8話 急襲
「街に戻る前に立ち寄りたい場所があるの」
ハルカの強い願いで、ガーゴイルに殺されたドラゴンのお墓を作る為に俺たちは川に来ていた。
とはいえドラゴンは塵のように消えてしまっている。
でも鞍や武具などは残っていたので、これらを埋めてお墓を作った。
「ベルっていうの、この子」
ハルカが埋めた地面の上に剣を刺す。
「安らかに眠ってね、ベル」
手を合わせながら体を震わせているハルカ、涙を流しているように見える。
(ハルカは優しい人だ)
俺はシンプルにそう感じた。
× × × ×
「手伝ってくれてありがとう、スネタ」
「いや、俺にできる事なんてあれくらいだから」
俺とハルカは街へ向かう道を並んで歩き語り合っている。
「ベルとは3年間一緒に戦ったの……家族同然だったわ。私がもっとしっかりしていればこんな事にならなかったのに、本当に悔しい」
「戦争の事はよくわからないけど、ベルは最後凄く穏やかな表情だったよ」
「そっか……苦しまずに逝ったのね、安心したよ。ベルの仇は私が必ず取る、魔王軍を全滅させてみせるんだ」
「ハルカはプロだね」
「プロ?」
そうだよな、俺たちの世界の言い回し通じる訳ないよな。
「責任感のある能力の高い戦士って所かな」
「私より凄い戦士なんていっぱいいるよ。それならプロっていうのはスネタみたいな人をいうんでしょ?」
「俺はまだまだプロといえるほどのスキルは持ってないよ。まだ人月だと0.6くらいの仕事こなせていない。俺は専門学校の学費を教育ローンで自分の稼ぎで払っているんだ。親には普通の大学行けって言われたんだけど、一日でも早くCGアニメーター仕事をしたくて反対を押し切ってこの道に進んだんだ、だから早く1人前になりたいんだ」
しまった……こんな事はなされてもハルカも困るよな。
熱くなり過ぎた。
「ごめんごめん、つまらない話しちゃった。何を言っているのかわからないよね」
俺は頭をかきながら苦笑した。
「そんな事ないよ!全然そんな事ない!スネタの事色々知れて嬉しいよ、もっとスネタの事知りたいな……って思うし。うん思ってしまうし」
「そう?」
「他にも聞きたいな、例えばなんでアニメーターになりたいって思った」
「そうだね……きっかけは」
俺がアニメーターになりたいと思ったきっかけを思い出そうと空を見上げる。
「ん?」
上空から急接近してくる何かに俺は気付いた。
そして目の前にケープを着た長身の人物が降り立つ。
(え?誰だ?)
背中にある大剣を抜きながら一回転し勢いをつけて、俺の首を狙い斬りかかって来た。
(あぁ、なんてカーブを描いた美しい剣さばき……アニメーションの参考になるな)
俺はその一連の動きに感動を覚えた。
(こっちの角度から見て見たいな)
そう思い、俺は素早く剣をかわす。
「かわした!?生意気ですわね」
大剣を持った長身の人物が言う。
この声、女の子か?
と思っていると間髪いれずに横の草陰から同じようなケープを着て槍を持った小柄人物が斬りかかってくる。
(なんとも美しい直線的な動き……アニメーションの参考になるな。横から見てみたい)
と、俺はまた素早くかわす。
「手練れか、面白い」
槍を持った小柄の人物が言う。
この声、こっちも女の子か?
女の子と思わる二人が体制を立て直し俺に刃を向けてくる。
「2回もかわしたなんて……これは偶然ではないようですわね」
「なかなかの手練れか、愉快だ」
(しまった!見とれている場合ではない。録画しておけば良かった)
俺は慌ててスマホを取り出す。
「すみません!もう一度斬りかかってきてもらっていいですか?」
俺はスマホを構えながら頼んでみた。
「もう一度斬りかかってこい?……完全になめ腐っているわね……一太刀で殺さず八つ裂きにして差し上げますわ!さっき死ななかった事を地獄で後悔なさい!」
体制を立て直した長身の女子が大剣を振り上げ斬りかかってくる!
同時に槍を持った小柄な女子も再び斬りかかってくる!
(いや同時は困る)
「同時だと撮影し辛いので、順番にお願いします」
「やかましいですわぁ!」
俺の静止を聞かずに二人が斬りかかってくる!
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