38話 アフレコ開始
サムワイズ、ナンシー、キャサリンたちのスケジュールが確保できた。
俺たちはスタジオで早速アフレコを行う事にした。
幸いスタジオが森の中の静かな場所にある為、収録するには好都合だった。
(これは幸運な事だ。近くに滝などあればアフレコなどできなった)
アフレコは会議室で行う事にした。
「オンライン会議用で購入しておいたマイクがこんな時に役に立つと思わなかったですよ~」
「かなり綺麗に音撮れるよな。スネタが『マイクが音が綺麗に拾えるものがじゃないと絶対にダメです!!』ってごねてくれて正解だったよ」
虎之助さんと哲さんがアフレコの用意をしながら話している。
俺はオンライン会議での「え?なんです?もう一度いいですか?」みたいなやり取りが起きる事が本当に嫌だと感じていた。
(聞き間違いで、演出意図を違う形で拾ってしまったら、本当に目も当てられない)
そう感じて、自分で良いマイクを見つけて「これ買いましょう!」と進言したのだった。
「流石にこの状況までは想定しなかったですけど、良かったですよ」
× × × ×
サムワイズ、ナンシー、キャサリンが到着して、早速映像も見てもらった。
「前見た時より、凄い感じになっているじゃん、やるなスネタ!」
サムワイズが映像を見て褒めてくれた。
前に見せた事あるのは本番用の撮影処理がされていない物だったので、絵がリッチになっていた事に驚いたのだろう。
(なかなか映像を見る目があるなサムワイズは)
「親御さんから収録の許可もらえたのは1日だけだったよな、哲」
「ですね~やっぱりいつ魔王軍が攻めてくるかもわかりませんし、しょうがないんじゃないですか~」
王都も警戒態勢に入っている状態だ。
1日だけでも参加してもらえるのは本当に助かる。
「虎之助さん、もし口パクに合わなければ俺がフェイシャル直しますから、声の演技優先で撮ってください」
子供たちの安全が優先だ、後は俺が何とかすればいい。
「助かるよ、子供たちも俺たちも素人だからな、口パクにタイミング合わせるのは結構難しいからな」
虎之助さんが笑顔で話してくれた。
(よし!アフレコ、いよいよスタートだ)
カット1から順番にアフレコを進める。
「いや今のダメだ!俺もう一回やりたい!やらせてよ!」
(サムワイズって、意外と自分に厳しいタイプなんだ)
主役のサボテンキツネを演じるサムワイズが、虎之助さんがOKを出しても自主リテイクを出すのだ。
「俺もこの絵本好きだし、納得するまでやりたいんだ!」
「あぁ。時間の許す限りだけど何度でもやってくれ」
虎之助さんもサムワイズの意気込みを後押しする。
× × × ×
サムワイズ、ナンシー、キャサリン、3人共苦戦しながらも何とかアフレコを終えた。
「お疲れ様!皆本当にありがとう」
「お疲れ様―!」
思わず拍手が起きる。
「完成楽しみにしているからな!スネタ!」
「私も楽しみだよ」
「だよだよ~」
「サムワイズ、ナンシー、キャサリン、3人ともありがとう。君たちの頑張りに感動したよ。必ず良い作品に仕上げて見せるからもうしばらく待っていてくれ」
「それじゃあね!」
手を振りながら王都へ帰っていく3人。
哲さんと和彦が念のため、街まで送り届ける事になった。
「ふむ。効果音や音楽入れは私がやっておくよ」
「義雄さん、すみません、ありがとうございます」
「俺はやはりずれてしまった口パクや、表情の修正作業すぐにかかります」
「あぁ、スネタ頼むよ」
それから3日ほどかけて何とかサボテンキツネは完成をした!
これを明日、原作者のサキモーリィー先生にお見せする事になった。
きっと喜んでくれるはずだ。
俺はそう感じていた。
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