

思ってたより、ちゃんと意識しちゃって。


……ん。

ありがとうございます。

きれいになりました。


……あ。

なんか、だめです。

今のでまた少し緊張してきました。

でも、嫌じゃないです。

むしろちょっと、うれしいです。

春って、こういうちょっとしたことで、急に胸がきゅってなるからずるいですよね。


ねえ、先輩。

この学校、きっとまだまだ知らないことだらけです。

校舎も広いし、先輩後輩の距離感とか、授業の空気とか、いろんなこと。

きっと最初はうまくいかないこともあります。

迷うし、緊張するし、帰ったら疲れて寝ちゃう日もあると思います。


でも。

その中で、先輩がいるってだけで、私、結構がんばれそうです。


……はい。

単純かもしれないですけど。

でも、本当にそうなんです。


朝会えたら、その日ちょっと元気になれるし。

廊下ですれ違えたら、それだけで少しうれしいし。

たぶん、そういう小さいことをいっぱい集めながら、この学校に慣れていくんだと思います。


だから、これからよろしくお願いします。

後輩として。

……それから、先輩のことをちゃんと慕ってる一人として。


あ。

今、言いすぎた気がする。

言いすぎましたよね。

うわあ……。

春ってだめです。

思ってるより口が素直になっちゃう。


……でも、もう言っちゃったので取り消しません。

今日の私は、ちょっとだけ勇気があるので。


ふふ。

そのかわり、先輩も覚えておいてくださいね。

今年の春から、私、ちゃんとこの学校にいます。

同じ校舎にいて、同じ空の下で授業受けてて。

見つけたら、声かけてくれたらうれしいです。


……え?

先輩からも、ですか?


ほんとに?


……もう。

それ、ずるいです。

うれしいに決まってるじゃないですか。


じゃあ約束です。

見かけたら、ちゃんと声かけること。

私もそうします。

逃げたりしません。

……たぶん、ちょっと照れて目はそらすかもしれないですけど。


あ。

そろそろ行かないと。

最初の日から遅れるのはさすがにだめですよね。


でも、行く前に、もう一回だけ。


先輩。

入学できて、本当によかったです。

やっと、先輩と同じ春です。


……えへへ。

じゃあ、いってきます。

今日からちゃんと、先輩の後輩です。


だからこれから、少しずつでも、同じ学校の思い出を増やしていけたらうれしいです。


また、校内で会えますように。

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