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44話 勝利、そしてサボテンキツネ完成!

「ガガルジアは討ち死にした」

この事で攻め込んできていた魔王軍本隊は撤退しウーリュウ国軍も王都に帰還した。

ガルドフ団長も無事だった。


魔王軍幹部のガガルジアを討ち取った事でハルカの名も上がり、王都は歓喜で溢れていた。

(これでしばらくは魔王軍の進撃もないだろう……まずは一安心だ)


ただ俺たちは、のんびりしている暇などない。

魔王軍に荒らされてしまったスタジオの整理を早速始めていた。


「ハルカはこんな事しないで良いだよ。戦で疲れているだろうし休んでよ」

ハルカは王へ報告を済ませるとすぐにスタジオにも戻ってきて、片付けを手伝ってくれているのだ。


「大丈夫、大丈夫、結構元気だよ。それに私だって関係者だもん、手伝うよ」

ハルカがそう言って、テキパキと清掃を続ける。


「ハルカはもう国の英雄だしこんな事を手伝ってもらうのは、ちょっと気が引けるよ」

街の大騒ぎを見てもガガルジアを倒す事が凄い事だというのは俺でもわかっている。


「何言ってるの?ガガルジアを討てたのはスネタのお陰だもん。もしもう一日戻りが遅れていたら、城も落とされ皆殺されていたかもしれない……スネタが情報を知らせてくれて更に時間を稼いでくれたお陰だよ」

ハルカが顔を近づけて熱く話す。


「でもきっとスネタなら、私がいなくても何とかしていたんじゃないかな?私はそう思っているよ。スネタは凄い人だって王様にも伝えておいたから」


もう少しでスタジオ内の片付け終わる頃、俺はガガルジアが言っていた事を思い出した。



「ガガルジアが言っていたんだけど、ブルークリスタルの結晶がこのスタジオの地下にあるって。ブルークリスタルの結晶って何?」

「ブルークリスタルの結晶?加工される前の段階だね、私も見たことはないよ」

貴重な物というのは間違いないらしい。

「前に地下に行ってみたんだけど、行き止まりだったんだ……どういう事だろう」

「せっかくだし、私も行ってみていいかな?」

「あぁ、もちろん。掃除が終わったら一緒に行こう」


×   ×   ×   ×

「やっぱり行き止まりだ」

俺とハルカは階段を下りてみたがやはり岩でふさがれている。

転移した当日、調べた時と同じ状態だ。

念のため、触ってみたり叩いてみたりもしたが変化は見られない。


「うーん、特に何も起きないな」

「叩いた感じでも、空洞があるようには聞こえないね……もしかすると魔物にはブルークリスタルの結晶を感知する能力か何かがあるのかもしれないけど……ごめんこれ以上はわからないよ」

ハルカも首を傾げる。


「でもガガルジアが言っている事は説得力があるよ。スタジオにある電子機器を動かすには電力が必要なんだ、この世界でそのエネルギーを供給できるものは巨人族が作り出す未知の動力源だけだと思う」

「それの動力源がブルースクリスタルの結晶って事かな?」

「どういう事かはわからないけど、俺たちがこの世界に転移してきた事と関係はありそうだとは思う」


ハルカと俺が考え込んでいると、

「スネター、パソコン立ち上がったぞ。不備ないか確認頼むよー」

虎之助さんがスタジオから俺を呼んでいる声がする。


「わかりました!すぐに戻ります」


(また落ち着いたら調べるか……)

俺とハルカは階段を上り、スタジオに戻った。


×   ×   ×   ×

何台かのパソコンは壊れてしまっていたが、幸いデータ置き場になっていたパソコンは虎之助さんたちが屋上に持ち出してくれたので無傷だった。

そして作業データの無事は全て確認ができた。


俺は残り3カットのアニメーション修正を終え、虎之助さんに提出した。

「OKだ!よく頑張ってくれたスネタ!」

「ありがとうございます」

虎之助さんが握手をしてくれた、こんなに嬉しい事はない。


こうして、音楽、音声、アニメーションの修正は無事に終わり、再びサキモーリィー先生にチェックをお願いし無事にOKを頂けた。


(つまり……遂に遂に完成だ!)


「サボテンキツネ完成おめどとうございますー!!」


×   ×   ×   ×


俺たちはささやかな打ち上げを移動型宿舎『デーバル』で行った。


「スネター!凄いよサボテンキツネ、絶対絶対たくさんお客さん来てくれるよ」

「このイリーナも宣伝お手伝いいたしますわ」

「ミジーも必ず手伝う、これを観ずに死ぬなど後悔しかないと」


ハルカ、イリーナ、ミジーも完成を喜んでくれた。

「ハルカ、ハルカ、イリーナ、ミジー、本当にありがとう」

「その……スネタ、あの映画公開されたら……ふっ、ふっ、2人で観に行かないかな?」

「もちろんだよ」

「あっ、ありがとう!スネタァ!」

ハルカが飛び上がって喜んでいる。



×   ×   ×   ×


「打ち上げって良いですよね、虎之助さん」

「あぁ、これから何度も経験できるぞ」

俺は仕事を始めて数か月だ、打ち上げなんてあまり参加した事がなかったが、一緒に汗水流して頑張った人たちと完成を祝うなんて、本当に最高だと思う。


これから上映に関してどうするか、まだまだ考えなければいけない事は山ほどあるが、まずは完成できた事を純粋に喜ぼう。


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