6話 戦士の名はハルカ
金髪の美少女戦士を寝袋に入れた状態で、虎之助さんと俺が会議室に運び入れ並べたイスに横たわらせた。
「とりあえず、目を覚ますまではここで休ませておこう」
「虎之助さん、急ぎしい時にすみません」
「気にするな」
そう言って虎之助さんは自席に戻って仕事の続きを始めた。
先に逃げ出した和彦が、虎之助たちに助けを求めてくれたお陰で何とかスタジオに運ぶ事ができた。
(本当に良かった)
俺は安堵した。
そして興味本位で、銃を手に取ってみる。
「単発銃だ……結構重い。火縄銃とかこれくらいだったのな。重さの表現の勉強になる……」
俺が銃を構えたりしていると、
「それは、ブルークリスタルのエネルギーを使った銃術よ」
美少女戦士が目を覚ましたようで、声をかけてきた。
「すみません、勝手に触ってしまって」
「薄っすらとした記憶だけど、ガーゴイルと戦ってくれた人というのは覚えているよ。命を助けてくれた事、感謝します」
美少女戦士がゆっくりと体を起こし頭を下げた。
「俺は何もやってないです、あなたのドラゴンの活躍のお陰です。それより怪我は大丈夫ですか?無理ない方が良いです、横になっていてください」
「ありがとう。ポーションがあるので大丈夫よ」
そう言って鞄からポーションを取り出し美少女戦士が飲み始めた。
(ポーションはあるのか……回復魔法とかもあるのかな?)
知らない事があまりにも多い、聞きたい事が多すぎる。困った。
「私の名はハルカ。ガドルフ傭兵団、飛行ドラゴン隊隊長よ」
「俺はサンダーストラックアニメーションスタジオ所属のアニメーター鳥居 須音太といいます。あっ、すみません名刺すぐ持ってきます!」
俺は慌てて会議室から出て、机にある名刺を持って再び戻った。
× × × ×
「見たことのない文字……あなたたちはウーリュウ国の者ではないよね?それにサンダーストラックアニメーションスタジオなんて国も傭兵団も聞いた事ない……いったいどこから来たの?」
名刺を見ながらハルカが質問をしてきた。
「ハルカさんが信じてもらえないかもしれませんが」
「ハルカでいいよ。それに敬語はやめて」
「え?」
「スネタは私の命の恩人だよ、もっと親しくなりたいの」
「あ……うん、じゃあ。ハルカが信じてくれるかわからないけど……」
という前置きをした上で、俺たちが異世界からやってきた事を説明した。
× × × ×
「このパソコンという電力を使った機械……って言い方ではダメか、道具だね。この道具を使ってアニメーションを制作する会社なんだ、ここは」
虎之助さんたちと簡単に挨拶をしてもらった後、
俺は自分たちの話に説得力を増す為に、ハルカをスタジオの中を案内した。
「こんな技術見た事も聞いた事もないよ……」
「異世界から来た話、信じてもらえるかな?」
「スネタが嘘つくと思えない、信じるよ」
ハルカが信じてくれたようで、笑顔を見せてくれた。
「地底の巨人族の力を借りてもこんな道具作れない」
「地底の巨人族?」
また知らない情報が出てきてしまった。
俺が不思議そうな顔をしていた事に気付いたのであろう、ハルカが説明をしてくれた。
「この銃に使われているブルークリスタルは地底の巨人族の英知で作られたものなの。このブルークリスタルがエネルギー源となって、弾や剣の強度、破壊力が増し魔物の重装甲で覆われた体も貫通できるほどの威力が出るようになったんだ。この力がなければきっと人類はもう滅んでいたかもしれない。今はなくてはならない技術なの」
(魔法みたいな物だろうか、逆に俺たちのいた世界では説明がつかない不思議な力がこの世界にあるんだな)
「でも、スネタたちが別の世界から来たっていう話、信じるよ。スネタが嘘つく人じゃないって目を見ればわかるし」
「良かった信じてもらえて」
時間が12時を超えていたので、皆で昼食をとる事にした。
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