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27話 天ぷら!

「て・ん・ぷ・ら?」

「はい、天ぷらです。俺たちの世界の食べ物になります。天ぷらは俺の一番好きな食べ物です。家でも結構作っていましたので味には自信があります。そして何より……お酒に合います」

不思議そうに天ぷらを見つめるサキモーリィー先生に

俺は自信たっぷりに答えた。


「へぇー、いい香りするね。いったるぜぇ!」

サキモーリィー先生がまず酒を一杯のみ続いて天ぷらをパクリと食べる。


(緊張の一瞬だ)


「ほうほうほう……うっひょ~。ほほうほう……殴り合いだ、これはもう舌と料理との殴り合いだな」


(やはり表現力のレベルが違うな……)

ただどうしたものか。

美味しいのか不味いのか、このリアクションだと全然わからない。


「あー、うんうん……こいつうめぇーな!圧倒的な旨さだ天ぷら!アタシは満足なり!」

サキモーリィー先生が立ち上がり、味の感想を天を仰いで叫ぶ。


(やったぞ)

俺は小さくガッツポーズをした。


「スネタさん、私も食べていいですか?」

「どうぞ、どうぞ」

天ぷらに興味を持ったようでローラさんも食べてみる。

「うん!美味しい!」

と、喜んでくれた。

美味しい物を食べると元気になるのはどの世界でも同じなのだな。

自分が作ったもので人が喜んでくれる、という点は料理もエンターテインメントと同じだな。


「茄子やかぼちゃなど野菜の天ぷらも美味しいですよ」

「何?魚だけでなく野菜でも旨いのか?素晴らしい調理方法だな、天ぷらってーのは」

サキモーリィー先生も関心しっぱなしだ。


「スネタ君さ、サボテンキツネをアニメーション映画にしたいって、生活費を稼ぎたいって事だよね」

「極論、そういう事にはなります」

「おい、スネタ」

慌てて虎之助さんが静止してきた。

「……すみません」

「いやいや、アタシは正直な人間好きだぞ」

サキモーリィー先生が笑う。


「でさ天ぷらなんだけど、この世界の人たちにも受け入れてもらえると思うよ。天ぷら屋さんを開いて仕事にして生活費を稼げばいいんじゃないの?いや、ていうかかなり稼げると思うよ」

サキモーリィー先生が現実的な話を始めた。


(確かにその通り)

アニメで利益を上げる大変さは俺もわかっているので、サキモーリィー先生がいうのもわかる。


「俺がやりたい仕事はアニメーション制作なんです。俺が生きていると実感できるのはアニメを作っている時なんです。俺にしか出来ない事を仕事にして、そしてこの世界の人たちにアニメーションの良さを知ってもらい感動してもらいたいんです。その対価としてお金を貰いたいと思っています」

俺は素直な感想を伝えた。

サキモーリィー先生は俺の話を黙って聞いている。

そして口を開いた。


「なるほど。うんやっぱり良いねスネタ君」

「では……」

OKという事だろうか、俺は思わず前のめりになった。


「天ぷらの作り方を教えてよ」

「え?」

「大丈夫、店出したりなんてしないつーの。アタシは作家として結構儲けているから、金に困ってない。天ぷらを食べたい時に食べれるようにする為に作り方を知りたいだけだよ」


「天ぷらの作り方なんていくらでもお教えします」

「よし契約成立だ。サボテンキツネのアニメーション制作をスネタたちに許可すっぞ!」

「ありがとうございます!」

俺はまた深々を頭を下げた。


「という訳でローラ、天ぷらの作り方教えてもらっておけ」

「え?なんで私が?」

「アタシが料理すっと思うか?」

「死んでもしないですよね」

「だろぉー?だからローラが毎日作って食わせてくれ」

「私も食べたいし、良いですよ!」

良いのか……と、俺たちは苦笑したが、この二人の関係はなんだか楽しそうだな、と思ってしまった。


×   ×   ×   ×

無事に?なのかは何とも言えないがとりあえず原作者であるサキモーリィー先生の許諾まで取り付けた。


俺たちは、報告の為またスタジオに戻る事にした。

街の大門までハルカが見送りにきてくれた。


「楽な道じゃない方を選ぶなんて、スネタってやっぱり凄い」

「俺が元の世界でも天ぷら屋さんだったら、こっちの世界でもやっていたと思う。でもそれは元の世界の天ぷら屋さんに失礼だと思うんだ。俺は天ぷらを作るプロじゃない、その技術で食べていない人間が少し作り方知っているからって、安易に仕事にするなんてできない」

「仕事に対して本当に真摯に向き合っているよね、スネタは」

「火中に身を投じる。その覚悟がないとプロの仕事はできないと思っているだけだよ」

「スネタって勇者みたいだね……」


「スネタ、日が暮れる前に急いで戻るぞ」

「ふむ、1分も無駄にできない」

虎之助さんと義雄さんが先を急ごうと俺に声をかける。


「はい!急ぎましょう!」

「それじゃあ、ハルカ。今日は本当にありがとう」

「うん、気を付けて!応援してる……またスタジオに行くから」

「ありがとう、それじゃあ」


俺と虎之助さん、義雄さんは走って街を出た。


いよいよ本格的にアニメーション制作をスタートできる!

やりたい事が沢山ある。

持っているアイデアを出し惜しみなしで、この作品にぶつけよう!




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