25話 プレゼン
「お世話になっております、サキモーリィー先生。今日はこちらの皆さんから、先生にご相談したい事がありましてお連れしました」
ローラさんは先生に対して驚く様子もなく淡々と要件を伝える。
普段からサキモーリィー先生はこんなキャラなんだろう。
「ご相談?それよりもさぁ、その服どこで買ったんかまず教えろよー」
「まあ、先生立ち話も何ですし、中でお話しましょう」
と、ローラさんのペースでとりあえず話は進み、部屋の中に入れてもらえる事になった。
× × × ×
「弊社にてサボテンキツネをアニメ化して、映画として発表させていただきたいのです。ご検討何卒よろしくお願いいたします」
虎之助さんがタブレットを使いながら熱くサキモーリィー先生にプレゼンする。
サキモーリィー先生は、虎之助さんの話を聞いている時も何かの実を食べながら酒をグビグビ飲んでいる。
(しかし凄い部屋だ……汚部屋って奴だな……午前中からお酒を飲んでいるのか)
酒瓶が何本も床に転がっており、食べ残しも落ちている。
どう見ても絵本作家の部屋には見えない。
俺がいろいろな事に圧倒されている中、虎之助さんのプレゼンが終わった。
「面白れーもん見せてもらったよ、これがアニメーションって奴ね」
「はい、この世界には存在しない技術です」
「はいは~い、質問、質問」
「どうぞ、何でも聞いてください」
「異世界人の虎之助君。自分たちだけ、楽しんじゃってる感じすっぞ」
サキモーリィー先生が絵コンテや企画書をパラパラとめくりながら言う。
「アニメーションってのは面白い、割とアリだと思う。でもねぇー足りないね。足りないんだよ虎之助君」
「足りないとは?どのような事でしょうか?俺たちは先生の絵本を読み込みテーマから作られたドラマを汲み取ってアニメーションを制作したつもりです」
サキモーリィー先生の言葉に俺は虎之助さんより早く口を開いてしまった。
「アタシの絵本について、アタシ以上に偉そうに語るんじゃねーよ」
サキモーリィー先生が低くなり鋭い目つきで俺を見る。
(原作者に対して、わかったような事を言ってしまった。俺はすぐさま反省した)
「失礼しました!すみません。ちょっと失礼します」
俺は反省した時に行う腕立てふせを始めた。
「スネタ!ここで反省の腕立てはやめろって」
「いえ駄目です!二度と同じ失敗をしない為にも、心と体に焼き付けておきます」
俺は虎之助さんの静止も聞き入れず腕立てを始めた。
「うっひょ~、なにそれ?反省すると腕立てするんだスネタ君って」
「はい、不器用な人間ですから」
「ズリ~よ、面白れーもん見せてもらちゃった。狂ってるじゃん、スネタ君。こういう飛んでいる若者好きだよ、アタシ気に入っちゃった」
「え?はい、ありがとうございます」
俺は腕立て伏せ30回、しっかり終えた後に立ち上がった。
上機嫌になったサキモーリィー先生が再び席につく。
「何が足りないのか、聞きたい?」
「はい、お願いします」
俺は姿勢を正し答えた。
「サボテンキツネの質感、動き、見せ方、よくできていると思うよ」
「では何が?」
「面白れーもんないとアタシは動かないよって事」
「面白れーもん?ですか」
虎之助さんは困惑しているようだ。俺も「面白れーもん」が何なのかわからない。
義雄さんもわからないといった様子だ。
「スネタ君が面白かったから、夕方まで猶予をあげちゃう。圧倒的な優しさだろ?諸君。それで答えが出なければ、この話はー終わりも終わりにしちゃうから」
「わかりました、考えてみます」
サキモーリィー先生は足を机の上に乗せて本を読みだした。
それと同時にローラさんが、素早くサキモーリィー先生背後に周り、肩叩きを始めた。
「あっ、気にしないでください。これ定番の流れですから」
ローラさんがサキモーリィー先生の肩を叩きながら、こちらを見て微笑む。
俺と虎之助さん、義雄さん、ハルカの4人は一旦、廊下に出て
「面白れーもん」とは何かを考える事にした。
「面白かった」「スネタを応援したい」と思われた方
下にある☆☆☆☆☆を押して、評価いただけたら嬉しいです。
またブックマークもいただけると、とても励みになります
よろしくお願いいたします。




