↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/47

5話 戦闘

「どうしたら元の世界に戻れるんだろうな……」

水の確保の為、川を探しながら歩く俺はボソっと呟く。


「俺は彼女が心配しているだろうから、何としてでも元の世界に戻りたいよ」

一緒に歩く和彦が不思議な事を言い出した。


「え?今なんて?」

「何が?」

「彼女いたの?」

「あぁ」


(なんということだ)

流石に俺も驚きを隠せなかった。


(俺は1人月分の仕事をできるスキルを身に着けるまで……つまり戦力になるアニメーターになるまでは彼女を作らない!と決めている。彼女と遊ぶ時間があったらアニメーションの勉強をしたいからだ。彼女がいる和彦が上手くなる訳がない……どれくらい付き合っているのかわからないがかなりのロスをしていると思われる)


俺は優しく和彦の肩を「ポンポン」と、叩いた。

「大丈夫だ、3倍努力すれば(スキルは)取り戻せるよ」

「何だよ、急に。何の話だよ?」


「時間もったいないし、バラバラで探そう。30分後にスタジオでまた集合しよう」

と、俺は提案した。

そして二手に分かれる事にした。


×   ×   ×   ×


しばらく歩き続けると、俺は川のせせらぎの音に気付く。

「水の流れる音だ……」

俺は走って音のする方へ向かう。


少し走ると川が現れる。

「やった、川だ」


俺は空のペットボトルに水を入れてリュックサックにしまった。


そして達成感から横になり空を見上げる。

川のせせらぎと、小鳥の鳴き声が耳に入ってくる。


(気持ちいいな、昨日の夜の戦が嘘みたいな静けさだ)

などと考えていた、次の瞬間!


俺の真上にドラゴンに乗った戦士?と3体のガーゴイルが高速で通過する。

「おおぉ!」

こんな光景見た事がない、俺は驚いた。


ドラゴンに乗った戦士が単発銃(だろうか?)でガーゴイルを1体撃ち殺す!

「(魔物語)ぐわぁー!」

素早く次の弾を装填し、別のガーゴイルに狙いを定める。


「これは凄い。撮影しよう」

俺はスマホを取り出し戦いの撮影を始めた。

(戦闘シーンの最高の参考になる、こんなリアルな資料元の世界では絶対に撮れないぞ)

俺は興奮しながら撮影を続けた。

スマホが使える事に感謝だ。


(でもなんだろう、あの銃?どういう仕組みになっているんだ)

青いクリスタルのような鉱石が根元に埋め込まれているように見える。

そのクリスタルが青く光ると、1発弾が撃てるような仕組みのようだ。

「魔法?かな……炎のような銃弾が発射されている」



2体のガーゴイルが同時に攻撃を仕掛けてきた。

「挟み撃ちだ!危ない!」

俺は思わず声が出てしまった。


戦士が乗っているドラゴンが態勢を変え真上に上昇し攻撃をかわした!

「ドラゴンってこんな感じで飛ぶのか……凄い、流石に興奮する」


俺は、興奮しながら撮影を続けていた。

そしてドラゴンに乗った戦士が青く光る剣を抜き、ガーゴイルを討ち取る。


「やった!もう1体だ、頑張れ人間の戦士!」


そして戦士が最後のガーゴイルを斬る!

「よし!勝ったぞ!……あっ!!」

しかし、落ちていくガーゴイルが剣を取り出しドラゴンに投げつけドラゴンの額に刺さる!


「ガオオオオゥー!!」

悲痛な声を上げドラゴンがバランスを崩してしまい、乗っていた戦士がドラゴンから振り落とされる。

戦士とドラゴンが『バシャァーン』と大きな音を立て川へ落下してしまった。


(大丈夫だろうか)

俺は慌てて戦士が落ちた所を見た。


川の中で倒れたまま起き上がって来ない。

川が浅い、おそらくかなり強く頭を打ち気を失っているようだ。


(このままでは息ができずに死んでしまうぞ)

俺は戦士の両腕を掴み、引きずりながら川から助け出した。


×   ×   ×   ×


俺は戦士が生きているか確認する為、兜を外す。

「っ!女の子!」


年は18歳くらいだろうか、美しい金髪、長いまつげに透明感のある肌、目を閉じていてもその美しさが伝わってくる美少女だ。


(何て事だ)


俺は息をしている事を確認した後、

ゆっくりとそして丁寧に美少女戦士を地面に下ろし人生で一番高速の動きで、3mほど離れる。


(気を失っている所を襲おうとしている変態と思われたらマズイ……こんなご時世だ、裁判にでもなったら負けるぞ)


美少女戦士はまだ気を失ったままのようだ。

ある意味助かった。


(しかし、ずっとこのままにしておく訳にもいかないぞ……)


俺は腕を組みながら考える。

まずはスタジオまで連れて帰るしかないか……怪我もしていると思うし。


でも、見ず知らずの男に運ばれるのもきっと嫌だろうな。

スタジオに戻って虎之助さんたちに助けを求めた方が良いか。


あっ、でもこのまま気を失ったまま放置するのは、それはそれで危ないか。

もしかするとまだ魔物たちがこの近くに潜んでいるかもしれないし……。


「スネタ!」

俺が諸々悩んでいる時に。和彦がこちらに向かって走ってくる。


「銃声見たいな音がしたけど、何があったのか?」

「あぁ……俺は大丈夫なんだけど、この女の子が」

「誰だ?この世界の人間みたいだな」

「話すと長くなるんだけどさ……」


と、今度は「バシャ、バシャ」と川を歩いて渡ってくる音がする。


俺が振り向くと、そこには先ほどまで美少女戦士と戦っていたガーゴイルが短剣を握りしめて近づいてきたいるではないか。

「(魔物語)ハルカ……まだ生きているようだな。だがここで撃滅する!!これで魔王ヒサミガー様のお喜びになられる」


(ガーゴイルがしゃべった……)

魔物たちは組織的な攻撃を仕掛けてきているのだ、言葉が存在するのは当然か。


「何を言ったんだ?全然わからない、何語だよあれ」

「え?和彦は聞き取れなかったのか?」

「スネタわかるのか?何語か全くわからなかったぞ」


どういう事だろうか?

もしやこれはユニークスキルという奴か。

だとすると、こちらの言葉は魔物に通じるのか?

(ちょっと試してみるか)


「おいガーゴイル!どやってんじゃねーぞ!何がここで撃滅する!っだ」

割と罵る感じで言ってみた。

通じるだろうか?


「(魔物語)貴様、なぜ魔物語が話せる?いったい何者だ!」


(通じた……)

つまり俺の言葉は魔物語に変換されているという事だ。

これは便利なスキルだ。


しかも今の反応を見ると、人間が魔物語を話すのは特殊な事らしい。

なかなか面白いスキルを授かったものだ。



「(魔物語)傭兵団の者ではなさそうだが、我が魔王軍にとっては脅威になりかねん、ここで撃滅する!」


「おいスネタ、なんかアイツ怒ってるぞ!何言ったんだ!いい加減にしろよ、バカバカバカ!」

和彦が俺の背後に隠れながら愚痴を言っている。

「確かに怒らせてしまったのは間違いない、割と罵る感じで言ってしまったから」

「スネタ!なんて事してんだよ」


よし、落ち着け。

慌てた所でメリットがない。


「締め切り前と同じだ。ピンチな時ほど画期的なアイデアが出る可能性が高い」

「何言ってんだよスネタ」


いきり立ったガーゴイルだが、剣を構えたままこちらに近寄ってこない。

(一応、魔物語を話す人間という事で警戒はしているようだ)


ガーゴイルは剣を持っているが重症のようだ、左腕は動かない、骨折しているのだろう。

川を渡って歩いているので足元が取られ動きも遅い、飛び道具があれば勝負になりそうだ。


「おいおいスネタ……ガーゴイルだろあれ、魔物だろ?……逃げようぜ、殺されるぞ」

完全に怯え切っている和彦が言う。


「ピンチの時に、いきなり逃げると選択するのは格好悪いぞ。ピンチなのはわかるがまだ逃げる段階じゃないよ。もっと考えろよ和彦」

「何言ってんだ、逃げるが勝ちに決まってる」

「和彦よく見てみろ、あのガーゴイルの翼はもげて重傷だ。飛べないガーゴイルなんて、Ctrl+Zの使えないパソコンと同じくらい使えない。機動力がないのなら倒せるかもしれない。何か、武器になるもの持ってないないか?」

「持ってるわけないだろ、武器なんて」


俺も当然、武器など持っていないが……武器になるかはわからないが、

今、持っているのはスマホと川の水の入れた2リットルのペットボトルだけだ。


俺は美少女戦士が乗っていたドラゴンの近くに長身銃が落ちている事に気付く。

そして、ドラゴンが小さく呼吸しているように見えた。

(まだ生きている……なるほど)


この時点で俺はプランA、プランBは思いついた。

確実性を考えてプランAでいこう。


「和彦、俺があのガーゴイルの注意を払う。その間にお前があの銃を取って、攻撃してくれ」

「はぁぁぁ!?正気じゃないぞ、スネタァ!無理に決まってる」

「無理かもしれないけど、無茶ではない」

「スネタ、その名言は逆だ!」


「(魔物語)グタグタうるさいぞ!クズ共がぁぁぁぁぁー!!!」


怒りの込められた大声は波動のようにこちらにビリビリと伝わってくる。

激オコだ……。


ついにガーゴイルがこちらに向かって歩き出した。


「ひぃ!俺、虎之助さんたちに助け求めてくるからぁ!」

和彦が一人で逃げ出してしまう!

「ちょっと待ってって」


仕事ができても人間的にダメな奴だったか、和彦は。

負傷した女の子を置いて逃げるとかないぞ。人としてない。


美少女戦士がうっすら目が開く。

ガーゴイルの叫び声で意識が戻ったようだ。

だが、戦える状態にはとても見えない。


(今、この子を守れるのは俺だけだ)


和彦と一緒に攻撃するプランAはなしだ。


ならばプランBだ。


俺はリュックサックから、素早く2リットルのペットボトルを2本取り出し、両刀のように構える。


「やあやあ我こそは、サンダーストラックアニメーションスタジオ所属!アニメーターのスネタだ!俺は入社半年ほどだが、3徹したって納期を死守した事のある責任感あるアニメーターだ!倒れる時は納期が終わった後だけ!そう今はまだ納期前だ、だから俺が倒れる事など何があってもありえないのだ!」


俺はできる限り挑発した。

もっとこっちに来い、注目しろ。


ガーゴイルは、怒りながら叫ぶ。

「(魔物語)そんな物で俺様と戦うつもりか?何かあるかと警戒したが特に何もないようだな!ハルカ共々殺してやる!」


俺だけに集中している狙い通りだ。

そして歩く速度も上がりドラゴンを追い越した!


俺は叫んだ。


「今だ、ドラゴン!」


次の瞬間!

倒れていたドラゴンが起き上がり、背後からガーゴイルに襲い掛かる!

「(魔物語)なにっ!」


口を大きく開け噛み殺そうと襲い掛かるドラゴン!

何とか剣でドラゴンの牙をガードする!

「(魔物語)なめるな、人間に飼いならされた落ちぶれた竜族がぁ」

ガーゴイルも手練れ、一撃で倒せないのも俺の予想通りだ。


(今しかない!)

俺は、持っていたペットボトル、全ての力を入れてガーゴイルの顔面目がけて2本投げつける!

「どおぉぉりゃー!!!」

グルグル回転しながらかなりのスピードで飛んでいく2リットルのペットボトル!

ドラゴンの攻撃で両手がふさがっているガーゴイル、避ける事ができず2本とも顔面に直撃!


「ぐはぁ!」

白目を剥くガーゴイル。


ドラゴンが最後の力をふり絞り、爪でガーゴイル斬り捨てる!

「ぐわぁぁぁぁー!!」

ガーゴイルは絶命したようで、塵になって消えていく。


「ドラゴンありがとう!」


俺の言葉に笑みを浮かべるがその場に『ドシーン』と、倒れる。


そしてガーゴイルと同じように塵になって消えていく。

だがその表情を穏やかに微笑んでいるように見える、主人を守り切った事に満足しているように。


「そ……な……たは……」

美少女戦士が、小さく呟く。

そして、また気を失ってしまう。


「あっ……あの起きれます?」

返事はない。また気を失ってしまったようだ。


このままにしてはおけない。

やはりスタジオに連れていかないと駄目だ。





「面白かった」「スネタを応援したい」と思われた方

下にある☆☆☆☆☆を押して、評価いただけたら嬉しいです。


またブックマークもいただけると、とても励みになります

よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。